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2021年03月19日22:32

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110 詩・短編を書いてみた(第1946回)

「職業、スパイ」
【あらすじ】
性別、男性。年齢32才。
独身だが恋人有り。
職業、国家のスパイ。
特技、5ヵ国語を話せること。
悩み…悩みか…。
悩みはこの仕事をしていると。
人間の醜さや
裏切ることが当たり前に見てしまうから
誰が敵で味方なのかを考えるのが大変なこと…。
でもそんなこと考えた所で
意味がないと理解している。

何故なら
見えているモノ全てが私の敵なのだから…。
――――

朝8時。
目覚まし代わりのクラシック音楽が
スピーカーから優雅に流れ
バイオリンの音色が私の頭を刺激し目を覚させる。

リビングの食卓には
彼女に用意してほしいとお願いしている
毎朝お決まりの朝食メニューの
砂糖の入っていないブラックコーヒー。
スクランブルエッグ。
そして
ご飯と味噌汁を食べ
その後
1つのシワの無い
まるで新品のようなYシャツに腕を。
そして
スーツに足を必ず右から通す。

右からというのが
私のルーティーンなのだ。

靴を履き
玄関まで見送ってくれる彼女に『今日も会社へ行ってくるよ』と嘘をつきキスをして
私の1日が始まるのだ。

今日の予定は
外務省へ向かい
先日まで数年に掛けて行っていた
他国の国家施設に侵入し
機密を自国へ持ち帰る任務の成果を
外務省へ行き報告をすること。

私は一般人と同じように出勤し
職場には皆と同じように入る。
そして
手続きを済ませ
私は誰とも話すことなく特別な部屋へ向かう。

その部屋は防音・電波遮断・防震などあらゆるモノが外に出ないようになっている特殊な部屋。
この部屋へ向かう理由は簡単だ。
それだけ重要な情報を扱っているからだ。

私は取調室のような部屋に置かれた席に座り
上司を待った。

その間
私は全く私語を話さない事と
目線は真っ直ぐ前を向け
全く動かさないように心がけている。
別に誰かに言われたわけではない。
自主的にそうしているのだ。

何故か?
それは簡単だ。
私は常に監視されているからだ。
寝返りや裏切りが当たり前のこの世界で
私が他国に裏切る可能性は
ゼロではないと思われているからだ。

私が席について15分後。
上司が入ってきた。

『いや、遅れてすまない』
『いえ』

嘘つけ。監視していたくせに…。

上司は私の前の椅子に座る。

『では、早速だが。成果を聞こう』
『はい』

私はスパイ活動の成果物を提出し
詳細を口頭で説明した。
主に国家組織の機密情報となる。

全ての情報を上司に伝え
私は上司の評価を待った。

『よろしい。今回も良い仕事だ』
『ありがとうございます』
『今後の任務は追ってまた知らせるので、それまでは休暇にすると良い』
『はい、分かりました』

私は席を立とう腰を浮かせる。
すると
上司がこんなことを言ってきた。

『ところで君は、マルクの事は知っているかね?』
『…マルクですか?』

マルクとはかつての私の同僚で
この国を裏切り
情報を他国に持ち出そうとしたが失敗し
人知れず処刑された奴だ。

『存じておりますが…。それが何か?』
『いや、それなら良いんだ』

『……。では…』

私は部屋を出た。

その後
私は事務作業をこなし
定時に退省
私は職場を後にした。

その帰り道
私の頭の中は上司の言葉が気になっていた。
あの上司は基本
無駄なことを口にはしない。
合理的に動き
必要なことだけを口にする人だ。

だから
全く関係ない状況で
私にマルクの事を尋ねてきたのは
何かがおかしい。


ただ
そう考えては見るものの。
思い当たる節はない。
組織の事は毛嫌いはしているが
裏切ってはいないし
情報を持ち出しているわけではない。
全て伝えている。

では何だ…?

結局
私は答えを出せずに自宅へ帰ってきた

玄関のドアを開ける。

『ただいま』

しかし
いつも聞こえてくる彼女の返事はない。

あ、今日はいない日だった…。

私は廊下の明かりをつけ
自分の部屋に入ろうと
ドアノブに手を掛ける。

……?。

私は違和感に気づいた。

誰かが自分の部屋に
何者かが侵入した形跡があったのだ。

その形跡とは
いつも私は開けた事がわかるように
ドアに小さな紙切れを挟んでいるのだが
それが地面に落ちていたのだ。

この部屋には基本
私しか入れないように鍵を掛けてある。
当然
その鍵も
私が持っている鍵以外で開けることは不可能。
鍵を偽造するにも
精密で緻密な作業でなければ
偽造する事は出来ない。

だから
これが出来るとすれば…。
私と同じような巨大な組織を持ち
スパイとして生きている人間ぐらいだろう。

これらの条件に当てはまる人間は…。
恐らくただ一人だ。

そうか。
私も勘が鈍ったか…。
彼女がスパイだと気づかなかった、とは…。

私は部屋へ入る。
荒らされた形跡はないが
やはり
機密情報が入ったUSBが無くなっていた。

私は即座に職場から借りているスマホで上司に電話を掛けた。
しかし
報告のためではない。
私の置かれている状況を確認する為だ。
だが
すでに電話契約が解除されているのか。
電波すら掴まない。

この時
私は上司がマルクの事を尋ねてきた理由が分かった。

そうか…。
私はすでに疑われていたのか…。

するとその時。

ピーンポーン…。

家のインターホンが鳴った。

逃げなければ…!。

私は敵国のスパイ等が襲撃してきた時の為に用意していた。
脱出用キットと服を取り出した。

まさか、身内に襲われて使うはめになるとは思わなかったな…。

装着した私は走ってきたベランダへ。
そして
窓を開けた瞬間
玄関のドアが開いた。
ピッキングで開けられたのだ。

サイレンサーを付けた銃から弾丸が放たれる。

それは私の頭をかすめた。

私はベランダから飛び降りて
グラインダーを展開。

間一髪で闇夜にと紛れることに成功した…。

それから私はバレぬように
事前に計画しておいた場所へ降り
グラインダーを壊した後
翌日が粗大ゴミの日になっているゴミ捨て場に破棄し
脱出用キットに入れていた拳銃などを懐に入れて逃走した…。

私は逃げ続け
気がつけば
朝焼けが登り始めていた。

私は息を整え
心に溢れそうになる情動を抑えた。
そして
朝日を見つめ
朝焼けの空を見上げ
拳を握りしめる。

『やられたら、やり返してやるよ…。お前の事、何も知らないと思わないことだ…』

私は持っていた拳銃を自分の隣に向ける。
そこは
かつて彼女が私と一緒に歩いていた所。


『次、出会ったら必ず殺してやる…』

そう呟いて
私は朝焼けの陽射しに消えるのだった………。

◆◆

◆◆◆

◆◆
106「」☆
【あらすじ】
季節外れの大雪が町を白く染めている。
高校卒業を迎えようとしていた少女は
小さな夢と可能性を数枚の紙に託していた。

―――

本はとても素敵なものだと思う。
その場にいながら違う世界の事を知れたり
学べたり出来るもの。

もちろん今の時代は
ネットを使えば本以上の情報を
素早く得る事が出来る。
でも
本には本にしかない魅力があると思う。

ページをめくった時の感触や香り。
本が小説なら
場面が切り替わるようなワクワク感や
読者を全く違う場所へと
連れて行っていくれるなど
不思議な力を持っている。

だから私は憧れた。
私もあんな風に小説を書いて
読者を違う世界へ連れて行き
その人の心の中を光で満たせたら
どれだけ楽しいだろうと…。

ただ
読むのと行うのとでは全く違うように
まるでやり方が違う。
頭の中には想い描いた世界は沢山ある。
でも
それをどのような言葉で繋げていけば良いのか分からない。

だから私は思った。

「私には才能がない」と…。

貯金を崩して
せっかく買ったペンも紙も
捨ててしまいたい気持ちになる。

でも
そんな時に私を勇気づけてくれたのも本でした。
その本は
ある男性の自伝のような内容で
成功するまでの経緯や苦労話など
沢山の事が書かれており
その中でも一番頭に残った言葉が
「動かなければ何も変わらない」だった。

その言葉を胸に私は再び
ペンを持って
ある目標を定めた。
それはネットで見つけた雑誌の小説募集に応募する事。
私はその為に
沢山の話を思いついては書いてを時間の許す限り繰り返し

拙い文章だけども
1つの小説を書きあげた。

作品のテーマは「今の自分」。
夢に向かって頑張ろうとする女の子の話だ。

自分で読み返してもあまり褒められたモノではない。
ベタな話だと思うし
誰かに鼻で笑われるかもしれない。

でも…
不思議と達成感があり
これは私の決意でもあるのだから!と思っていた。


彼女は封筒に入った原稿を持ちながら
そう心の中で叫び
ポストに入れた。

夢と希望をその小説に託して………。



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