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2019年09月26日15:11

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台風15号でわかった、中国に差をつける日系航空会社の「信頼度」

出張族には無視できない
航空会社の定時運航率
 出張が多いだけに、航空会社のサービスと定期便の定時運航率については、どうしても気になってしまう。今回はそれをテーマにして、筆者が今月前半の中国出張を通して感じたことを報告したい。
 先日、台風第15号(ファクサイ)が日本、特に千葉県で猛威を振るった。まさにその日が私の中国出張の予定日となっていた。出張の最初の目的地は西安だったが、上海で中国国内便に乗り換えていくことになっていた。
 西安では、2019年欧亜論壇の分科会となる第7回シルクロード経済帯都市円卓会議に参加するだけでなく、西安市より公布された国際専門家顧問メンバーの任命状の授与式への参加、およびその式でのスピーチも予定されていた。
 そのため、その日のうちに是が非でも現地に到着しなければならなかった。だから、台風の影響で日本からの飛行機が予定通りに飛ばなければ、上海から西安行きの飛行機に間に合わなくなってしまう、と前の晩から心配で心配でしょうがなかった。
 私は9月9日午前9時の羽田空港発、上海行き日本航空(JAL)JL81便を予約していたが、まさに台風が千葉に上陸した影響をもろに受けることになってしまったのだ。朝6時、日航の職員から電話がかかってきた。台風のため、昨晩到着するはずの機材がまだ到着しておらず、81便の出発時間は13時半へと変更になり、15時半に上海虹橋空港第1ターミナルに到着する予定とのことだった。
 一方、私が予約していた西安行きの飛行機も上海15時半発となっていたのだ。おまけに国内線は、上海虹橋空港の第1ターミナルから遠く離れた第2ターミナルより出発するため、そこへ行く移動時間もかなりかかってしまう。それでは、完全に間に合わなくなる。
 日航の職員は私の困った様子を察知して、最新情報を教えてくれた。「全日空(ANA)の10時半の上海行き969便は10時55分に変更になったようで、まだ少し席が確保できるようです」と。私は即座に航空会社と便を変更することに決めた。日航の職員はすぐにチケットを手配してくれた。
 私たち一行は、JRなどの公共交通が止まっている事情を考えて、車で羽田空港まで移動することにした。普段は40分〜1時間で到着するはずの道のりだったが、その日は2時間20分もかかった。そのうち高速道路では、わずか1キロの移動に1時間強かかった区間もあった。台風で公共交通がマヒしたので、みんな車を使ってきたこともあり、空港の駐車場についてからも、空いている駐車場所を見つけるのに10分以上かかった。
 汗びっしょりになって、全日空のカウンターで搭乗手続きをしようとしたとき、手続きの時間がすでに過ぎていてできなかった。幸い、日航側が事前に全日空の受付に伝えてくれていたため、状況を説明すると特別に許可してくれた。
台風の中でも最善を
尽くしてくれた全日空と日航
 しかし、その全日空969便も実際に飛び立ったのは、予定時間より3時間も遅れた13時50分頃だった。16時30分頃、上海虹橋空港にようやく到着した。出迎えに来てくれた全日空の関係者からの情報によると、私たちがもともと予約していたJAL81便は、ちょうど羽田空港で搭乗手続きを終了した時間帯だという。私たち全員は、全日空便に切り替えてよかったと思うと同時に、全日空便を勧めてくれた日航関係者にも感謝したいと強く思った。
 上海に確実に到着したことを確認した会議主催側が直ちに新しい便を手配してくれたお陰で、私たちは深夜10時に西安のホテルにチェックインすることができた。へとへとに疲れた私たちが西安に到着したのを見て、会議事務局職員らは全員ほっと胸をなでおろした。
 14時間もかかった長時間の旅となってしまったが、台風の影響を強く受けて出発時間を大幅に遅らせても、便をキャンセルせずに飛んでくれた全日空と日航に対する信頼も一層強まった。
 数日後、西安の会議と陝西省地方都市の視察を終え、私たち一行は江蘇省塩城市の視察に向かった。そこで1泊して南方航空の便で深センに行き、さらに1泊してから広州へ、最後に日航の088便で日本へ戻る予定となっていた。
南方航空からの
突然のキャンセルに啞然
 塩城へ行く前日、思いがけないことが起きた。南方航空が突然、2日後に予定していた16日の塩城20時5分発、深セン22時35分着のCZ8636便を、翌17日夜に変更したという知らせを送ってきた。そして、その変更に同意するのか、それともその予約をキャンセルして払い戻しを求めるのかについて、「イエスかノーか」という形で返答を急かされた。
 わかりやすく言えば、16日の便を欠航することにしたにもかかわらず、事情説明やお詫びは全くなかった。南方航空にわけもわからず早朝や夜遅い便をキャンセルされたのは私にとって2回目であり、当然ながら戸惑いを覚えた。
 おそらく「早朝や遅い便で搭乗率が低くなると、その便をいっそキャンセルしてしまったほうが効率がいい」という航空会社の判断があったのではないかと、私は推測している。いい加減な運航というほかない。
 以前、同様の通知を受けて便を変更したとき、南方航空に責任をたらい回しにされ、彼らの責任で発生した搭乗便の変更なのにその手続きを完了するまで、なんと交渉に14時間もかかってしまった苦い経験を思い出し、今回はためらうことなく搭乗キャンセルという選択を選んだ。このとき、同じ日に深センへ行く便で残っていたのは、LCCの春秋航空だけだった。他の選択肢がないし、ちょうど春秋航空にまだ乗ったことがなかったので、春秋航空のチケットをこれまた迷わずに買った。
 16日の夜10時すぎ、春秋航空の9C8510便は少し遅れたがようやく飛び、私たちは予定通り、深センに行くという目的を達成した。飛行機の中でキャビンアテンダントと雑談していたとき、私は「今日の乗客のなかには、本来は南方航空に搭乗するはずだった人たちが結構いると思う」と話したところ、若いキャビンアテンダントは少し驚いた表情を見せ、続いて誇らしげに言った。
「私どもの春秋航空は、時間の正確さにおいては中国の航空会社の中でランキングナンバー1です。便は延着しようがしまいが、止むを得ない状況のとき以外は便をキャンセルすることはあり得ません」
 南方航空は2018年時点で800機以上を保有しており、2010年時点ですでに同社を利用した乗客はのべ8000万人に上り、中国でナンバー1、世界でナンバー3、そしてアメリカン航空およびデルタ航空に次いでその年の全アジア乗客数および飛行機台数が最も多い航空会社であった。
 しかし、乗客が予定通りに出発する保証があるかどうかという点においては、まだまだ日本航空や全日空、春秋航空に基礎的な部分から学ぶ必要がある。次回、南方航空と春秋航空を選択するときは、少なくとも私は絶対、南方航空をやめて春秋航空を選ぶだろう。
定時運航率を比較
無責任な航空会社は改善を
 本稿を執筆する際、念のため、世界の主要航空会社の定時運航率を調べてみた。
OAG(OAG Aviation Worldwide Limited)は航空関連情報の収集や提供を行う分野で、世界最大規模のデジタル航空情報会社として知られている。同社が発表した調査レポート「OAG Punctuality League 2019」には、2018年の世界の航空会社と空港の定時運航遵守率ランキングが掲載されている。対象は、年間3万便以上の定期便を運航し、有効座席キロ(ASK)ベースの2018年実績が世界250位以内に入る航空会社としている。
 それによると、定時運航遵守率 トップ20(総合)は次の表の通りになっている。
 この調査データを見ると、航空大国になりつつある中国の航空業界も航空会社も、1社も入っていない。中国の航空会社が、世界の乗客に信頼される翼になるまでの道のりはまだ遠い。特に飛行機機材の保有台数の多さを日頃大々的に宣伝している南方航空には、これまでの無責任な運航体制について改善をもっと真剣に、スピードを上げて考えてもらいたい。
(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)
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