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2020年11月27日22:56

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95 詩・短編を書いてみた(第1930回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b


「ラムネの弾ける日に」

〓〓〓

【あらすじ】
学生最後の夏休みを明日に控え
売店で売っていたラムネを飲みながら
屋上で考え事をしていた。

弾け飛ぶ炭酸の泡。
明日から夏休み。
友達と遊びまくろうなんて思っていたのだけど
その友達は『学生生活も最後だから』と慌てたように部活の女の子に声を掛けて
ありえないことに恋人を作りやがった。
そのせいで夏休みの予定は全てキャンセル。
途方に暮れていた………

――――――

さて、どうしようか…。

予定のない長期休暇は単なる拷問だよ…。

俺はプラスチック性のラムネ瓶を投げようとした。
その時
屋上のドアが開き
誰かが屋上へ上がってきた。

誰だ…?

僕は身体を起こしてその人を見る。
その人は仲の良いサキだった。

『あれ?。ユウヤいたんだ。ここで何してるの?』
『暇だからラムネ飲んでた。お前こそ、どうしたのさ?。ここに来るなんて珍しいじゃん』
『まぁ、たいしたことではないのだけど、ね…』

コイツがこう言う時は
話を聞いてほしいと思っているのを知っている。

『……何があったのさ?』
『…あのね。夏休みに友達と遊ぶ約束してたんだけど。彼氏が出来たって言って、予定がキャンセルになっちゃってさ…』
『ふ〜ん…。ちなみにどこに行くつもりだったのさ?』
『ディズニーランドとか富士急ハイランドとか…』

ミサキは他にも沢山の遊園地や観光地の名前を言う。

『そんなに行くのかよ…?。お金とか大丈夫なのか』
『大丈夫。その為にバイトしてたからね』
『そうか…』

そう聴いて僕は少し寂しくなる
その気持ちをミサキは感じ取ったのか…

『もしかして、誘ってほしかったの?』
『そんなわけないだろうよ…!?』

『本当は…?』
『…してた』
『素直に言いなさいよ〜。じゃあ、私も暇だし遊ぶ?』
『はあ!?』
『どうせアンタも暇でしょ?』
『……何で暇だって分かるんだよ…』
『だって、誘われるのを期待してたんでしょ?』
『―――』

確かに期待していた所はある。

『本当、ユウヤは分かりやすいよね。でも、アンタにも予定があるんじゃないの?』
『お前と同じだよ。約束をすっぽかされたの』

そう言うとミサキは笑った。
まさか同じ理由だとは思わなかったのだろう。

ただバカにされているみたいで
僕は少し腹が立つ。

『笑うなよ…』
『ごめんごめん』
『まぁ、良いけど。で、どこに行くのさ?』
『アサマゴウ遊園地』
『アサマゴウ?。それって、この町にある遊園地だよな。何でそんな所に?』

サキは少し寂しい顔をする。

『あそこ、閉園するんだって』
『えっ…?。そう、なんだ…』

僕は何故か悲しくなった。
特に思い入れはないはずなのに…。

彼女は話を続ける。

『だから、行きたいなと思って。一緒に行かない?』
『まぁ、暇だし…』
『ありがとう!。でも、本当にいいの?。他の用事とか…』
『いいよ。あっても里帰りとか親父のお墓参りだもん』
『あ、そっか。お父さんの…』
『そう。だから、行こうぜ』

こうして
僕たちはお互いにスケジュールを合わせ
夏休みの終わりにその遊園地へ行くことになった…。

それから僕達は
互いに予定を過ごし
その当日がやってきた。

その日
僕はいつもよりも早く目を覚まし
落ち着かないを理由に
早めに遊園地の入口へ向かった。
すると
そこにはすでにミサキが待っていた。

『ごめん。待った?』
『ううん。大丈夫』
ミサキは軽く首を横に振る。
その仕草に少し目をそむけてしまう。

『―――』

少し緊張が増した。

『じゃあ、行こうか』
『うん…』

妙に気恥ずかしさを感じる。
いつも会う時はこんな事ないのに…。

僕達はメリーゴーランドや小さなジェットコースターなど
片っ端からアトラクションを楽しんだ。
そして時間が流れて
夕暮れどき。

僕は遊園地のフードコートでコロッケ屋を見つけた。

あれ…。
あのコロッケって…。

僕は足を止める。

『どうしたの?』

『あのコロッケを食べたいと思って…』

僕はそのお店でコロッケを2つ買い
彼女と一緒に
飲食が出来るエリアに設置されていた
プラスチックの椅子に座って
コロッケを一緒に食べた。

そのコロッケは
どこにでもありそうな味だったけど
どこか懐かしさもあった。

その感覚で思い出した。

僕はお父さんとこの遊園地に来たことを…。

それは遠い過去。
僕が幼稚園児の頃だ。
仕事で疲れているなか
僕がワガママを言って
連れてきてもらったのがこの遊園地。

あの時は
お父さんとは仕事でほとんど遊びに行けなかったから
僕は跳び跳ねて喜んだ。

その移動中もワクワクでお母さんに
怒られるほど…。

遊園地では
お母さんの暖かい手と
お父さんの強い手を握りながら
アトラクションを巡り
他愛のない会話をした。

すると
お父さんが『次、あれに乗ってみるか?』とそう言って指を指したのは
子供用のジェットコースター。
でも
僕は怖いと思って
怖じけついてしまった。

その時にお父さんから『やれば変わる』と言われ
僕はその言葉に勇気を貰い
初めて怖いと思う事を乗り越えた経験をした。

今もそのお父さんの声があったから
前へ進むことができている…。


『お父さんに会いたいな…』

会えるわけもないのに
ぽつりと呟いてしまった。

それを聞いたミサキが言う。

『泣いていたら、お父さんに笑われるよ』

ミサキの言葉を聞いて
僕は手を頬に寄せた。

本当だ…。
泣いている…。

僕はそれを手で拭い
ミサキの顔を見て

『僕、来たことあったみたい』と言った。

それを聴いてミサキは優しい笑顔で
『来てよかったね』と言ってくれた。

僕は残りのコロッケを
一口一口長い時間をかけて食べてながら
もう会える事のないお父さんとの時間を感じていた………


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