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2020年10月20日00:11

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黒船から江戸の町を守る

 今週日曜日に東京都お台場にある、品川第三台場(しながわだいさんだいば)を見学してきました。
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 台場とは江戸末期に開国を迫る諸外国の軍艦に対抗するために日本各地に建設された洋上砲台の事で、以前訪問した神奈川台場(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973405904&owner_id=16951242)もその一つとなります。
 幕府によって造られた台場なので「御」が付き、それが現在の「お台場」の地名の元になっています。
 今回デジカメの調整を間違えて、前半の写真の色調がおかしくなっていますがご了承ください。

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 1853年にペリー提督率いる黒船船団が来航し、幕府に開国を要求します。
 幕府は二度目の来航までの間に急ピッチで台場の整備をはじめ、当初は11基の建築が予定されていました。
 
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 このような感じで、一直線に江戸湾の入り口を守るように設置される予定でしたが、予算不足などの理由で第四、第七台場は未完成で終わり、それ以降のものは未着工になってしまいます。
 翌年再来航したペリーは、完成した6基の台場の為に江戸に上陸できず、横浜に上陸する事になります。

 現在残されているのは、第三台場と第六台場のみで、その内の第三台場は陸続きとなっていて「お台場海浜公園」として一般に開放されています。

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 ほぼ正方形をしていて埋め立てされた石垣と土塁に覆われた中心は駐屯する武士や兵士のための長屋や弾薬庫が置かれていました。

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 北西方向(江戸港湾中心部方向)には船着き場があります。
 埋め立てが進み陸続きになる前は孤島だったので、立ち入りはここからしか出来ませんでした。 

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 周囲の武者走り(?)には砲が設置されていました。
 これは大正期に入り東京府に払い下げられた後、公園として整備された際に設置されたダミーで、実際は80ポンドカノン砲というものが設置されていたそうです。

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 写真右側が海側で、左側が台場内になります。
 なにか削平が曖昧だな、という感じがしますが、海側の土塁が恐らく払い下げになった際に崩されてしまったのだと思います。
 本来なら、人の胸のあたりくらいまでの高さがあった土塁ではないかと推測します。

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 内側にある弾薬庫跡。
 内側に降りて周囲を見上げると、体感で5メートル近くあり面積の割にはかなり深い(というか周囲が高い)印象がありました。
 これは軍艦との砲撃戦を考慮して、長屋などがある内部に砲弾が撃ち込まれないようにするための工夫だと思います。

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 長屋の位置を示すコンクリート敷。
 柱の付け根のようなコンクリ土台は、おそらく公園時代のアーケードかなにかの名残で、実際の建物とは関係ないでしょう。

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 海辺まで降りて見上げた石垣。
 埋め立てるのですから周囲が石垣になるのは当然としても、結構な高さがあり上記したような対砲撃を考慮した設計だと思います。
 まず周囲に木の杭を打ち間を石で囲んだ後に内側の海水を排水。
 干上がった海底に石垣を組んでいくという複雑な工程で建築されており、のべ5000人の工夫と75万両(現在の価値で約700億円)の費用が掛かったそうです。

 内部を一通り見学した後は、レインボーブリッジに向かい、上から観察。

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 後ろに広がっているのがお台場の海水浴場・・・しまったフジテレビを入れたアングルの写真も撮っておくべきだったか(苦笑)
 払い下げられ公園となった時に植樹されたせいと、「公園としては」放置に近い状態が長かったせいで、一部はかなり木々がうっそうと茂ってしまっています。
 一部城跡とは関係ない設備も残されてしまっているので、その辺りを撤去して欲しいのですが・・・

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 第三台場の沖合に浮かぶ、第六台場。
 こちらは完全に立ち入り禁止になっており、第三台場以上に木々がうっそうと茂ってしまっています。
 一見したところ遺構ではないような施設が見えたので、ここも払い下げられた時に何らかの施設が造られたのでしょうね。

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 第三台場と同様に切り欠き部分に船着き場があります。

 江戸末期から明治初期にかけての台場や西洋式城郭というと、あまり城というイメージは持ちにくいかもしれませんが、ここだって続100名城にしてされた立派な城跡なんです。
 また、各地の残された台場や沿岸砲台跡なんかも、城跡とされています。
 今回見学して感じたのは、砲台跡は砲台跡でちゃんとその戦術に乗っ取った縄張りと建築方法を取っているという事。
 神奈川台場は遺構がほとんど残っていないのでそれがよくわからなかったんです。
 今回の経験を踏まえて各地の台場跡に行ってみると、また違った発見が楽しめるかもしれませんね。

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 デストローイ!(何だこのオチ?)
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