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2021年10月17日16:50

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『由宇子の天秤』、ユーロスペース

『由宇子の天秤』は予告編を観て気になり、上映回数が減って観に行けるかなと思っていたところにマイミクさんが日記で取り上げられていて、読んでこれは観に行かねばと思い先週行ってきました。
予想を大きく上回るとても面白い作品でした。

テレビのドキュメンタリーディレクターの由宇子は三年前に起きた少女いじめ自殺事件を追っています。関係者からの証言を得ながら真相に近づいているように思えましたが、あるとき塾経営者の父の衝撃の事実を知ります。二つの異なる事件に直面する由宇子はある選択をします。

「正しさとは何か」、作品のチラシに書かれたキャッチフレーズですが、この二つ事件を通してそれが明らかになってきます。その脚本が見事で、予告で予想していた内容を見事にひっくり返されました。上映時間は2時間半を超えますが、まったく飽きることがありません。その上BGMが最後までなく、一つのドキュメンタリーを観た気になってきます。
監督・脚本・編集を担当した春本雄二郎は今まで知らず、これからが楽しみな監督です。由宇子を演じた瀧内公美は『火口のふたり』を観て気になっていた女優で、感情を抑えた演技が非常に印象的です。

この作品のクレジットで、製作にユーロスペースの北條誠人支配人の名前がありました。ミニシアターの草分け的存在のユーロスペース、若い頃は出張のついでによく訪れて映画を観ました、また自主上映活動を仙台でおこなっていたとき、北條支配人にはフィルムを借りたりいろいろお世話になりました。

先日の新聞で、コロナ禍で協力してもミニシアターには国の支援がなく赤字が増えていて、その抗議のため関係者が国会議事堂の前でデモをおこなったことが記事になっていました。その中心人物が北條支配人で、「世界に誇れる文化がなくなるとしたら、それって寂しくないですか」とコメントしています。映画の文化としての国の認識の不足もそうですが、話題作や受賞したときだけとりあげるマスコミにも問題があるのではと思います。


写真左:『由宇子の天秤』のチラシから
写真右:M新聞の記事から
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