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2020年12月01日08:49

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11月の読書記録

とりあえず先々月より、ページ数がいったか。でも、サクっと読める本に偏りがちな…特に月末は雨宮処凜の著作でページ数を稼いだ感が否めない(笑)。それから期せずして女性による著作が多いな…

2020年11月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:6042ページ
ナイス数:140ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■不透明な未来についての30章
ヘイトやネトウヨは他国の人達と共闘することができないが、生きづらさを感じ、グローバリズムや格差社会、戦争に反対する人達は他国の人達と結びつき、共に声を上げることができる…そのことに希望が見えた気がした。それでも現実はひたすらに重く暗い。そんな中で少しずつではあるが、その現実を変えようとする人達の姿に胸を打たれる。ただ、あれだけの人達が叫んだ「安倍やめろ」の声を安倍信者にどう響いたのか?が妙に気になる。というか、全く響かなかったのだろう。ロスジェネが40代に至ったという事実の重さ。日本は一体どうなるのか?
読了日:11月29日 著者:雨宮処凛
https://bookmeter.com/books/12044881

■自己責任社会の歩き方: 生きるに値する世界のために
本書が出て早3年半の月日が経ち、事態はますます悪化の一途と辿っているようにしか思えないということに暗澹たる気持ちになる。本書に登場する現状にNOと叫んでいた人達はは今一体どうしているのだろう?それでも草の根的な運動の息の根を止めることはできない。それを信じるしかないのだろうか。タイトルにある「自己責任」という言葉。その言葉自体に罪はない。ただ、それをふりかざし、相手の立場や気持ちを考えず、一方的に攻撃する…その際に使われる紋切り型の言葉は、それが故の残酷さを持つ。果たして、20年代はどんな時代になるのか。
読了日:11月28日 著者:雨宮 処凛
https://bookmeter.com/books/11577157

■人間・この劇的なるもの (新潮文庫)
比較的小部ではあるが、その内容は重厚にして濃密。普段、自明と思っていた、自由や個性の意味について、今一度問い直すことを余儀なくされる。解説にもあるが、本書を読んで、ある種の憤りを覚える人もあるかもしれない。しかし、ただ反発し、憤るのではなく、それでも自由や個性に積極的な意味があるという論拠を示さねばならない。そういう意味で、本書は読者に思考的課題を課す役割を担っていると言える。ロックや学生運動など、自由や個性の価値を謳歌し、体制にを突きつけようとした試みは一体何だったのだろう?ということをふと考えた。
読了日:11月28日 著者:福田 恆存
https://bookmeter.com/books/572053

■にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)
声に出して読みたい日本語…斎藤某はあまり好きではないのだが、それでもあえてこんなことを言ってみたい気に(笑)。とにかく文語調ということで、最初はかなりとっつきにくいのだけれど、読み進めるうちに「ああ、そういう話の筋なのか」と段々と引き込まれていく。江戸時代の名残が濃い、明治初期の世界が、意外とそんなに遠い世界のことではないように思えてくるのが妙。ただ、解説にもあるように、著者が目の当たりにした底辺に暮らす人の姿は、著者自身の不遇な経歴と相まって、ただただ切ない。せめて後一年でも著者が生きていれば…惜しい。
読了日:11月25日 著者:樋口 一葉
https://bookmeter.com/books/552202

■ブラッドベリはどこへゆく―未来の回廊
どうしてこの人はこんなにまで少年期の瑞々しい感性を保ち続けることができるのだろうか?と改めて思わされた。詩情と躍動感に溢れたその文体を駆使して、迸るかのように生み出されるアイデアの数々…遥か先の未来を描きながら、どことなくノスタルジックな雰囲気をたたえているのもこの人ならでは。ただ、作者存命だった時代からすると、SFというジャンルはやりにくくなったのでは?という気にさせられたのも事実。かつてのSFで未来として設定されていた時代に至り、空想でしかなかったものが実現したものも少なくない状況でのSFの可能性は…
読了日:11月24日 著者:レイ ブラッドベリ
https://bookmeter.com/books/356072

■ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート
西欧の左翼はしぶとくて、ポジティブだな…と思わされた。というか、日本でもその傾向が見られるように、従来の右と左、保守と革新といった図式が最早無効になりつつあるのかもしれない。これまで読んできた著者の作品とはかなり趣が違って、語られる内容はかなり被るものの、その語り口が非常にシリアス。そして、タイトルが示唆しているように、その語られる対象が英国だけでなく、ギリシャやスペインなどにも及んでいるのが特徴。本書の時代から早数年。日本のSEALDsは最早見る影もないが、オルタナティヴはどこかにある。そう信じたい。
読了日:11月22日 著者:ブレイディ みかこ
https://bookmeter.com/books/11059694

■ブラッドベリがやってくる―小説の愉快
ブラッドベリ特有の詩情溢れる文体に感嘆するとともに、著者の息遣いそのままであるかのような、躍動感に満ちた訳に驚嘆。解説にもあるように、発表年にかなりの幅があるのにも関わらず、著者の瑞々しい感性と闊達な語り口は殆ど変わっていない。その辺りが著者の魅力の最たるものであり、今も多くの人を魅了する要因になっているのだと思う。とりわけ心踊らされたのが「ロボット〜」。かつて子供騙しの夢物語と一蹴されていたSFの真価が、世に認知されるようになるプロセスは、かつての日本SF黎明期とかなり重なる部分があるのに感慨を覚える。
読了日:11月21日 著者:レイ ブラッドベリ
https://bookmeter.com/books/386733

■神学の思考
二度目の再読。やはり、キリスト教に関する素養が無い人は理解が難しいのでは?と再認識。神学部の専門課程レベルと思われるくらいの高度な内容。以前の感想でも述べたように、神学を実学レベルまでに身につけるには、本書を相当に読み込むことが必要だということを痛感。また、本書で繰り返される、神の啓示は人間の働きかけには答えないという記述に、一キリスト者として、ならばどうすれば神に近づくことができるのか?と一抹のもどかしさを覚えた次第。また、バルトとその愛人との関係に、常識的な倫理観ではわりきれないものが感じられた。
読了日:11月19日 著者:佐藤優
https://bookmeter.com/books/9273863

■ムハンマドのことば: ハディース (岩波文庫)
とにかく夥しいまでに頻出する似たようなアラビア系固有名にかなりゲンナリ(笑)。それはともかくとして、一キリスト教信者としては、やはり複雑なものを覚える。時にキリスト教に親和的な記述が見受けられるものの、しかし、やはり根底的な所では受け入れられないものがある。その辺りのことをキリスト教神学者は無視するわけにもいかず、かといって真っ向から否定してかかるわけにもいかないという二律背反的な立場に追い込まれるのではないか?また、そのような複雑で厄介な状況を作り出した神の真意は一体何なのか?ということも気になる。
読了日:11月18日 著者:小杉 泰
https://bookmeter.com/books/14642602

■アナキズム・イン・ザ・UK――壊れた英国とパンク保育士奮闘記 (ele-king books)
どんな過酷で理不尽な状況であっても、人は生きていかねばならないし、大抵の人間はどうにか生き延びている…本書で幾度となく言われているように、それがどうしようもなくクソみたいなものでも…そのどうしようもなく行き場のない状況を、ユーモラスな口調で語る、作者の筆致に改めて脱帽。その文才に軽い嫉妬さえ覚える。音楽だけでなく、かなり多様な蘊蓄がさりげなく散りばめられているところに、知性が垣間見られる。個人的にとりわけ強烈だったのは、底辺託児所でのエピソード。性善説を真っ向から疑いたくなる程の悪ガキの所行に言葉を失う…
読了日:11月14日 著者:ブレイディみかこ
https://bookmeter.com/books/7449707

■生き延びるための思想―ジェンダー平等の罠
乗り越え難い性差の壁。しかし、壁があるからといって、その一方が不当な立場に甘んじることが許されるわけではない。しかし、長い間それが罷り通ってきたという重い事実。かといって、米軍における女性兵士の存在に顕著なように、男女差を無くすかのようなあり方も、それはそれで歪みが生じる…男性女性というより、個々人が個々人らしく生きることができるにはどうすればいいのか?問題はそこに行き着くのかも。個人的には「命より大切なものがある」という考えを是とする立場なのだが、それに否を唱える著者の立場にも一考の価値があると思う。
読了日:11月14日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/385208

■エセー〈3〉
三巻目ともなると、そのスタイル…とりわけ西洋史のエピソードに少なからず紙幅を割くというそれにかなり慣れた感が。これまでになくさくさく読み進めることができたのと同時に、格調高い文体を楽しめるようになった気がする。ごくなにげないことをテーマにしていても、そんな考え方があったのか、と思わず虚をつかれるような知見が散見されるのはさすが。その辺りは、繰り返し読んで味わうべき類のもの。そいういう意味で、かの『徒然草』と並び称されるということに改めて納得がいく。とりわけ第2章は酒飲み必読。身につまされることうけあい?
読了日:11月11日 著者:ミシェル・ド モンテーニュ
https://bookmeter.com/books/401817

■ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝 (ele-king books)
語り口は軽妙でユーモラスだが、その内容はシリアスで重い。リアルタイムでは、割に優しそうな人というイメージだったサッチャーが、実は相当にえげつないことをやっていたというのは、ある程度知ってはいたが、あそこまでとは…そんな人を長いこと政権に就いていたというのが、今となっては謎。また、世相が混沌を極め、左右のイデオロギーの定義が困難になっているというのは、英国も変わらないのだな…と痛感。ただ、こちらのほうが状況はより複雑なようだが。個人的にはモリシーの章がとりわけ興味深く読めた。彼の英国での人気に驚かされた。
読了日:11月11日 著者:ブレイディみかこ
https://bookmeter.com/books/9014724

■ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち
イギリス労働者階級のおっさんは一見情けなくても、実は結構タフで、憎めなくて、それでいて意外ともてたりするのか…日本のおっさんとかなり被る面がある分、余計に差異が際立って見えてくるのが興味深い。同じ島国ということも、影響しているのか?そういう英国の事情をつぶさに語る著者の文章の上手さに舌を巻いた次第。カタカナ英語を多用した文体になぜか不自然さや嫌味を感じることなく、文章にスピード感と心地よいリズムを齎しているのが凄い。非常に頭がいい人なんだろうな…と思わされた。終盤の解説が何とも重いが、英国の実情である。
読了日:11月08日 著者:ブレイディみかこ
https://bookmeter.com/books/15675892

■全品現代語訳 法華経 (角川ソフィア文庫)
意味が分からなくても、ひたすら口唱することに価値があるとされる経文。それを分かりやすい現代語に置き換えられたものを読む…その内容は理解できても、その経文が持つ霊性に触れたことにはならない。本書でも言及されているが、そのことについて改めて考えさせられた。一見、荒唐無稽にしか思えないエピソードでも、意味がわからないながらも、漢文で唱えることで、体感できるものがある。しかも、その経文はオリジナルではないのだ。仏教の霊性の不可解さが端的に表れているといえるか。経文独特の豊かで美しいイメージに触れることができた。
読了日:11月08日 著者:
https://bookmeter.com/books/12672520

■サイコパス (文春新書)
サイコパスのイメージは明確になったが、 新書という制約があるとはいえ、どこか底の浅さを感じたのも事実。本書でも言及されているトンデモ科学的な要素が、後年になって、本書にもあると指摘されるのでは?と思わせる危うさがある。ただし、サイコパスという概念が比較的新しいもので、その研究もまだまだ発展途上にあるため、致し方ない側面もあるが。個人的にとりわけ驚かされたのが、普段、普遍的と思わされている倫理や道徳が、かなり後年になって作り出された概念だという指摘。だからといって、これらの概念を蔑ろにするわけにはいかない。
読了日:11月05日 著者:中野 信子
https://bookmeter.com/books/11228320

■闘うための哲学書 (講談社現代新書)
哲学書のチョイスがかなり政治寄りかな…というのが、第一印象。また両対談者の立場の違いから、時折、かなり加熱気味になることがあって、読んでいてちょっとハラハラしてしまった(笑)。この点に関しては萱野氏も言及しているのに、ちょっと笑った。また、終盤では現代のロールズやサンデルの政治思想が扱われていて、この辺りの知識を整理しないとと再認識。それから、哲学は虚学ではなく、役に立つという視点を打ち出しているのも印象的。そういえば、最近、哲学教育をしている企業があると聞いた。一過性の動きで終わらないといいが。
読了日:11月04日 著者:小川 仁志,萱野 稔人
https://bookmeter.com/books/8623535

■文学こそ最高の教養である (光文社新書)
このタイトルはちょっと盛りすぎではないか?というのが第一印象(笑)。それはさておき、かねてから新訳文庫を愛好している者にとっては、たまらない内容。このシリーズがこれからも末長く続いて欲しいと改めて痛感すること請け合い(?)。また、本書を通読して、再認識させられたのは、翻訳という仕事の大変さとその魅力。そして、先達による翻訳業の偉大さと、層の厚さ。とりわけ『失われた〜』の翻訳がこれだけ多いという事実をもっと誇っていいのでは?と思わされた。そして、人文系教育の大切さ、それを縮小しようとする動きの愚かさを痛感。
読了日:11月03日 著者:駒井稔,光文社古典新訳文庫編集部
https://bookmeter.com/books/16241309

■世代の痛み - 団塊ジュニアから団塊への質問状 (中公新書ラクレ)
異色の組み合わせだなあ…と何となく気になって読んでみたが、想定外に興味深い内容。団塊と団塊ジュニアが直面してきた問題は、その間に生まれた僕にとってもリアルに突き刺さる。年齢的にはロスジェネに属していないが、彼らの歩みとかなり共通する経歴を経た者として、雨宮の体験は重く受け止めた。また、耳に痛かったのは、度々繰り返されるオッさん批判。この批判を当のオッさん達に読ませたいのだが、読ませても響かないと思うともどかしい。そして、何より日々右傾化が進んで行く現状に暗澹たる思いが。それでも草の根的な動きが重要か。
読了日:11月03日 著者:上野 千鶴子,雨宮 処凛
https://bookmeter.com/books/12301299


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