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2022年06月21日14:59

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今週、気づいたこと(病院編)

 四十ともなると、何かと身体にガタがきて、病院のお世話になることが目に見えて増えてきた。
友人にも、病院通いをしている者が多くいる。

 死にそうなときは、それどころではないが、少し落ち着いてくると、病院(特に、大きな病院、総合病院)には、不思議なところが多くあるのに気づく。

 例えば、患者の都合をまったく聞こうとしない。
診察が終わると、いきなり「では、次回は〇月〇日の〇時にお越しくださいー」とくる。
「いつがいいですか?」と尋ねたり、選択肢を提示したりすることなくだ。
大概、「本当はその日、用事があるんだけどな……」とか、「電車が混むから、別の時間帯がいいんだけど……」とか思うものの、何か悪い気がして、つい「わかりました」となってしまう。
しかし、ここは勇気を出して(というのも変な話だが……)、「別の日(時間)でお願いできないでしょうか」と返してみよう。
すると、「あ、そうなんですねー。では、いつになさいますか?」と、いとも簡単に調整できたりする。
実は、「現場の効率が第一! 患者の都合なんて、いちいち気にしちゃおられん」といった確固たる意志があるワケではなく、深く考えず、適当な空き枠を提示しているに過ぎないのだ。
おそらく、ほとんどすべての患者が最初に出した日程でOKするものだから、いつの間にか“まずは都合を聞く”というフェイズが消滅してしまったのだろう。
これは、主体的にコミュニケーションを取ってこなかった患者の側にも責任がある。

 働いている人たちの言葉遣いも興味深い。
医者からの説明を受ける場面で、ある看護師は、

「間もなく、先生がいらっしゃいます」

 と言った。
最初に聞いたときは、かなり面喰らったものだ。
一般に、外部の人間と話すとき、自社の人間に「〜さん」や肩書は付けない。
「山田さんは席を外しています」、「課長は出張中です」ではななく、「山田は席を外しております」、「課長の佐藤は出張中でございます」という具合だ。
「先生がいらっしゃいます」も、「医師が参ります」、「(医師の)木村がこちらへ向かっております」あたりが適当であろう。
まともに勤めたことのない私ですら知っている、ビジネス・マナーの“基本のき”である。

 気になったので、軽く調べたところ、看護師向け情報サイトのQ&Aコーナーに面白い記述があった。
「患者さんの前で、先生のことをどう呼んだらいいですか?」という問いに対して、「基本的に、自分の属する組織の人間は(上席であっても)呼び捨てにしますが、病院によっても文化が異なるため、先輩などに確認しておきましょう」と断言を避ける回答をしている。
なるほど、「先生がいらっしゃいます」とやらないと、むしろ怒られちゃう現場もあるわけだ。

 そんなワケで、この「先生がいらっしゃいます」問題は、“敬語の誤用が定着”しているものだと理解していたのだが、最近になって、別の説に思い至った。
時代劇関連の本をいろいろ読んでいて、ふと思ったのだ。

 「先生がいらっしゃいます」というのは、ヤクザの子分が一般の人に対して、

「いいか、手前ぇら! うちの親分さんがお話ししてくださるんだ。耳ぃかっぽじって、よーく聞きやがれ」

 とやるのと同じで、あえて“外部に対して身内を立てる”コミュニケーション手法であって、我々のよく知るビジネス・マナーとは、そもそもロジックが異なるのではないだろうか。
なんとも理不尽な話ではあるが、考えようによっては、患者に対して「先生はこんなにすごいお方なんだぞ」と演出することで、「だから、安心してお任せすりゃいいんだ」と安心させる効果は期待できるかもしれない。
少なくとも、私には効いていないが。

 この説が合っているかどうかは確かめる術もないが、このように考えることで、病院の不思議なところを目にしても、いちいち腑に落ちるようになったのは事実である。
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