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2019年04月22日18:54

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天沼矛 続き2

 第二章

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報道各社が動き出した。
2015年2月22日
 ニューヨ―グ・タイムズ「太平洋日本領海内付近で地震発生。通常の地震とは異なるとの専門家の見解!?人工的なものか?」
2月23日
 ニューヨ―グ・タイムズ「太平洋日本領海西之島西200キロ付近で海底火山出現後、島を形成。」
 日本NNK「太平洋日本領海西之島付近で海底火山出現。」
2月24日
 日本読経新聞「西之島付近の島。巨大化の模様。新たな資源獲得の可能性?」
 週刊ポトス「人工的な島形成の可能性。日本政府の企み?」
2月25日
 日本朝毎新聞「資源調査団結成へむけて。島の名称は?」
 日本NNK「島の大きさは隣の西之島より巨大化する可能性」
2月26日
 週刊現生「内部告発。謎のプロジェクト『天沼矛』とは何か?」
2月27日
 日本読経新聞「西之島付近の島、徐々に沈静化の模様。明日には島の名称発表の予定」
2月28日
 日本NNK「島の名前は『オノゴロ島』。古事記に登場する神話上の島。プロジェクト『天沼矛』・・・人工的に海底火山を起こし人工的に島を造る計画。新たな領土確保に向けて政府は意気込みを見せる」

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2015年2月22日 西之島付近の内密の海上施設。 
 「・・・狭い。・・狭いと言っているんだ。何とかならんのか」明智義明は自らにあてが
わられた部屋に不満を漏らす。
「ですから・・・ですから最初にご説明したはずです。海中の建物は水圧対策のため多くは球形をしていますと。だから言ったはずです気持ち的に息苦しい場所なのです」橋口祐介は早くもうんざりしていた。しかし、相手を怒らせるわけにはいかない。
「・・上には行けんのか。指令室は比較的広かったではないか」明智義明
「なにぶんも実験の成功と言えるまでは秘密裏な計画のはずです。だからこのような施設の形状なのです。それに予想外な津波など実験が失敗となればこの球形住居そのものが避難用のシェルタ―となります。狭くても安全面には優れてますし、明智議員は水深50メ―トルの比較的広い区間なのです」橋口祐介
(これだけ不快な生活なら吉崎の奴が怒って帰ってしまったらどうするつもりだ。俺は高所恐怖症でヘリには乗れんのだぞ)内心、明智義明は別の意味でも胆を冷やした。
しかし、実験は始めてしまった。・・・賽は投げられたのだ。もうここから出るのは失敗か成功かわかるまで出られない。・・・こんなことなら別の議員に押し付ければよかった。
天沼矛計画は、海底に深く長い爆薬を仕込み海底火山を作り出す技術だ。
国民に信を問わず実行し成功すれば公表し失敗すれば知らぬ存で押し通すつもりだった。

 部屋の内部は球状のためできるだけ視覚的には広く感じるよう設計してあるはずなのだが実際はやはり狭い。直径12メ―トルの部屋で床を開ければ収納スぺ―スがある。インタ―ネット対応のテレビがあり他の議員とテレビ会議ができるようなっている。この施設の会議室でも話したくない内容の時は重宝するだろう。(つまり、失敗したとき使うだろうか)
一番巨大なベットは左中央を支配し先ほどのテレビ兼パソコンの椅子と共にベットに備え付けの板を設置すれば来客用のテ―ブルと化する。すぐ後ろには服かけがあり見かけより動きやすさを重視した作業服がかかっている。
しかし思う。・・・俺はこんな狭いベットに寝たことはない。
2月23日
 吉崎清助が帰ると騒ぎ出した。吉崎清助が部外者であることにかわりないが実際に帰ってしまったら俺(明智)はどうやって帰ればいいんだ。部外者なのは〈かわりない〉が吉崎清助の《代わり》は居ないのだぞ。しかし、職員は吉崎清助の引き留めには積極的ではない。誰か・・そいつを逃がすな。
2月24日
 吉崎清助の引き留めのためいくつかの上昇確実な株を教える取引をもちかける。
明智にとっては必至な駆け引きが行われた。
2月25日
 島は巨大化し続ける。職員は冷や汗ものだが、立派に島ができているではないか。
明智は安心と共に将来の未来に向け自信をつけた。
誰か情報を外に漏らした奴がいるようだが、これはもう成功と思っていいのではないか?
2月26日
 議員のテレビ会議とともに職員と島の名前を考える話し合いをする。
職員からはまだ成功と考えるには早すぎるなどと慎重な奴がいるようだが・・・無視しよう。
仲間である民自党議員から「プロジェクトは天沼矛なのだから、これはもう成功の公表としてオノゴロ島というので決まりでしょう」という意見が出た。
異論はない。
2月27日
 もはや、成功の一言しかない。公表が楽しみだ。
2月28日
 島の名前の公表と共に今まで秘密裏の計画であったプロジェクト 天沼矛を公表する。
計画の成功として明智義明の名は歴史に刻まれることだろう。今まで密閉空間を我慢してきたかいがあるというものだった。
 将来は総理候補か・・・夢は広がる。


第三章
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