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2019年04月11日20:48

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うちには、天使がいます。 6.「わたし、ぜったいおかしいと思う」

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<前回までのお話>
2018年(執筆している時点で去年)4月初め、
やまねこのパートナー・ゆかさんは卵巣がんの疑いありと診断されました。
4月24日火曜日、自宅で急に動けなくなり、救急車でZ医大病院に搬送されます。
いったんは回復したようにみえてその日は帰宅できたのですが、
一夜明けて25日の朝、文字通り右も左もわからなくなってしまいました。
(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)



きのうに続いて病院へ。
ただ、今日は救急車ではなく、やまねこの運転する車です。
出発するまでがたいへんでしたが、予約も入っているので、あとは心強いです。
今朝のゆかさんの状態を誰に訴えればいいのかはよくわかりませんが、
行ってしまいさえすればなんとかなるでしょう。
向こうには専門家が揃っているのですから、
誰かが「おかしい」と気づいて適切な部門に連絡してくれるに違いありません。

小雨の降る中、だいたい時間通りに病院に着きました。
ゆかさんはまだうつろで悲しげな表情で、足元もおぼつきません。
傘をさして脇を支えながら、なんとか病院の建物に入りました。。
なんの因果か身体が丈夫なだけが取り柄で、
総合病院にかかったことがほとんどないやまねこは、戸惑うことばかりですが、
機械に診察券のカードを通して受付して、
まず超音波検査室に向かいます。
一週間前の検査で、右足に血栓の疑いがみとめられて、
11時からのエコー検査の予約が入っていたのです。

超音波検査室はエレベーターで地下に降りてすぐの場所なのですが、
予想以上に時間がかかります。しかもゆかさんは方向がよくわからず、
ふらついていて重いです。
なんとかたどり着いて、受付して
「今朝から少し意識が朦朧としていて、、
ちょっと妙なことを言うかもしれませんが、よろしくお願いします」と言い添えました。

しばらく外で待っていることになります。
「どうかな、なにか指摘されるだろうか」と思っていたのですが、
何事もなかったようにゆかさんは送り出されてきました。
どこから見てもふらふらしているし、言うことも妙なのですが、
スルーされてしまったようです。

…そんなものなのなのかな。
ひょっとして、病院ではこういう人は珍しくもなんともない、ということなのでしょうか。


まだ12時でした。
次の婦人科外来の予約は、13:30分です。
何もしないでいるには少し長いくらいの時間があります。
「精神科行ってもういちど相談してみようか」ふっと思い浮かびました。
きのう診察してくれた先生は今日はいませんが、
「遠慮なく相談して」と言われていましたし。
ゆかさんを支えながら、精神科のある2階へ向かいます。

ところが精神科に着くと、午前中の診察は終了していました。
再開は13:30です。
どうしよう。そういえばきのう安定剤を処方されて…

あ!!!

処方されたのは間違いないですが、
それから婦人科行って、やまねこひとりでいったん帰って車を取ってきて、
ゆかさんを車に乗せて、帰って、
…受け取ってないような気がする。ぜったい受け取ってない。

こういうとき飲んでいいのかな、それだけでも訊きたいので、
なんとか交渉してみました。
看護師さんがひとり、ていねいに対応してくれて、
安定剤(リーゼ)は効き目のゆるやかなものなので、飲んでも大丈夫とのことでした。
感謝して、
ゆかさんに待合室で待っていてもらって、薬局で薬をもらって、給水機で水をくんで、
「とりあえず飲んでみよう。ね?落ち着くかも」
とにかくなにか効果があってくれれば。


婦人科の診察まではもうすぐですが、
ゆかさんはかすかに「ト…イレ」と言いました。
「トイレ、いきたい」
婦人科の待合室から見える場所に、多目的トイレがあります。
中まで支えていきますが、もちろんやまねこは外に出なければいけません。
中から「ドアを閉じる」ボタンを押すと自動的に鍵がかかってしまいます。
もちろんゆかさんが出ようとすれば自動で開くのですが、
もしも中で意識を失ったり動けなくなってしまったらと思うと、気が気ではありません。

ひらめきました。
やまねこが外の「閉」ボタンでドアを閉めればいいんだ。
あとはずっとドアの前で待っていることに、というか見張っていることにすれば。
冴えてるじゃん!
それでも少し不安になって、試しに「開」ボタンを押してみると、果たして、
「ずーーーーっ」と開いてしまいました。
ゆかさんが悲しげな顔で座っているのが見えました。

開かなくては困るのですが、開いてしまってもやっぱり困ります。考えが足りませんでした。
「うわ、うわ、うわ」あわててまた閉じます。
とりあえずまさかのときに、外から開けられることはわかりました。うん。

じりじりと待っていましたが、そのうち、後ろのほうから、
つまり婦人科の受付のほうから、放送が聞こえました。
「××番のかた、○○診察室にお入りください」
げ、
呼ばれてしまった。どうしよう。
ゆかさんを置いていくということは、誰かが外からトイレを開けてしまうリスクがあります。
かといって、呼び出しを無視していたら順番を後回しにされてしまいます。
もうここは、賭け。
誰も開けないで!

受付に走っていって、、
「たかぎゆかの夫です。今ゆかはお手洗いに入っていて、〇×△※」と、
たぶんしどろもどろになってたと思うのですが、説明していると、
「あのー」後ろに見知らぬおばちゃんが立っていました。
「お手洗いから出ていらっしゃったんですが、だんな様ですか?」
後ろにゆかさんも立っていました。
なんとかゆかさんなりに説明して、
おばさんが手を引いてきてくれたようなのです。
「ありがとうございました!」助かりました間に合いました。


主治医の葛西先生とは、やまねこはこれが初対面でした。
午前中に撮影したエコーの話と、簡単な問診。
きのうの救急車の話。そして今朝から続いている状態、
トイレの場所もわからなくなり、足元もふらついていることなど。
「精神的なものだろう、との話なのですが」
葛西先生もそう考えて問題ないだろう、そのうち自然に良くなるだろう、
そう思っているようでした。
話が終わりそうになりました。

そこで、それまで(今朝からずっと続いていたように)
うつろで悲しげな顔で、消え入りそうな声で受け答えしていたゆかさんが、
とつぜん大きな声で言いました。

「わたし、ぜったいおかしいと思う」

先生は落ち着いた様子で、
「本人がおかしいとわかってるようなら、おかしくはないのでは?」と言いました。
やまねこも「落ち着けば、きっと良くなるよ」と言いました。
ゆかさんはもう泣きそうな顔になっていました。

「そういうんじゃなくて、ぜったい頭おかしいと思う。
調べてほしい」

訴えかけるような、悲痛な声でした。。

先生は少し考えて「わかりました」と言いました。
「MRI撮影してもらいましょう。連絡入れます。
撮ってもらって異常なければ、それで安心できますし」


やまねこはそれまで、ゆかさんの言う「頭」とは精神のことだと思っていました。
先生との間では、話が通じたようです。
とにかくふたりで、再び地下のMRI撮影室へ降りることになりました。
「頭の中」を見に―
ゆかさんが撮影に入っていき、やまねこは待合室で待ち、
やがてゆかさんは戻ってきましたが、
看護師さんに「そのままそこでお待ちになってください」と言われました。

どういうことかよくわからなかったのですが、言われたとおりに待っていると、
待合室からはエレベーターが見えるのですが、
やがてドアが開いて、看護師さんがふたり、ひとりは車椅子を押して、
ぱたぱた慌てた様子で降りてきました。
まっすぐゆかさんに向かって「たかぎさんですね?」
「はい」
「乗ってください」
どこか慌てた様子のまま、エレベーターへ。

何がおこったのかわからないけれど、たぶんなにかが起こったのです。
何がなんだかわからないまま、やまねこも一緒に乗り込みました。





うたうやまねこ、あさって4月13日下北沢でのLIVE、
遅くなりましたが詳細出ました。
4.13(Sat.)下北沢ラグーナ → http://s-laguna.jp/
Open12:00/Start12:30/Charge \2,000+1D(adv.)\2,500(door)
やまねこは3組中3番め、13:40からの出演です。

そして4月28日はワンマンLIVE。
「うたうやまねこワンマンLIVE2019〜脈動〜」
4.28(Sun.)at御茶ノ水KAKADO → http://www.kakado.jp/
OPEN12:00/START12:30/CHARGE\2,000+1D

お会いできますように。
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