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2020年10月13日19:52

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妄想小説 暁烏 88

ワイングラス小説 暁烏 88ワイングラス
「やっぱりそれを話さないと駄目?」
「駄目だね。そこからいろんなことが始まったのだから・・」
「ど、しようかなぁ・・」
 女房は計算していた。駆け引きをどうするか?別れた元夫とどう付き合えば得か?久々に会った元夫の変化、自分の気持ちの変化・・人間の頭はスーパーコンピューター以上かもしれない。同時に多方面から解析している。 
 俺は不思議な心持で女房を見ていた。俺の知らない数学記号が女房の脳を駆け巡っている。俺に読み取れたのは、少し俺に頼りたい弱さだった。それも良い。少しの弱さも見せなかったから俺は距離を取ったのかも知れない・・今は冷静に当時のことを振り返ることが出来る・・
 女房はどんなきっかけで離婚を考え、準備をしていたのだろう。公証役場に呼びだされた俺は、用意された書類と離婚用紙に署名捺印を求められた。義信の留学が決まり、俺はアメリカの真理さんと頻繁にメールのやりとりをしていた。女房が離婚を決意していることも知らず、義信がまったく会話に応じず、なんでもいいから早く家を出たいと言うことだけを考えている理由も知らず・・義信は俺だけでなく、女房をも拒否していた。間に立って俺は女房や義信の感情対立をどうほぐすかだけを考えていた。
 俺にとっては突然切り出された離婚。しかもドラマなどで見るような離婚用紙を渡されただけではない。存在さえ知らなかった公証役場で、財産や親権についても書類化された文書の確認を求められた驚き。財産分与がどうとかこうとか言ったが、聞く余裕などなかった。俺は義信がアメリカへ行った後、夫婦関係が修復するかもと、のんきに思っていた。思わぬ形で与えられた子供と離れて暮らす生活。異国に暮す義信のことを俺と女房は毎日のように話すだろう、義信に向いていた女房の心が俺に向くだろう、新婚気分で新たな夫婦生活を妄想していたのだ。頭が真っ白になると言う表現があるが、たぶんその時の俺の状態だ。公証役場の職員に促され、署名捺印をして俺は店へ戻った。営業時間前の短い時間の一幕。
 その日の夕方店へ顔を出した女房が「店はあなたのものだから、売り上げを渡す必要がない」と言ってきたが「資本を俺は出していない」と応じた。俺の金は女房の金、女房の金は女房の金との考えを持っていた俺は、意固地にそう主張した。それが女房を怒らせたようだ。「それなら店の鍵を渡しなさい。すぐに店から出て行きなさい」初めて感情露わな喧嘩になった。不幸なことに、たまたま客がおらず、互いに感情を吐き出した。引っ込みがつかなくなった俺は、店の鍵を置き、買い物用に使っていたスクーターに乗って店を飛び出た。後で冷静になると、店を閉めるなら閉めるで常連客への挨拶など、いろいろやるべきことがあることに気付いたのだが・・
「義信は何も話さなかった?」
 女房がバッグからタバコを出した。
「タバコを吸ってたっけ?店内禁煙だから、吸うなら外の喫煙所に行かないと駄目だよ」
「そう・・じゃ我慢する。時々吸う程度なのよ」
「我慢しなくてはいいよ。俺も吸いたいし・・」
 俺は表の店員に声をかけ、女房と喫煙場へ向かった。(続く)

コーヒークウネル日記コーヒー
 カーナビに頼っていると駄目ですね。今日は生駒高原へコスモスを撮りに行こうかと思っていたのですが、晴れているのにドライブする元気が出ず、カーナビの機嫌が悪く登録地への誘導をしてくれないので、近場の神柱公園で済ませました(笑)方向音痴なので、生駒高原へ辿り付く自信がないし、帰って来れるかどうかの不安もだったのです(汗)
 桜が咲いていましたよ。たぶん桜だと思うけど、最近花の種類に自信なし(汗)神柱公園から街ブラスナップに切り替え、駅前通りを歩き、トイレのある市民文化ホールへと・・それで疲れたのか帰宅と同時に昼寝(笑)
 小説をアップせねばと、途中まで書いてあった妄想小説に手を出したのですが苦戦しました(笑)
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