Kaori Shiina
19時間前 ·
【移動制限9日目のミラノ イタリア北部医療危機】
前回の投稿から5日。
イタリア北部の状況は「危機」イタリア全体の状況は「傷心」。
まず、18日の感染者数から。
(総計数)
感染者35713 (現総数28710)
死亡者 2978
快復者 4025
現総数28710のうち
自宅隔離 12090
入院 14363
集中治療室 2257
検査数 165541件
− イタリア北部の医療状況
北部の医療システムは、緊迫してます。
特にベルガモ近郊に大きな温床が出てしまい悲惨な状況です。
多分この地域も、2月23日にCodogno(全土に先立ち閉鎖された街)とともに移動制限をしていれば、こんな惨状は防げだのかもしれない、そう思うと残念でならないです。
ちなみに、23日から封鎖した街は、現在感染者がほぼゼロに近づいています。
北部全体で、コロナウィルスの特徴である重症の肺炎になる患者が多く集中治療室と人工呼吸器が足りません。
今、人工呼吸器を国外から購入することはほぼ不可能なので、国内に一社だけの製造会社が、世界中のメーカーへの卸を中止して、フル回転で通常の3から4倍に近い人工呼吸器を製造しています。
ミラノやベルガモの見本市会場に、臨時集中治療室を準備しています。
卒業したての医学生や看護師を至急に探し、退職したばかりの医者にヘルプの声をかけています。
医療関係者用のマスク、防護服も足りていません。
病院の院内感染も起きています。
特記しておきたいのは、イタリア北部の医療システムについてです。
イタリアの医療システムは、WHOのランキングでフランスに次いで世界第2位です。
人口における集中治療室、人工呼吸器の数は欧州平均で劣っていません。
イタリアの検査数は、昨日の段階で16万5千件以上、世界の中でも多い方ですが、検査は、明確な症状がある患者のみにおこなわれています。
検査数が少なすぎるのではないかとの声が大きく、いくつかの州がドライブスルー又は他の方法で症状のない人まで検査することを検討していますが、どうなるかはわかりません。
何度も書きましたが、日本の報道にあるように、検査の数と今の医療危機はまったく関連がありません。
重篤患者(検査などしていなくとも病院に運ばれる)の数が、短期で爆発的に増えたことが原因で、施設が不足したことが原因です。
そのため、北部の病院は戦場と化しています。
どうして、北部イタリアでコロナウィルスが爆発したのか?
生活習慣?
スモッグ?
気温と湿度?
色々臆測されているけれど、それは今後の研究で明らかになるかもしれませんね。
イタリアの医療システムの大きな問題は南部です。
この状態が北部だけで続く場合、この必死の対処でなんとか突破できるかもしれないけれど、南部で出火すると抑えることが難しくなります。
そのため、10日前の全土移動規制が功を成すことを皆が祈っています。
− 欧州やアメリカの状況を見て思うこと
イタリアに数週間遅れてほとんどの欧州の国が「イタリアモデル」の移動制限を採用しました。
そしてアメリカも続きそうですね。
つい1週間前まで、否数日前まで、どの国も対岸の火事と思いイタリアを皮肉にからかうようなニュースが多々あった欧州ですが、本当に驚くべきスピードで火が燃え移りました。
これって、人間の特徴なのかもしれない、と思いました。
自分も含めてです。
中国の武漢でウィルスが爆発した時、このグローバルな世界を生きながら、どうしてイタリアに飛び火しないわけがないと思わなかったのだろう?
武漢で臨時病院を建設するとか、完全封鎖とか聞いて、さすが共産主義国、なんてちょっと皮肉に考えていなかっただろうか?
イタリアで最初の患者が出た時に、どうして実は感染が広がっているから一人目の患者が見つかったのだと思わなかったのだろう?
ミラノからたった60キロの場所に温床が出た時に、実は周辺に感染が広がっているからだと思わなかったのだろう?
シェンゲン加盟国の欧州人は、どうしてイタリアで起きていることは必ず自国にも起きるって思わなかったのだろう?
どうして、いつも、自国だけは、自分の街だけは、自分だけは、って思えたのだろう?
他の国や他の地域の人を、ちょっと上から眺めて、自分だけは‥ そんな風に思ってなかっただろうか?
どうしてだろう?
− 日常生活
と言っても、日常生活は平和です。
食品は充分あるし、宅配は稼働中だし、自由行動できない以外の不都合はありません。
コロナウィルスの感染状況は、毎日、保健省や市民保護局、そして各州、各自治体から詳細にわたった報告があります。
どんどん大変なことになってきているけど、国民は状況把握しているし、何か隠蔽されている様な不安感はないので、パニックはまったくありません。
それどころか、一人でジョギングするのはありかなしか、なんてことが真面目に議論されるような市民生活です。
イタリアには珍しく、経済不安や学校閉鎖における不都合、その他に関して大騒ぎする政治家もオピニオンリーダーも全くおらず、今は「人命第一」でこの時期を乗り切ることで断結しています。
ただし、心は重いです。
とっても。
今、すぐそこで不眠不休で働いている医療関係者、家族に見送られることもできず孤独の中で亡くなる人たち、、、
添付の記事は亡くなった方を他の州に運ぶ軍用車です。
イタリアでは、火葬する人が少ないので、そんなに多くの火葬施設があるわけではありません。
ベルガモの火葬施設だけではもう間に合わないのです。
このイメージは、イタリアの心を引き裂いています。
もう少し早く政策を取れば、人のことだなんて思っていなければ‥
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