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2020年08月27日20:41

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「ミクシィ」が奇跡の復活、東証1部に上場できた理由

「ミクシィ」が奇跡の復活、東証1部に上場できた理由

https://diamond.jp/articles/-/247003


2000年代後半、かつてはSNSの先駆け的存在として君臨するも、ツイッターやフェイスブックなど“黒船”の襲来によって徐々に衰退していった「ミクシィ」。その後、紆余(うよ)曲折を経て約10年がたち、今年6月に同社は東証1部上場を果たした。“奇跡の復活”を遂げることができた理由を、ミクシィの木村弘毅社長に聞いた。(フリーライター 岡田光雄)

赤字に転落するも
5年連続の黒字回復
「ミクシィ」という社名を聞いたときに、同社のサービスといえば何を思い浮かべるだろうか。2004年にサービス開始したSNS「mixi」や、13年にリリースしたスマホゲーム「モンスターストライク」(以下、モンスト)など世代によってさまざまだろう。

 フェイスブックやツイッターが隆盛を極めていた13年以降、同社はSNSプラットフォームとしての力を失い、一時は赤字に転落した。

 しかし、ここ6年間は黒字が続いており、今年3月期の売上高は1121億7100万円。先日発表されたばかりの4〜6月の連結決算でも、売上高293億円(前年同期比41.3%増)、営業利益74億円(同4.7倍)、純利益48億円(同4.4倍)と大幅な増収増益だ。

 そんなミクシィは、新型コロナウイルスが猛威を振るう今年6月、マザーズから東証1部へと市場変更すると発表した。

「市場変更するための準備は去年1月頃から進めており、たまたまコロナの時期と重なったというのが実情です。現在、コロナによって社会が混乱と不況に陥っており、予断を許さない状況ですが、一部上場の審査では、こうした状況下であっても成長を続けられる企業だと評価してもらえたのだと思います」(木村氏、以下同)

 一時はSNS事業で満身創痍(そうい)だったミクシィは、なぜ奇跡の復活を遂げることができたのだろうか。

モンストで日本一に返り咲き
その背景にあった緻密な分析
 海外SNS勢に後れを取り形勢不利だったミクシィにとって、復活の最大の原動力がモンストだったことは言うまでもない。

 モンストとはスマホ用のゲームアプリ。基本的な遊び方としては、自陣側のモンスター4体(自分やフレンドが操作)を敵モンスターに体当たりさせて倒すというものだ。スマホのスワイプ操作で的を絞り、敵に直接攻撃を当てるだけでなく、ビリヤードのように壁を利用して跳ね返りで敵にぶつけることなどもできる。ゲームを進めていく中で強いモンスターをゲットしたり、成長させることも可能だ。

 ここで注目すべきは、モンストの開発にいたるまでの緻密な「分析」だ。

「まず大前提として、私たちはゲーム屋でもSNS屋でもなく、コミュニケーション屋です。SNSのmixiの分析を通じて、当初から私たちは親しい友人や家族とコミュニケーションがとれるツールにこそニーズがあると確信を持っていました。その延長線上でゲームを作るとなったとき、友達とコミュニケーションをとるためには共通言語が必要だと考えました。その共通言語とは、パッと画面を見たときにどんなゲームなのかがすぐに分かり、画面を触ったらすぐに操作ができるくらい“シンプルで簡単な仕様”だと気付いたんです」

 その結果、たどりついたのが今のモンストの形だったという。

「当時の一般的なスマホゲームの仕様は、画面の上半分にキャラクターが映っていて、画面の下半分に操作パネルがあるというように2分割された構図でした。その理由はガラケー時代にポチポチとボタンを押して操作していた仕様の名残からです。そこで私はある日、社員に『遊び方や戦局を一目で分かってもらえるように、スマホ画面全体で操作ができるようなゲームの企画を考えてほしい』とお題を出しました。そのとき社員の一人が、ビリヤードのアイデアを出してくれて『それだ!』って思ったんです」

 2013年にモンストがリリースされるやたちまち話題となり、「App Store」や「Google Play」など数々の売り上げランキングで首位を記録。19年12月時点での世界累計利用者数は5300万人にも達し、台湾や香港など海外でも根強い人気を誇っている。

ユーザーサプライズファースト
自己破壊経営で組織改革
 モンストという最強コンテンツの開発にいたった「分析力」に加えて、木村氏がさまざまな「改革」を断行してきたことも好調の一因だろう。2008年にミクシィに入社した木村氏は、13年にモンストスタジオ(現モンスト事業本部)プロデューサーに就任したが、その際チームに浸透させたのが「ユーザーサプライズファースト」の精神だった。

「顧客の驚きを何よりも優先する。そのためなら、同僚や上司に対しての忖度(そんたく)や遠慮などは、すべて二の次でいい。それで仮に失敗したとしても決して責任をとがめない。また従業員には、ユーザーを自分の親友だと思って接してほしいとも伝えています。親友に対しては絶対にウソをつかないことが大前提ですが、常にフラットな関係でいることが望ましいと思っています。私たちが目指すのはユーザーファーストではなく、ユーザーサプライズファースト。多少ユーザーに怒られることはあるけれども、親友のために驚きを提供していこうという文化を作りました」

 その後、木村氏は18年にミクシィ代表取締役社長に就任。掲げた経営理念は「自己破壊経営」だった。

「自己破壊経営とは、過去の成功体験にとらわれることなく、新しいコミュニケーションツールを創出するためにチャレンジを続けていくこと。ただ同じことを繰り返すだけではなく、新たな一歩を踏み出していくからこそ、非連続的な成長(=新たな分野での成長)を実現できるのです。これまでSNS『mixi』や『モンスト』ではナンバーワンを経験してきましたが、歴史的に見てナンバーワンというのはイノベーターに倒されやすい存在。他社に倒される運命なら自分たちで壊してしまおう、ということで自己破壊経営を掲げています」

 自己破壊経営の一環として、木村氏は大胆な人事改革も行った。

「私が社長に就任してからは、プロデューサーや事業責任者などをかなり入れ替えましたが、その際になるべく前任者とは違う価値観やキャリアを持っている人材に任せるようにしました。なぜなら、ある分野について知りすぎているがゆえに、なかなか怖くて一歩飛び込めないということは多々あるからです。たとえばモンストのプロデューサーはこれまで2回変わっており、今の3代目は女性です。彼女はゲームではなく元々マーケティングのプロでしたが、人気アニメ『鬼滅の刃』とのコラボ企画をはじめ、今や面白い仕掛けを次から次へと考えてくれています」

 そんな木村氏が率いるミクシィは、現在、競輪の車券投票もできる動画プラットフォーム「TIPSTAR」の運営やプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」との資本提携をはじめ、スポーツ事業にも力を入れている。自らをコミュニケーション屋と名乗り、SNSやゲームの領域以外にも多角的に投資の芽を育んでいることも成長の原動力となっているのだろう。

 今後、ミクシィはどんな領域にコミュニケーションの新たな息吹をもたらすのだろうか。

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