mixiユーザー(id:65133463)

2019年12月27日06:23

133 view

デタラメ多数!インフルの"根拠がある"予防法 エビデンスという視点で整理、検証する

1年に1度は必ず流行するインフルエンザ。日本では毎年平均1000万人ほどの方がかかると報告されています。
 とても身近な病気なので、秋冬になると、決まって数多くの情報発信を目にします。インフルエンザにはこの薬がよく効く、予防には〇〇がいい……。さまざまな情報を見ていると、ノイローゼになってしまいそうなぐらい実に多くの「定説」があるインフルエンザ予防。本当に正しい対処法は?エビデンスという視点で整理、検証します。
 しかし一体、何が真実で、何がデタラメなのでしょう。その線引きをきれいに行うのは難しいところもありますが、本記事ではエビデンス(科学的な根拠)という視点で整理をし、インフルエンザの「予防」というところに絞って、皆様の間に広がる誤解を解いていければと思います。
最もエビデンスが確立した予防法は
 インフルエンザの予防法として、最もエビデンスが確立しているのは、予防接種です。
 「ワクチンがその年流行の型と外れることが多い」「予防接種をしてもかかってしまうのだから打たなくていい」「予防接種は副作用が怖い」そんな声を耳にしたことがあるでしょう。いずれも間違いとは言い切れませんが、予防接種を打たないほうがいい理由とは言えません。
 医療行為はつねに、有益性と有害性のてんびんの中で行われます。時に有益性、もしくは有害性ばかりを取り上げて善だ、悪だと騒がれてしまうことがありますが、その論説はもう一方の側面をまったく無視してしまっています。
 医療の世界にゼロはありません。あくまで予想される有益性が有害性を上回るとき、その医療行為は適切と判断されているのです。
 ぜひ、そのような視点で一緒に考えてみてください。
 インフルエンザの予防接種によってインフルエンザウイルスの「感染」を防ぐことのできる確率は、「外れることがある」ことも含め、いいときは8〜9割、平均でも約6割と試算されています。
 毎年1000万人感染するという事実から、あなたの感染確率を毎年10%と概算すると、予防接種を受けることにより、その確率を平均4%まで下げられるということになります。
 「予防接種なんて打たなくても私はこの10年かかっていないから大丈夫」という反論をいただくこともありますが、1割の方が感染するということは、裏を返せば、そもそも9割の方は感染しません。10年かからない確率も35%ほどあると試算することができ、「あなたが特別」ということではなさそうです。11年目にはやっぱり同じだけ感染する可能性があるのです。
 「6%しか減らないのだからあまり意味がないのでは」とも思われるかもしれません。しかし、予防接種はあなたの身を守るためだけのものではありません。あなたがウイルスをもらっても、症状が出ないことだってあります。知らないうちに、あなたは街中にウイルスを撒き散らす可能性を秘めているのです。
 そのように捉えると、予防接種はあなたの会社の同僚、ご家族を守るためのものでもあると言えます。とくに小さなお子さん、妊産婦さん、高齢者の方がご家族にいらっしゃるようであれば、あなたが症状を引き起こさないぐらいのウイルスの量でも感染し、そしてその感染がたちまち命につながってしまう恐れもあります。
 また、予防接種によりインフルエンザによる入院、集中治療室への入室、死亡率を減らせることも知られています。すなわち、予防接種はただ感染を防ぐだけでなく、感染してしまった場合に重症化することを防ぐ役割もあるのです。
 一方、予防接種の副作用は、注射部位の痛みやアレルギー反応といった一時的で軽いものを除けば、100万分の1程度という天文学的に小さな確率でしか報告されていません。例えばギランバレー症候群という重篤な副作用がごく稀に出現し関連性のある可能性が指摘されていますが、インフルエンザ感染に伴うリスクとてんびんにかけると、そのリスクは圧倒的に低いものと考えられています。
 これらの健康障害リスクとてんびんにかけられたうえで、アメリカを中心に複数の先進諸国で、これまで重篤なアレルギーが出た方を除き、基本的に「生後6カ月以上のすべての方がワクチンを毎年打つ」ことが推奨されています。ちなみにWHOは推奨を一部の方に限定していますが、これは「医療資源が限られた地域で高リスクの方に優先的に分配する必要があるから」と説明しており、その理由は利点ではなく資源の分配にあります。
 なお、どの国でも共通して、もしワクチンが十分供給されていなければ、「妊婦さん」を最も優先すべきだと推奨されています。妊娠中はお腹に抱えた胎児を免疫が働いて攻撃しないよう免疫力が低下しており、一度インフルエンザに感染すると死亡率が高いのです。来るべきパンデミックに備えて、このこともみんなが知っておくべきかもしれません。
マスクをすれば大丈夫?
 病院で働いていると「私はマスクと手洗い、うがいをしているから大丈夫」なんて声も聞こえてきます。ここにどのぐらいの根拠があるでしょうか。
 マスクには、予防接種のように「感染」の確率低下を示したデータはありません。しかし、口から鼻まで覆うように適切にフィットさせたマスクを使えば、装着している間はウイルスの口からの侵入を95%までブロックできると報告されています。
 一方、フィットが甘いとその効果が5割ほどまで落ちるとも言われています。例えば、街中を歩いていると、口だけマスクで覆い、鼻は外に出している方を見かけますが、これでは十分な効果が期待できません。
 また、マスクを用いる場合、症状のある方と接するときにつけ、それが終わったらすぐに捨てるのが正しい使い方とされています。十分な裏付けがあるわけではないですが、漫然としていると、汚染されたマスクからも感染するリスクが懸念されます。また、これまでの研究でマスクを装着している方には頭痛の発生が多いことも報告されていますから、そこにも注意しつつ、しっかりつけたいものです。
 例えば、インフルエンザの流行期に会社に出かけるときにマスクをつけるのなら、自宅でマスクをしっかり顔にフィットさせて装着し、会社に到着したらそのマスクは捨て、手洗いをする。帰宅時にはまた別の新しいマスクを装着し、自宅に着いたらそのマスクを捨て、手洗いをする。
 これが病院などで勧められているマスクの使用法の応用になりますが、このようなことがどこまでできているでしょうか。使用済みのマスクを首下にかけて使い続けている方を見たことがあるかもしれませんが、これはとても正しい使い方とは言えません。
手洗いのエビデンスは?
 手洗いには、有効性を示唆した研究がいくつかあります。いずれも病院内の話ですが、インフルエンザ感染患者を空間的に隔離し、入室前と退室後、感染の恐れがあるものに触った後に必ず手洗いをするよう医療者に指導を行い、それが実践できていた病院と実践できていなかった病院で比較をしました。すると、7〜8割以上手洗いをきちんと行っていた病院では、インフルエンザパンデミック時に5〜6割ほど感染拡大を減らしていたとする報告があります。
 このような結果から、手洗いには感染予防の有効性がありそうですが、これはインフルエンザ患者の集まる特殊な環境での数字ですから、一般に適応しようとするとその効果はもう少し薄まりそうです。残念ながらそれを示した研究はありませんが、参考にしてみる価値はあるかと思います。
 例えば、先の研究を一般社会に応用してみると、疑わしい症状のある方は外出を控え、健康な方との接触をなるべく避ける。外出後やマスクを外した後には必ず手洗いをする。ウイルス付着の恐れがある物を触ったら必ず手洗いする、といった具合です。
 うがいについては、残念ながら、マスクや手洗いのような感染低下をきれいに示した報告はありません。お金もかからず害のないことですから、やるのを止める理由もありませんが、予防接種の代わりにはならないようです。
 また、「インフルエンザ予防にはビタミンCがいい」「あの健康食品が効く」「腸内細菌を育ててインフルエンザを予防しよう」などと謳った食品の広告を見かけたことがあるかもしれませんが、これらすべてに科学的根拠はありません。それらはすべて、残念ながら現時点では「机上の空論」に過ぎないと言わざるをえません。今後いずれかの方法が実証される可能性は否定しませんが、お金もかかる以上、医師として胸を張って推奨することはできません。
 風邪、インフルエンザのひきはじめに「早めの〇〇」といった風邪薬の広告も散見しますが、これらもインフルエンザの重症化を防ぐという科学的根拠はまったくありません。「インフルエンザにかかりそうだから早めに風邪薬を飲んでおいた」なんていうセリフを聞いたこともありますが、効果が期待できないばかりか、眠気などの副作用で損をしてしまっているかもしれません。
 確かに「薬による予防」が適切な場面もあります。しかし、ここで言う「薬」は一般的な風邪薬ではなく、インフルエンザ薬です。
 例えば、高齢者施設でインフルエンザが流行してしまった場合、施設内ではインフルエンザによる死亡者発生のリスクが上昇します。この場合には、例えばタミフルという薬を通常1日2回飲むところを1日1回として、10日間ほど続ける方法により、感染拡大および死亡リスクを低減させられることが示唆されています。
 また、インフルエンザワクチンを接種できていないという方のうち、妊産婦さん、喘息などの肺の病気や慢性的な持病をお持ちの方、高齢者の方は、インフルエンザが疑われる方と濃厚接触してしまった場合に限り、接触から48時間以内にタミフルを内服することで、同様の効果が得られることも示唆されています。
 この薬による予防法は、乱用してしまうと薬の耐性ウイルスを生み出すことにつながり、副作用リスクもありますから、そのマイナス面をてんびんにかけて、以上のような場面に限定されて勧められています。漫然と使用することはできません。
 また、これらは予防接種の代替法として使われるべきではないという点には強い勧奨が米国疾病予防管理センター(CDC)から出されていることも合わせてお伝えしておきます。しかし、もし先のような説明に該当する場合には、ぜひお早めに医療機関を受診してください。
あなたとあなたの大切な人を守るために
 ここまで、インフルエンザ予防のエビデンスについて紹介してきました。「エビデンス」は決してあなたの独自の予防法を否定するものではなく、私にもそのような意図はありません。
 しかし、あなたのその予防法が、ほかの人にも有効であるという根拠もありません。より多くの方を守るという視点に立てば、より多くの方で根拠の示された事柄を選択的に広げる必要があるのです。それはひいては日本国民全体を、未来の医療を守ることにもつながります。そのような意味で、エビデンスを学んでいただくことも重要ではないかと思います。
 インフルエンザには残念ながらいまだ完璧な予防法は存在しません。しかし、あなた自身とあなたの大切な方を守る最善の方法は何か、そんなことをこの記事を通して考えていただければと思います。https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/デタラメ多数%ef%bc%81インフルの根拠がある予防法-エビデンスという視点で整理%ef%bd%a4検証する/ar-BBYlaCn?ocid=spartandhp
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する