[毎度のシリーズ]
ほぼ毎年再録していますが、今回は新作もあるのでチョイお楽しみに
2013年の4月、仕事から帰ると弟から電話があった。
そして
「俺達の嫌いな人間ベスト5のうちの一人が死んだ」
と言った。
それを聞いて自分は誰の事かすぐにわかった。
その人は私の母の姉の旦那、すなわち伯父だ。そ の伯父は自分の家族以外の全てを見下しており、我々親子もずいぶんバカにされた。
大昔母に大金を借りる時だけ良い顔をして、結局返さないまま母が亡くなってしまった。
我々兄弟は伯父の会社で働いていた時期があり、その時には伯父とその息子に散々いじめられたものだが、我々が辞めた後伯父は仕事を引退し息子は会社を宮城県に移した。
伯父が亡くなったという事はもう、縁が切れるのだから最後に顔を出すかという事になった。 ちなみに伯父の奥さん、すなわち我が母の姉は母とはとても仲が良かったが、実は亡くなっていた母の第一発見者であり、その後段々塞ぎ込みむようになり体調を崩し、ちょうど母の死から49日後に後を追うように他界した…。
翌日、弟と二人で伯父の家に顔を出すと、伯父の子供家族も来ていた。 後から私と弟の共通の知人で伯父の会社で働いていたトミオくんが線香をあげに来る事になっていたがなかなか来ない、夕方になり雨が降りだした頃、酒盛りが始まった。
チャイムが鳴った。
トミオくんが来たらしい。
彼は家に招かれ酒盛りの席に座ると一瞬の間の後、いつもの吃り口調で呟いた。
「あれ、あれ、あの、玄関に社長が立ってました…」
〜合掌〜
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