道徳の本の中にはいた
動物を殺してしまった人
誰かを失った人に
人をいじめる人
障害のある人
実話から生まれた話か
作り話かはさておいて
そのお話に対してどう思うか
机をくっつけて同じ班の子と話し合った
人には優しくしてあげようだとか
何かをする前には相手のことを考えて
理解を深めてから行動しようだとか
子供も大人も似たようなことを言っていた
して誰にそうするつもりなのだろうか
道徳の本の中には確かにいた
動物を殺してしまった人
誰かを失った人に
人をいじめる人
障害のある人
だが
その本の内容と寸分違わぬ心で
生きている人など本の外にいるのだろうか
心を豊かにする為か
清く優しい心を作る為か
沢山例題を出して取り上げたところで
人の心は例外だけで出来ている
こういう理由があった
こういう思いがあった
そういうつもりじゃなかった
事情は知ってほしいけれど
別にそういう扱いをされたいわけじゃない
人にはそれぞれ思う事があって
理念がある
道徳の本の中には確かにいたさ
動物を殺してしまった人
誰かを失った人に
人をいじめる人
障害のある人
何故か道徳の本でよく選ばれていたのは
動物を殺さない人ではなく殺して泣いた人
誰かと今まさに楽しく生きている人ではなく
それが失くなって悲しんでいる人
人をいじめない理由を百探し身に付け
教祖のように逐一お話する人ではなく
人をいじめて取り返しのつかない事態にさせてしまった人
手段をほんの僅か選ぶだけで
普通の人と変わらないと自由に生きている人ではなく
障害は何がどう不自由でどういう風に大変で
そういう人には手を貸すのが普通だから
それは特別扱いには含まれないから
心配そうにではなく笑顔で自然体で声をかけましょう
なんて授業内容にしやすいように作られた不自由な文章
道徳の本の中にいた人と
同じ心で生きていて
授業で習う通りの扱いで扱われたいと
思っている人がどれほど居るのでしょうか
動物を殺してしまった人
誰かを失った人に
人をいじめる人
障害のある人
その本の内容と寸分違わぬ心で
生きている人など本の外にいるのだろうか
人にはそれぞれ思う事があって
理念がある
それぞれにあった
それぞれにあわせた道徳がある
心を豊かにする為か
清く優しい心を作る為か
沢山例題を出して取り上げたところで
人の心は例外だけで出来ている
答えがないことが答えだということを
大人も子供も知っている
そこにしかいない
道徳の本の中にいたものは
道徳の本の中にしかいなかった
耳がある時から聴こえなくなってしまった子と
お話していた時にも
大切なものを何かの拍子で壊してしまって
落ち込んでいる友達のそばにいた間にも
心の病とのお付き合いがなんとなく
上手くいかない人と一緒に過ごしていた日々にも
何処にも
道徳の本の中にいたものと
同じ扱いをされたがっている人などいなかった
当たり前だ
その子はその子で
私は私で
自分は自分だからだ
それぞれが
それぞれの道徳を持っていた
それぞれに合った心のあり方がそこにはある
答えが全て違うことが答えだということを
大人も子供も知っている
道徳の本の中にいるものは
道徳の本の中にしかいないものだ
そして何故だか態々よく選ばれていたのは
動物を殺さない人ではなく殺して泣いた人で
誰かと今まさに楽しく生きている人ではなく
それが失くなって悲しんでいる人で
人をいじめない理由を百探し身に付け
教祖のように逐一お話する人ではなく
人をいじめて取り返しのつかない事態にさせてしまった人で
手段をほんの僅か選ぶだけで
普通の人と変わらないと自由に生きている人ではなく
障害は何がどう不自由でどういう風に大変で
そういう人には手を貸すのが普通だから
それは特別扱いには含まれないから
心配そうにではなく笑顔で自然体で声をかけましょう
なんて授業内容にしやすいように作られたふざけた文章だった
人にはそれぞれ思う事があって
理念がある
それぞれにあった
それぞれにあわせた道徳がある
沢山例題を出して取り上げたところで
道徳は例外だけで出来ている
道徳は個人の心で出来ている
随分と傲慢な物言いに見えるけれど
どうにもそれは本当のこと
道徳の本の外にいる人は全て
例外だけで出来ていて
個人の心で出来ている
どうすることがいいことか
優しくするのはいいことか
授業通りに接することが喜ばれることか
一人一人の道徳と触れ合って確かめること
それが道徳の本の外の世界の道徳なんだ
道徳の本の中にいるものなど
道徳の本の中にしかいないものだ
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