mixiユーザー(id:2958687)

2021年10月01日06:04

116 view

9月の読書記録

8月よりはまだマシだったとはいえ、先月も思うように本が読めなかったな…やはり京都市図書館の開架を利用できなかったのが大きい。あそこで軽めの本を借りて数を稼ぐということができないのは、やっぱり辛いな…図書館が利用できない間、家にある未読の本を読むという効用もあるにはあるけどね。
とにかく10月から開架利用再開。気候もよくなったし、今月はより読書に勤しむことにしよう。

2021年9月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4419ページ
ナイス数:119ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■西洋哲学史 (教養全書)
哲学科の院生時代から読まねば…と思いながら、五十過ぎにしてようやく読了。本書を読み通すのは、かなりしんどいが、それでも本書レベルの哲学史を読み込んで、自分なりにものにしないと哲学の徒とは言えないんだな…と改めて痛感。他の人も述べている通り、本書だけでは足りないところも散見されるが、それでも本書を哲学史の土台とすることはかなりの強みになると思う。とりわけカント哲学を始めとするドイツ観念論に重きをおいているのが本書の特徴であり、逆に言えば偏りの最たるものだが、著者がカント研究者である以上仕方がないのかも。
読了日:09月29日 著者:岩崎 武雄
https://bookmeter.com/books/13997

■NHK出版 学びのきほん 「読む」って、どんなこと? (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)
予想外に平易な内容で一気に読了。あまりにサクサク読み進めることができるので、いささか拍子抜けした感が。ただ、その平易さの中に、鋭い現状分析が潜んでいることを見逃してはいけない。とりわけ、小学校の国語の教科書の読み方指南について、適切であると評価しながらも、それを鵜呑みにすることに警戒を促すくだり。教科書に載せられる文章とどうでないものとの違いなど、文章とは、そして読むとは?という問題について考えさせられる。また、強烈だったのは、AV女優刹奈紫之の発言。これは確かに普通の生き方はできないだろうな…と。
読了日:09月27日 著者:高橋 源一郎
https://bookmeter.com/books/16066053

■101年目の孤独――希望の場所を求めて (岩波現代文庫)
本書のオリジナルが出て十年近くを経た今、本書で取り上げられた取り組みはどうなっているのだろう?自己責任という名目でどんどん弱者と呼ばれる人達(作者はあえて弱者とは言わないけど)が切り捨てられる傾向にある。というか、この時点で既に切り捨てられようとしている現実が垣間見られる。とりわけ形に拘らない南アルプスの小学校の取り組みなど、まさに現代社会に対する真正面からのカウンター的なものだけに、色々と難しくなっていくだろうが、今後も続いていくことを願ってやまない。著者の実家尾道についてのエッセイは身につまされた。
読了日:09月27日 著者:高橋 源一郎
https://bookmeter.com/books/16114661

■書く、読む、生きる
ああ、この人はもうこの世にいないんだな…ついそんな思いに囚われてしまう。その作品で展開される他の追随を許さない豊穣な言語世界が未発表の講演やエッセイを収めた本書でも確実に息づいている。これまでも、著者が自分の闘病生活を綴った文章を読んできたが、著者の死後にそれを目にすると何とも言えない感慨を覚える。いみじくも自分自身、だんだんと自らの死を意識する年齢になりつつあるので尚更。また、終盤の芥川賞選評は、平成の文学史を振り返るという意味でかなり興味深いもの。平成から令和へ。今後の日本はどうなっていくのか…
読了日:09月24日 著者:古井 由吉
https://bookmeter.com/books/16985885

■女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち (幻冬舎新書)
歴史的背景も文化も日本とは根本的に違う。それでもどうして日本でこのような動きが起こらないのか?と一抹のもどかしさを覚えてしまう。日常生活を送っていく上でどうしても感じてしまう疑問や不満や憤り。それを直接的に政治行動として表していく。本来ならごく当たり前であるはずのことが、なぜ日本ではこうも抑圧がかかってしまうのか?本書で取り上げられているのは女性であるが、ここで提起されている問題は、ほぼそのまま男性にも突きつけられているものだと言える。個人的にムスリムを巡る問題がとりわけ重たくかつ困難なものだと思った。
読了日:09月22日 著者:ブレイディ みかこ
https://bookmeter.com/books/18041189

■ニッポンのおじさん
おじさんをとことんまで辛辣にあげつらった内容かと思えば、意外とおじさんに好意的(もちろんある程度の限定付きで)だったりするのが、印象的。そこは愛憎入り混じるというか、複雑なものを感じる。何より、高名な文化人を両親に持ち、本人も超がつくほど高学歴であるのにも関わらず、自分をバカであると強調し、ビッチな経歴を吹聴して憚らないその二面性がある意味もっと驚きかも。そのビッチな経歴を持つ娘をご両親はどんな目で見てきたのか?がちょっと気になる。個人的にはモテの定義が何より目から鱗。自分はモテから遠いなと改めて痛感。
読了日:09月20日 著者:鈴木 涼美
https://bookmeter.com/books/17782485

■スカートの下の劇場: ひとはどうしてパンティにこだわるのか (河出文庫 う 3-1)
ごくごく当たり前だと思っていたことが、よくよく検証してみたら、驚く程に歴史が浅いものだった…よくあるといえばあることだけれど、一世紀にも満たない間に下着の事情が大きく変わったという事実には本当に驚愕。またパンティの期限がバタフライ説はその真偽は別にしても目から鱗。オリジナル出版から三十年以上も経た以上、何かと突っ込み所はあるが、それについては著者自身が後書きで言及しているのであえて触れない。表題表紙共に男性は手が出しにくいが、男性こそが、自分の性的嗜好を相対化するため読むべきもの。本書の現代版を切望。
読了日:09月20日 著者:上野千鶴子
https://bookmeter.com/books/13739086

■世界十五大哲学 (PHP文庫)
七年ぶりの再読。初読の時はわかりやすいと書いていたが、読み返してみると、理解があやふやな部分を気にせずに読み進めていたことが判明。また、初読の時にはそれ程気にならなかった、在野の哲学者としての矜持が著者達に明確にあることが感じられた。その矜持の故に中江やチェルヌィシェフスキーをあえて取り上げたということだろう。ただ、他の人も述べているとおり、かなり左寄りの立場の記述が目につくのが気になるが、それも本書の妙味だと捉えたほうがいいのかも。それにしても中学生で本書を読み通した佐藤優の早熟ぶりに改めて驚愕。
読了日:09月18日 著者:大井 正,寺沢 恒信
https://bookmeter.com/books/7870188

■カード師
悪くはない、それなりにのめり込んで読んだけれど、モヤモヤ感が拭えないというのが正直なところ。かなり込み入ったストーリーでなおかつ似たような登場人物が多数出てくるので、あえて細部を気にせず強引に読み進めていった感が。また、主人公が決定的なトラウマを被ったであろう過去も、結局その詳細は語られないままというのも、後ろ髪を引かれる思いがする。それはともかくとして、圧巻だったのはやはりクラブRでの壮絶極まりない駆け引きの描写。賭博なんかに手を出すもんじゃないと痛感。細部を確認するために、再読の必要性があるかも。
読了日:09月17日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/17864602

■新しい高校物理の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)
理数系コンプレックスを多少なりとも軽減するため、時折理数系の本を手に取るが、当然のごとく毎回うわっ滑りな理解で終わる(笑)。本書も、最初は中学レベルの知識でそれなりに補える内容だったものの、後半になると殆ど字面を追っていただけ。ただ、物理のイメージは何となし掴めた気にはなったか。そもそも本書の狙いもそういうところにあるのでは?と思うことにする(苦笑)。また、こういう理系コンプレックスを多少なりとも軽減させるような本がもっと早くから世に出回っていたら…と痛感させられた。理科の指導のあり方を見直すべきでは?
読了日:09月11日 著者:山本 明利,左巻 健男
https://bookmeter.com/books/9899

■アシジの聖フランシスコ (平凡社ライブラリー)
十数年ぶりの再読。初読の時はそれなりにハマって読んだ記憶があるが、今回は今一つハマりきれず。半ば狂信的とも言えるフランシスコの信仰のあり方に憧憬を抱く一方で、ついていけないと思うことしきり。また、ここまで禁欲的になろうとするのは、当時のカトリックの腐敗に対する反動ではないか?という気にもさせられた。個人的に身につまされたのは、フランシスコの晩年。どんな人間も死は免れない。ましてや聖人と呼ばれる人の死はいやでも人々の注目を浴びてしまう。そうした中でいかに迫り来る死と対峙するか?この部分だけでも再読するか。
読了日:09月08日 著者:イエンス・ヨハンネス ヨルゲンセン
https://bookmeter.com/books/174415

■ジュリアン・グリーン全集7 日記 (1980年)
約二十年ぶりの再読。いみじくもカトリック教会に通い始めた頃に読んだのだが、当時には見えなかったものが当然色々と見えてくる。それは信仰というだけでなく、その後の読書遍歴を含む様々な経験も当然の如く影響しているのだが。ただ、初読の時に感じていた著者の内向性と何とも形容し難い翳りがにどうしようもなく惹かれてしまうのは変わらず。また、ほぼ一貫して著者が危惧しているナチの脅威が1930年代にすでに存在していたという事実に驚き。それとジッドを始めとする同時代の作家との交流歴も興味深いが訳注が貧弱なのが非常に残念。
読了日:09月04日 著者:ジュリアン・グリーン
https://bookmeter.com/books/408000

■霧の彼方 須賀敦子
著者が須賀とがっぷり取り組んで生まれたと言いたくなる一冊。著者の作品は、基本どれもその対象に対する愛や思い入れが感じられるが、本書はその傾向がとりわけ強いように思う。同じカトリックである程度同時代を生きたという事実も勿論大きいのだろうけれど、それ以上に須賀の作品が持つ独特の吸引力によるものだろう。これまでにも須賀の作品や須賀に触れた文章を読むたびに敗北感に近い感嘆を覚えるが、本書も例外でない。その生み出した作品の質、翻訳の仕事、そして深い知性…ある意味知の巨人とも言えるが、それを感じさせないのが凄い…
読了日:09月02日 著者:若松 英輔
https://bookmeter.com/books/15952190


▼読書メーター
https://bookmeter.com/

1 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年10月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

最近の日記

もっと見る