mixiユーザー(id:1904053)

2020年07月11日10:49

32 view

ピアノ・ソナタ第2番

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第2番イ長調作品2-2
クラウディオ・アラウ(ピアノ)


かんち自身の解説

ベートーヴェンのピアノ・ソナタは、弦楽四重奏曲と並び彼の活動期間のすべてにおいて作曲されたジャンルです。

第1番で17分ほどだった作品は、あっという間に30分ほどの大作に。同じ作品2です。ベートーヴェンが鼻から意気込んでいたことがよくわかる事例だと思います。

意外にも、交響曲だけを聴いてしまうと、ベートーヴェンはピアニストとしてデビューしたという史実を忘れてしまいますが、そもそもは当代きっての名ピアニストとしてデビューしたのです。モーツァルト以来の天才として。当時の奏者はアレンジャーであることが当たり前でしたから、ピアニストとしてデビューするということは、いつかは作曲もするんだろうなという期待を背負っていた、ということでもあるわけなんです。

そんなベートーヴェンの、若き情熱たっぷりの第2番を、じっくりとお楽しみください。奏者は悩みに悩んだ末、アラウに決定。彼のラテンの血が入ったピアニズムは、ドイツロマン主義の生命にしっかり火を灯している演奏だと思いますが、皆様はどう感じますでしょうか。

***************************************

ピアノ・ソナタOp.2の3曲は、いずれも自筆譜が消失しており、1796年3月にウィーンのアルタリア社から初版が刊行されたこと以外には、作曲年代を特定する情報はほとんどない。従ってこの第2番Op.2-2は、おそらくは第1番Op.2-1、第3番Op.2-3とほぼ同時期に作曲されたと思われるが、番号順に作曲されたかどうかは定かではない。


第1楽章 イ長調 4分の2拍子 ソナタ形式

(提示部)

主要主題は、3オクターヴのユニゾンによる跳躍下行と順次上行という対照的な動機からなり、確保(第21小節〜)を経て即興的な推移(第32小節〜)となる。

副次主題(第59小節〜)は属短調のホ短調であらわれ、短3度ずつ上昇しながら繰り返される。属調のホ長調による楽想(第84小節〜)を挿み、先にあらわれた即興的な推移が再現してコーダとなる。


(展開部+再現部)

提示部をホ長調で締めくくった後、ホ(単音)→ホ+ト+ロ(三和音)→ホ+ト(3度重音)という進行が挿入され、展開部(第123小節〜)を開始するハ長調(イ長調の同主短調の3度調)を導く。

まず、主要主題の跳躍下行動機を用いて、ハ長調、変イ長調、ヘ短調と転調を繰り返し、ふたたびハ長調へ戻ると、今度は順次上行動機がヘ長調であらわれる。二短調、ト短調、ヘ長調と転調を繰り返しながら順次上行動機が展開され、主調の同主短調であるイ短調へ転じると、ドミナントがながく引き延ばされて再現部を準備する。

再現部(第226小節〜)は古典的ソナタ形式の規範に則り、副次主題(第279小節〜)を主調(の同主短調)で再現し、提示部と同様の推移とコーダを主調へ移置して楽章を閉じる。


第2楽章 二長調 4分の3拍子

ロンド形式を援用しており、4声部書法を基本とした弦楽四重奏風の緩叙楽章である。

第1クープレ(第19小節〜)は平行調のロ短調へ転じ、ロンド主題の回帰(第32小節)の後に、主調の二長調による第2クープレ(第50小節〜)が置かれる。しかし、次のロンド主題回帰(第58小節〜)は同主短調の二短調となり、主調での回帰(第68小節〜)においては音域を1オクターヴ高め、内声部に変化が与えられている。


第3楽章 イ長調 4分の3拍子 スケルツォ

第1番Op.2-1の中間楽章はメヌエットであるが、第2番ではスケルツォが用いられている。音型化された分散和音のスケルツォ主題をもち、トリオの役割を果たす中間部はMinoreとなり、同主短調のイ短調へと転じる。


第4楽章 イ長調 4分の4拍子 ロンド

ロンド主題は、3オクターヴを超える幅広い音域のアルペジオと、2オクターヴ近い跳躍下行に特徴づけられており、冒頭のテンポ指示が示すように、まさに優美なGrazioso主題である。

16分音符による即興的な推移(第17小節〜)を経て、第1クープレ(第27小節〜)が属調のホ長調であらわれる。ロンド主題の回帰(第41小節〜)に際しては、アルペジオの音域が4オクターヴ超に拡大される。

第2クープレ(第57小節〜)は同主短調のイ短調へと転じ、8分3連音符の半音階上行と付点リズムの和音とが組み合わされる。第1クープレもそうであったが、第2クープレはそれ以上に極めて主題的な性格をもっており、従来のロンドのクープレとは様相がだいぶ異なっている。第2クープレは反復記号をもち、さらに平行長調のハ長調へと転じて規模を拡大している。

次なるロンド主題の回帰(第100小節〜)では、アルペジオが急速な音階上昇へと変容し、主題を構成する各動機にも、細かな装飾がほどこされている。ふたたび第1クープレへの推移楽想があらわれ(第116小節〜)、第1クープレが部分的に主調で再現される(第124小節〜)。

4度目となるロンド主題の回帰(第135小節〜)では、アルペジオが冒頭と同じ音域へと戻されるが、楽想は発展して第2クープレをなかば強引に引き出す。

ナポリ調の変ロ長調へと転じ、第2クープレの半音階上行と付点リズムが即興的に挿入された後、だめ押しのような5度目のロンド主題回帰(第173小節〜)を経て楽曲を閉じる。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する