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2020年05月01日11:59

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原発雑考第382号   電力業界の2つのトップ人事  フクシマ、コロナ、温暖化など


原発雑考第382号の転載です。

2020・ 5・5
発行 田中良明
転載自由
連絡先 豊橋市富士見台二丁目12-8 E-Mail tnk24@tees.jp


電力業界の2つのトップ人事

 少し旧い話になるが、3月に電力業界で2つのトップ人事があった。
 まず大手電力10社で構成される電事連の会長に九電の池辺和弘社長が就任した。もともと電事連会長職は東電と関電がほぼ交替で担い、それで回らない場合は中電が担っていた。福島原発事故で東電が脱落してからは、関電と中電の交替制になり、中電の勝野哲社長が19年6月に退任したあとを関電の岩根茂樹社長が継いだ。しかし長年にわたって関電幹部多数が高浜町元助役から多額の金品を受け取っていた不祥事が発覚し、岩根氏はわずか3ヶ月で引責退任に追い込まれ、前任の勝野氏が一時的に継いだ後、今年3月に九電の池辺社長に交替したのである。
 東電と関電が会長職から遠ざけられることになったのは、どちらも原発がらみである。電力自由化で電力会社は相互に市場を奪い合う関係になり、いまでは利害が共通しているのは原発推進だけになっていることを考えると、皮肉なことである。いずれにしても、すでに低下していた電事連の影響力は今回の件(九電から会長が出たことよりも、東電に続いて関電も失権したこと)によって挽回不可能なまでに失墜したことは明らかである。
不祥事で首脳部が一新された関電では、会長に榊原定征氏(前経団連会長で、元東レ会長)が招聘された。札付きの原発推進派である。
 本誌376号で指摘したように、原子力事業は本来的に二重にダークであり、そのダークさが会社全体に拡散していることが判明したのが、関電不祥事である。したがって、関電があのような不祥事を二度と繰り返さないためには、ただちに原発撤退とまではならなくとも、少なくとも原子力事業を一から見直すことが求められる。札付きの推進派を招聘した今回の会長人事は、関電にはその気がさらさらないことを示している。
2つの人事は、原発に足をひっぱられ、しかし原発を見切ることができずに沈んでいく大手電力会社の現況をみごとに反映している。


フクシマ、コロナ、温暖化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は日本国内でも世界的にもまだ終息を見通せない。そもそも地球のどこかで流行が残っているかぎりそれが国内に持ち込まれる危険性があるから、一国だけでの終息というのはありえないことだ。そして完全に終息するまでには年単位の時間を要するだろう。そういう長期戦になることを認識し、それに備える必要がある。
 世界的には途上国における流行がこれから本格化すると思われる。それが紛争、自然災害、地域既存の疾病などと重なって極めて深刻な結果を招くことになることが懸念される。国際的な関心と支援の集中が強く求められる。
  COVID-19は、ヒトとモノが国境を超えて高速大量に移動する現在の経済システムに乗って急速に世界中に拡散した。このパンデミックへの対応は、国境閉鎖など一国主義的になされるとともに、国内では人と人の接触の抑制という「反社会的」で副作用のきわめて大きい手段に頼るほかなくなっている。そしてこれらの結果として経済と生活に大きなダメージが生じている。
 上述の諸点についてはすでに種々論じられている。そこで以下では、日本を近時に襲った/襲おうとしている超大型の3つの災厄のすべてにたいして当局(対応に主導的な役割を果たすべき機関)は僥倖頼みの対応に終始していることを指摘することにしたい。3つの災厄とは、原発事故(フクシマ)、パンデミック(COVID-19)、地球温暖化である。
 原発事故は、事故事象発生から破局に至るまでの時間が極端に短いので、事前の対策が決定的に重要である。ところがフクシマでは、原子炉メルトダウンを防ぐ最後の砦である非常用ディーゼル発電機が津波による浸水で停止したことが事故の直接の原因であるが、防潮堤を越える巨大津波の来襲の可能性は事前に指摘されていたにもかかわらず、経営優先の判断(防護工事費用の節約、この工事が完成するまで原発稼働停止になることの回避)によって対策が先送りされていた。事前対策の決定的な手抜きである。
 事故発生後の対応にも種々の問題があった。それでも真に破滅的な結果に至らなかったのは、偶然に助けられるという僥倖に恵まれたからである。
 その後も、事故被災者の支援を手抜きする一方で、事故のまともな検証抜きに原発再稼働に血道を上げている。
 以上のように当局の事故対応は完全に失敗、失格というべきである。
 COVID-19については、本誌前号で書いたように、当初は水際対策とクラスター対策で感染を抑え込もうとした。これらは、感染症対策として事前に準備されていたものだが、「無症状感染者には対応できない」、「感染が広がってしまえば効果がなくなる」という弱点があり、無症状感染者から感染することがあり、それゆえ感染が密かに広がってしまうCOVID-19には本質的に適していない対策だった。したがって、これは応急の初期対応と位置づけ、それで時間を稼いで、PCR検査態勢の拡充、感染者急増に備えた医療態勢の構築などのCOVID-19に適した対策を準備しておくべきだった。
 しかしオリンピック開催問題に集中していたこともあって、これらの対応は行われず、水際対策とクラスター対策による感染抑え込みの失敗が明白になって、4月7日に緊急事態宣言に追い込まれてしまう。この時点での国内の確認感染者は5179人(クルーズ船関係を除く)で、感染者多発の国々に較べて1桁以上少なかったにもかかわらず、すでに医療崩壊寸前になっていたという。PCR検査についても、実施は1日5千件程度で、感染確認者と濃厚接触し、発熱もしているのに検査を受けることが認められないという事例が多発していた。PCR検査態勢もほぼ崩壊していたのである。
 その後、緊急事態は全国に拡大されたが、医療資源の動員は不十分なままで医療現場の疲弊が進行し、PCR検査態勢の拡充も進まず、感染の全体像の把握に不可欠な大規模な抗体検査がどうなるのかも定かでない。そして外出自粛だけが強調されている。軍事に喩えれば、一番重要な兵站が整備されず、二番目に重要な戦略も不明確で、外出自粛という戦術だけで長期戦を戦っているのである。しかし、たとえ戦術が正しかったとしても、それだけでは僥倖に恵まれないかぎり長期戦に勝利することはできない。
 地球温暖化については、対策の効果が現れるまでに時間がかかり、手遅れになれば手の打ちようがなくなる。そして、もはや残された時間は多くないというのが専門家の共通した見方である。
 このような状況のもとで、国連は各国にたいして温暖化の影響を許容限度内に抑えるために温室効果ガス(GHG)排出削減目標を上積みすることを強く求めた。これにたいして政府は今年3月に、2030年までに2013年比26%削減という従来の目標を変えないことを決定した。これは、国連要請の拒否であること、温暖化の影響を許容限度内に抑えるために必要とされる2010年比45%削減に遠く及ばないこと、この目標ではGHG排出削減の基本目標である2050年までに100%削減の達成はおよそ不可能であること、この3点において現時点における温暖化対策として完全に落第である。政府は、温暖化は想定よりもはるかに遅い速度でしか進まないとか、GHGを高効率で吸収する新技術が開発されるとか、あれこれの僥倖を頼みにしているとしか思えない。


雑 記 帳

 冬とは打って変わって、この春は低温傾向。それでも4月になったらアシナガバチが飛び始めた。飛んでいるのはメス(いわゆる女王蜂)で、これから初夏の頃までは1匹で巣作りと子育てに奮闘しなければならない。
 ツバメは、月初めまでペアで飛来し、巣に入ったこともあったが、その後はまったく来なくなった。これで今年もダメかと思っていたら、月末になってまたやってきた。月初めまで来ていたのと同じペアかどうかは分からない。ほぼ1日中やってきて、巣にもしょっちゅう入っている。もう産卵の時期なので、このまま居着いてくれる可能性がかなりある。
 3月に続いて4月も遠出はなし。出かけるつもりだったイベントや寄り合いがすべて中止になってしまったからである。そんななかで、ちょっとした騒ぎになっていたシャープのマスクの通販が先着順から抽選に変わったので、気晴らしに申し込んでみたが、あえなく落選だった。
 COVID-19をめぐる政府と報道機関(とくにNHK)の情報発信は、戦時中の大本営発表と翼賛報道のミニチュア版のようだ。戦時中は報道の自由がなく、命令によって翼賛報道がなされた。いまは報道の自由がいちおう保障されているので、報道機関が自発的に翼賛報道をしているのである。

万場緑地のネコ 第9話 昨春生まれたと思われるオスネコのサクが2月中旬に万場緑地に現れ、居場所を求めて3.4キロある遊歩道を2日間で1周したあげく、先月号で紹介したそらの餌場に居着いた。それ以後、静かなそらとやんちゃなサクが仲良く暮らしている。

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