18960107 NO4687 東萊府観察使の件
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010_0030_0210 駐韓日本公使館記録 10巻 参. 機密各館往復 (21) 東萊府観察使の件
文書題目 (21) 東萊府観察使の件
文書番号 機密第一号
発信日 明治二十九年一月七日 ( 1896年 01月 07日 )
発信者 一等領事 加藤増雄 （＊釜山）
受信者 弁理公使 小村寿太��
(21) 東萊府観察使の件
機密第一号
東萊（トンネ）府観察使・池錫永（チソギョン）の件については、往々種々の悪評を聞き込んでおりますのでじっくりその実際に注意致しておりましたが、同人は非常の守旧家であり激しく新政を嫌い、容易にこれを実施せず、自分勝手に民人を拘禁笞杖して、むやみに賄賂を貪（むさぼ）り、部下の吏員に瀆職（とくしょく ＊職を汚す）の者がいてこれを摘発されてもその処分を認めようとしないなどの事実がはっきりしてきて、今日に至りましては内外人が均しくとがめ非難するところとなっておりますので、このまま長く現職に据え置きましては内外に対し極めて不都合と考えられますことを至急その筋へ御忠告になり、速やかに相当の処分を加えますよう御勧諭いただきたい。
そもそも同人の件はかつて大邱（テグ）判官在職中に多少我が軍隊のために斡旋してくれ、一時好評を博していたが、これは全く今日の地位を得るための一手段に過ぎなかったことは、則ち今日だんだん崇露（＊ロシア崇拝）の念を抱き、ひそかに日本排斥を主張し、甚だしい場合は公廷において「倭奴に符同することはよろしくない」などの言辞を吐いていることを漏れ聞きいていることからも、あるいはその一班を知ることは難しくないであろうと存じます。
実はこれまで本官より井上・前任公使に向ってしばしば同人を称賛した行き掛りもありますので、今日同人の汚行を摘発して閣下に具申せざるを得ないことは甚だ遺憾に存じますが、これまでしばしば友誼上の忠告を与えその反省を促賀して来たにも拘わらず、内実は益々汚行を重ねておりますので、やむを得ずここにその近状をお知らせし御配意を煩わします。
そしてこのように具申に及びましたことについては、相当の事実を押えておりますことは勿論でありますが、一二列挙致しましては際限もないことですので、自然その筋においてこれに対し相当の処分を施すことに躊躇しない見込みでありますので、至急電信をもって当港警務官・金宜純(キムウィスン)に上京を命じ訊問されるか、または正式の吏員を派し実際を偵察させられましたら容易に了解頂けると信用致しております。この件稟申に及びます。 敬具
明治二十九年一月七日
一等領事 加藤増雄印
弁理公使 小村寿太�� 殿
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