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2019年10月02日16:41

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シャロン・テートの遺産/恐れを知らぬ舞台『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の本当の主役

■桜井玲香「1人の実感まだない」乃木坂卒業1カ月
(日刊スポーツ - 2019年09月26日 16:15)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=5803195

●帝国劇場 ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
https://www.tohostage.com/vampir

●ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』 |公演案内 - 博多座
https://www.hakataza.co.jp/lineup/202001/vampire/

 チャールズ・マンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺害事件からちょうど半世紀。
 映画『シャロン・テートの真実』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の公開は、本年に合わせて制作されたものだろう。
 当時の夫であったロマン・ポランスキーの主演・監督作で、彼女の代表作ともなったのが、『ロマン・ポランスキーの吸血鬼』(Roman Polanski's The Fearless Vampire Killers/ロマン・ポランスキーの恐れを知らぬ吸血鬼ハンターたち)。

 タイトルで既にお察しになった方も多いと思うが、これは、ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』のパロディ映画である。
 吸血鬼の名前はドラキュラではなく、「クロロック伯爵」となっているが、これは『ドラキュラ』の最初の映画化である『吸血鬼ノスフェラトゥ』が、原作者の版権を取得できなかったために、「オルロック伯爵」と名前を変えて登場させたことへのオマージュだ。『吸血鬼』の冒頭には、この元祖吸血鬼・オルロック伯爵もアニメで登場している。
 『戦場のピアニスト』等でポランスキーを知った、なんて方は、『吸血鬼』の徹底したドタバタぶりには面食らってしまうかもしれない。登場人物がみんなバカばっかという大胆な改変は、原作者が生きていたら、激怒して訴えたであろうことは想像に難くない。

 けれども、数ある吸血鬼映画の中でも、カルト的な人気を博して、これこそがベストと推す喜劇ファンも、決して少なくはないのである。そして、ポランスキー自身の手によって、「ミュージカル舞台化」されたのが、この『ダンス・オブ・ヴァンパイア』なのだ(公式サイトにはポランスキーの名前が一切ないが、彼が起こしてきた事件のせいかもしれない)。
 そうした経緯を知ると、このタイトルも結構ふざけて付けてるんだなってことが分かってくる。初演当時、ポランスキー原作だと気づかなかった頃は、『オペラ座の怪人』みたいに、ゴシック・ホラーを甘い甘いロマンに仕立て直したものかと勘違いしていた。ちょっと考えてみれば気づいてもよかったんだけどな、歌って踊る吸血鬼伯爵なんて、ブラック・ジョーク以外の何物でもないんだから。メル・ブルックスの「踊るヒトラー」(『プロデューサーズ』)に通じるセンスなのだね。
 コメディでミュージカルで、ということになると、これはもう、私の「守備範囲」である。過去には福岡での公演もあったのに、観逃していたのは痛恨の極みだ。これは大枚叩いてでも観たい。心配なのは日本人キャストで、ポランスキーの喜劇的センスを体現できる俳優がいるのかしらんってことなんだけれども、これはもう心配したって仕方がない。見苦しい箇所は脳内補正して楽しむしかないかなと考えている。

 映画でシャロン・テートが演じたヒロインのサラ役には、これまでの神田沙也加に加えて、Wキャストとして、元乃木坂46の桜井玲香が抜擢された。二人とも悪い役者ではないのはもちろんだが、残念ながら、シャロンの魅力には程遠い。
 口さがない連中には、事件がなければ、歴史に名前が残るほどの女優だっただろうかと揶揄されてしまうシャロンだったが、映画をご覧になれば、彼女が相当にセクシーで、でも可愛らしく、ヒロインとして「立っている」ことは理解できると思う。年月を重ねれば、もっと代表作を生み出していたと思うよ。

 ポランスキーがこの「二人の唯一の共同作」を舞台化したのも、そこでもう一度彼女に会いたいと切願したからではないだろうか。
 シャロンと死別した後、ポランスキーがどのような運命を辿ったか、もしも彼が円満な家庭を築けていたなら、あれほどの醜聞に塗れることもなかったのではないか――そう考えると、この『吸血鬼』のダークな世界観の中に垣間見える、あっけらかんとした愛と希望の光に、笑いながらも涙を誘われずにはいられないのだ。
 舞台の主役もまた、たとえ他の役者が演じ、演出も日本人であっても、ポランスキー以外にはあり得ない。俳優の一挙手一投足に、ポランスキーからシャロンへの愛が満ち溢れていなければならない。これはそうでなければならない舞台だ。
 そこまで感じさせる演技を、日本版のキャストや演出のみなさんに期待しちゃうのは、ちょっと酷かもしれないけれども。









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