星新一短編ドラマ

NHKBSプレミアム毎週㈫　夜９時４５分〜１０時
星新一の不思議な不思議な短編ドラマ
（ちなみにその後のNHK１０時からはおすすめの「正直不動産」）
１話１５分完結のドラマですが
今回の「善良な市民同盟」は前編後編と
２週にわたっていましたが、おもしろかったです。

以下は完全なネタバレです。
主人公は生育環境が悪く、
幼い頃から盗みをはたらいていた。
成人してからも、会社のお金を盗んですぐに
退職することを繰り返していた。

現在の仕事は悪徳不動産の営業マン。
まわりに何もない原っぱみたい土地を
お年寄りをターゲットに高額で売る。

主人公は一人暮らしのお年寄りのお宅に営業に行く。
だます作戦でトイレを借りて、部屋に戻ると
老人が「君はいい人だ。悪徳不動産なのはわかっていたから
警戒したがトイレに行くのに、財布を出しっぱなしだった。
だから、君はいい人だ。

今までの人生で「いい人」と言われたことがないから
とまどう主人公。しかもだまそうとした相手から。
老人は、ある動画を見せる。
若者が一瞬にして灰になってしまう。
老人によると、これは未知のウイルスで審判の日に
そのウイルスはばらまかれて、人間は全員死ぬ。
だけれど、私たちいい人間の「善良な市民同盟」は
ワクチンを開発した。
審判の日まで、3カ月に１回ワクチンを打っていれば生き残れる。
約束はひとつだけ。
このことを誰にも話してはいけない

え？それだけ？
主人公はサインをする。
主人公はいい人になったのだから
自分が働いている悪徳不動産のことを老人に話す。
警察の捜査が入り、会社はなくなる。

老人は主人公に言う。
君のおかげで悪徳不動産がなくなった。
そして、そのおかげで私たち「善良な市民同盟」の運営費もうるおった。

主人公はうれしかった。
まじめに働くうちに、恋人ができた。
初めて本当に人を好きになった。
彼女は妊娠した。
ずっと彼女と一緒にいたい。
審判の日になれば彼女とお腹の赤ちゃんは死ぬ。
でも、誰にも話してはいけない約束だ。

主人公は老人の所に行き
自分の彼女はとてもいい人だから
彼女も「善良な市民同盟」にいれてあげてほしいと頼む。
駄目だ、と言われても、もう連れてきてしまっていた。

誰にも話さないという約束を破ったから
除名だ！と言われる。
必死に老人にしがみつき、彼女と一緒に生きていきたいと訴える。
老人は拒否する。
主人公は、このままでは自分も審判の日に死ぬことになることが怖くなり
「せめて俺だけでも生かしてくれ」
と頼む。彼女と目があう。
彼女は自分勝手な彼に失望して、その場を去る。

彼は気が付いたら、野原に倒れていた。
彼女を失い、自分も審判の日に死ぬ。
絶望しながら帰宅して、その日を待つ。

審判の日に目を覚ます。
死んでいない。
外に出ると、みんな普通に過ごしている。
ワクチンをうった建物に行ったら「売家」になっていた。

そう。あの老人こそが悪者だったのだ。
あちこちの悪徳業者からお金をまきあげ逃げた。

彼女の家に行った。
彼女は彼を見つけると走りより抱きしめた。
「ただ、あなたと一緒にいられるだけでいい」

主人公はだまされたけれど、感謝している。
「善良な市民同盟」がなければ、今の幸せはなかったから。
・・・・・
だいたい、こんな感じのストーリーでした。
悪者にだまされたのに、幸せになった人がいる。
なんか矛盾するから、んーとうなってしまう内容でした。

毎回おもしろいというのでもないのですが
他に記憶に残ってるのが
「生活維持省」
みんなが広い家に住んで、自然豊かな場所で
幸せに暮らしている。
「生活維持省」というお役所の仕事のおかげ。
役所の二人一組で仕事にあたる。
その仕事とは、コンピューターでランダムに決められた人間が
朝に決まり、出社したら、その人間の資料をもらい
ピストルで殺すのが仕事。
人が増えすぎたら、今の暮らしが維持できないから。

国民はそのお役所仕事のおかげで、幸せに暮らせることを知っているし
その人たちが来たら、殺されることも知っている。
見逃してくれと逃げるもの、観念して静かに殺されるもの。
生まれたての赤ちゃんであっても、結婚式場の新婦であっても
その場で殺される。

今日の仕事はあと１件。
相棒が次は誰だ？と聞く。
「俺だ」
相棒は動揺するが、本人は「さあ、撃て」と。
そして死ぬ。終わり。
・・・
ブラックだよねぇ。
でも、なんか心にひっかかって、んーってなっちゃうよね。