毎週のDVD録画の一つにフランケン。シュタインの誘惑, 化学闇の事件簿がある。
今週は「いのちの優劣 ナチス知られざる科学者」を録画し観てみた。
この番組で取り上げられているのは、ナチスの時代に優生学に基づき病人、女性障害者は、
全て不妊手術すべきと主張した人類遺伝学者、オトマール・フォン・フェアシュアー。
ヒトラー登場以前のドイツ憲法では、同意なき不妊手術は違法な為、
フェアシュアーが描く、民族の優秀さを保つ理想社会実現に必要と考えた不妊手術は
出来なかった。が、ナチス党の党首に過ぎなかったヒトラーが、
第一次世界大戦の賠償問題と世界恐慌直後の経済危機の中で、我こそがドイツの救世主と
ばかり国民を扇動し、ついには国家元首の座に着いてからは、風向きが変わって
彼の時代が始まる。何故ならヒトラーは、国家財政を圧迫する病人、障碍者は
世の中の害と考えていたので、フェアシュアーの主張は全面賛成、ラブコールで
ナチスの作った疾病研究所の所長に迎え入れたからだ。
ヒトラーは憲法を変え、強制的に不妊手術ができるようにし、取り巻きにも
安楽死をくり返したカール・ブラント、精神科医のカール・シュナイダー、、
アウシュビッツで収容中の人々の人体実験をし標本作りをしたメンゲル等を配し、
病人、障害者を抹殺する体制を整えていく。
メンゲルはヒトラーの歓心を買おうと、殺害した障碍者の骨の標本、
目玉などを送っていたという。
人権もなにもあったものではない。人間を人間と思わない悪ことが平気で行われていた。
最終的にドイツ人口の10%以上の障碍者が殺害されている。
ossamaも務めていた知的障害者グループホームを全国的に管轄する協議会,
きょうされん(共作連)の藤井代表等30名余りの人が2年ほど前、かつての迫害状況、
現在求められているノーマライゼイション〈障害者が健常者と同じように日常生活、
社会的生活が送れるようにすること)の現状を知るためにドイツを訪れて
レポートされている。
ポーランドやドイツの強制収容所も訪れ、アウシュビッツでの解剖台の写真も
載せられている。
又、ドイツ議会は、反動勢力はあるものの、ナチスを台頭させた事への
反省の誓いの元にあり、障害者も発言の場を与えらた障害者作業所協議会が
設けられ日本より進んでいるとあった。
一方、日本同様、作業所での賃金は一般労働者より低かったり、差別の存在が
完全には解消されていないという共通の悩みも抱えていると感じたという意見も
載せられていた。
イギリスでは大幅の支援後退があり、支援者に心配を示す意見もあった。
日本では、2016年遅ればせながら障害者差別解消法が制定され、社会的配慮が
企業、団体の全てに求めらるとされ、大きな前進をみている。
かつてハンセン病患者が強制隔離された歴史は、日本でも深刻な影響を与えてきた。
テレビで観たのだが、結婚していた男性が、愛しているのに妻が辛い目にあうからと
意に反して離婚したという。妻もその人も涙したとあったが、そういう話は山ほどある
のを知っている。今は過去の過ちを反省して日本政府は賠償法も定めているが、
各地に未だに点在する隔離施設に居残る人が多いそうだ。
何故なら、人から人へ感染確率は1%にも満たないと判明していて、
十分な治療薬も開発済みにも関わらず、未だに偏見があり自宅に戻る気に
なれなかったり、高齢すぎる為だという。
3000年に及ぶユダヤ人への迫害、差別といい、日本のハンセン病患者、部落民への江戸
前後からの差別といい、人権宣言があったり、差別禁止法があったりしても、
世の中の人すべての心の中が変わらない限り、差別はなくならないという事か?
この番組を観て、そんなことを考えざるをえない。
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