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2020年09月19日22:40

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90 詩・短編を書いてみた(第1923回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b


「深夜のライブ会場」

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【あらすじ】
深夜の警備の仕事を長年していると分かることがある。
それは深夜に働かないといけないことを除けば
比較的には楽な仕事ということ。
何故なら
何か起これば警察が対応してくれるし
何も起こらなければ
エアコンが効いた守衛室で
ゲームをして過ごしてもいいのだから。

もちろんバレたら終わりだけど…。

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そんなある日のこと。
鼻唄混じりに会社のパトロールをしていると
どこからか音が聞こえてきた。
それは音楽のような…。
楽器の音のような…。
人の声のような…。

その音の発生源を辿る。
すると
それは屋上から聞こえてきていると分かった。

しかし
おかしい。
屋上のドアは基本的に施錠されている。
一般人はもちろん社員でさえ
普段は出入りすることは出来ない。
唯一
出来るとしたら鍵を持っている私みたいな警備員だが…。
今日の担当は私一人だけ。
いること自体あり得ない。

一体、誰がこんな場所に…?

私は腰に掛けていた屋上の鍵を使い
そのドアを開けた。

ゆっくりとドアを開けて
屋上を覗くと…。

そこには
小さい照明やスピーカーが置いてあり
そのセンターには
ギターを持った女の子が立っていて
マイクに向かって曲を歌う準備をしているようだった。
それはまるで小さなライブ会場のよう。

しかし
屋上にそのような設備を設置した記録や情報は無い。

違和感だらけの光景に
私は警察に通報しようと思ったが
少し考えて止めた。

この手の類いには何度も遭遇しているからこそ
直感だけど分かる。

彼女は多分
この世界にいる人ではない。
私が見ている光景は
彼女が作り出した幻影なのだと思う。

だから
彼女の演奏は私にしか聞こえていないだろう。

そう思った時
何年ぶりに開けられたドアの蝶番から
音が鳴ってしまった。

その音に気づいた彼女が
素早く顔をこちらに向ける。
明らかに警戒しているみたいだ。

僕は隠れるのを止めた。

『あぁ、ゴメン。驚かすつもりは無かったんだ。ただ、素敵な曲が流れてきたから、ぜひ聞きたくて』

そう言うと
彼女は警戒心が少し和らぐ。

『私は警備の仕事をしているのだけど、あまりにも暇で、出来たら君の曲が聞きたいのだけど…。ダメかな?』

そう言うと
彼女は警戒心が少し和らぐ。

『私は警備の仕事をしているのだけど、あまりにも暇で、出来たら君の曲が聞きたいのだけど…。ダメかな?』

そう言うと
彼女は僅かに嬉しそうな表情を浮かべ
前の箱馬を指差す。

『ここに座って』と言っているのだろう。

私は彼女が指差した場所に座り
彼女の演奏を聞くことにした。

ギターの弦がピックで揺らされている。
チューニングをしているのだろう。

準備が整い
彼女は演奏と歌を歌い始めた。

演奏は何か足りない気がしたが
とても力強くて綺麗な歌声で
ここで聞いていると
連日の仕事疲れが緩和されていくように感じる。

それから
私は毎日ではなかったが。
私にしか聞こえないであろう彼女の歌声を聞きに
屋上へ上がり
その時間を楽しんだ…。


ある日の朝方
仕事が終わり家へ帰宅した私は
押し入れから埃の被ったギターケースを引っ張り出した。

学生以来だからなぁ…。

このギターは
私が学生時代に軽音楽部で使っていたモノで
よくオーディションやコンテストに出ていた頃が懐かしい。

私はケースからギターを取り出し
一緒に入っていたピックで弾いた。
懐かしい音が出ると思ったが
長い時間で弦が錆びていたからだろう。
とても音色を奏でられるような状態ではなかった。

私はため息を吐き
ギターをケースにしまって眠りについた。

それからというもの。
私は余裕がある時に
そのギターを弦を張り替え
演奏の練習を行ったりした。
昔の感情を思い返しながら…。

しかし
ある日の朝
上司からこんな報告を受けた。

この建物が耐震の問題で
取り壊されることが決まったという。

私はショックだった。
もうあの子の歌が聞けないと思うと…。

取り壊しの数日前。
この日は彼女と会える最後の日。
私は練習したギターを持ち出し
彼女のいる屋上へ向かった。

屋上のドアを開けると
彼女はいつものようにギターを弾いていた。

私はいつもの指定席に座り
持ってきたギターを取り出す。

彼女は少し驚いたような表情をした

僕は『君とセッションしたくて練習したんだ』と言うと
彼女は恥ずかしそうな表情を浮かべ
自分の隣を指差した。

『ここで演奏を…』ということだろう。

私は隣に立ち
チューニングを済ませて
彼女の弾くギターに合わせて弦を響かせる。
一つ一つの音色が
私の学生時代の日々を思い出すかのように心を震わせた…。


全ての演奏が終わり
私達は笑顔でハイタッチをした
もちろん触れられない。
そんな動きをしただけ。

私は彼女の隣を離れた。
すると
彼女は満足したのか少しずつ消えていく。
私は笑顔でそれを見守り
彼女は口を動かした。

『ありがとう』
そう言った気がした。

数日後
あのビルは解体され
私は違うビルの警備を任された。

もう彼女に会うことはないだろうが
ただ
音が聞こえてくると
ふと振り返ってしまうんだ。

あの音色はあの子の音色ではないかって…………




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