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2019年02月08日23:59

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《涙ちょちょ切れ》《ちー+! 091》

《涙ちょちょ切れ》

仕事中に怪我をした。
飲料の入ったケースを取ろうとしたら、手が滑ってあわや落下の危機。
でも、こー見えて機敏な俺は素早く身を反転して強引な態勢でキャッチ。
さすがに飲料ケースは重く、反動で手は下がるが、いつもならどうにか事無きを得る結末だ。…そう、いつもなら。

今日はシチュエーションが少しばかり異なり、場所は地上2メートルあたり。
下手な動きをすれば落下の危険性があるため、硬直するかのように身を固めてキャッチしたが、やはり相手はなかなかに重く…。

商品落下の反動に耐えられなかった手の先に、不運にも鉄柱が…。
右手のひらにキャッチした飲料ケース。そして、そのすぐ裏に突き出ている鉄柱…。

(ぼきゃ!)

いぎゃ〜〜〜〜〜〜っ!?!?!?

ってな感じ。

力学なんてとうに忘れたが、12kg×落下速度×鉄柱による停止=重圧…かな?

ちなみに鉄柱は四角柱に近く、タテヨコ幅2センチ程度。しかもその角に当たったのは右手の薬指ほぼ先端…。
鼻水も飛び出す悶絶級の痛さ。
幼稚園児の頃にひっくひっく言って泣いた、あの『泣き始め』を思い出すほどに痛かった…。

もうほんと、指が『ピキ…!』って言ったんだよ。

独りうずくまって悶える俺…。不幸な事に積み荷が多過ぎて外からは荷物に隠れた俺の姿は確認される事無く、極めて平常運行。平和だなぁ…。

痛みの引きが悪いのでどうにかこうにか確認すると、うわぁ、爪ぎりぎりの所にでっかい内出血。場所が場所だけに異常な痛みが…。リフトの運転が出来ん。

…でも、俺は強い子だから我慢して業務続行。
箱持つ。ボテ。
箱持つ! …ボテ…。
箱掴む! ビリビリ(バラバラバラ…)。

ダメだ! 仕事にならん! 痛いとかそーゆー次元じゃない! 拷問だ!

という事で事務所ダッシュ。後の状況を打破せねば。

事務所に向かった理由はサバイバル?道具の調達。
絆創膏、そして針。この2点。
この2点が揃えば全てが救われる。…といいなぁ…。

絆創膏はさすがにあった。残り3枚だった所が気になると言えば気になるが、あるにはあった。
でも、針は無い。安全ピン…これも無い。なんでもいいから鉄製の突起した物を…。
気の利く事務員がつまようじを持って来る………。それ、本気でやってる??

仕方が無いのでカッター使用。
内出血の痛みを消すには問題の血液を除去するに限る。

しかし問題が…。
俺、右利き。そして怪我したのは右手の薬指…。

同僚をとっ捕まえて切らせようとしたが、ゴメンされた。散々ケンカした話を聞いていたが、他人の血を見るのが苦手とは…。

別の人材…。ダメだ、血液どころか指を失いそうだ…。

という事で自分で実行。ただでさえ聞き腕ではない左手は常にプルプル。
内出血を起こす血豆は意外と深い位置にあるらしく、交換したカッターの刃がブヨブヨとはじき返されてしまう。

勢い良く切る事も考えたが、かつてそれが失敗して余計な痛みを味わった経験が鮮明なもので、あの痛みこそ耐える事が出来ない事を知る俺はかなり躊躇。

仕方が無い、切るのも突き抜くのも諦めて、掘り掘りしよう。
時間は掛かるが、最小限の痛みに抑える意味では確実だ。

慣れない左手で掘り掘り開始。
苦節約2分間。やったぜ、幹部到達。ぷにゅっと中の血液が外部に流れ、圧迫による痛みが完全に消える。
そして掘り掘り失敗(ターゲット外し)による余計に増えた傷口からもじわじわと血が、そして新たな痛みが…。

それでも内出血の痛みが無いのは喜ばしい事で、どうにか仕事は乗り切れた。

後は化膿しない事を祈るのみ…(やっぱり過去一回経験してる。わりとシャレにならない)。


《ちー+! 091》

第一章 仲間たちとの行進曲 3-53

【拠点ネメス・ネメス城下町北区域】
『ギルド ネメスのあくび』

 ナルミの混乱にも近い愚痴はアキやタバチの予想よりも早く回復を見せる。幼い頃から続くチータスとの付き合いがどれ程までにぞんざいなものかを垣間見た瞬間ではあるが、今や落ち着いて食事を取る姿から察すると、これもまたチータスとの付き合いの中では『普通』なのだろうという考えに行き着いてしまう。
「―――ところで、2人が眺めるネメスはどうだい? 特にちぃから見たら人だらけでしょ?」
 自分から開いてしまったナルミの混乱とはいえ、少しでも早く先程の状況から場を遠ざけるためにアキは話題を変えた。
「本当にソレ。どこ見ても人ばっかりで、なんか目が痛くなっちゃう。…でも、それ以上に建物が多過ぎてやんなっちゃうよ。自分が今どこに居るか正直分からないし、どうしてみんな、こんな広い城下町で迷わないであっちこっち行けるかが知りたいよ」
 何も無かった田舎育ちのチータスは、遠くに存在する目印を目安に自分の存在位置を確認する癖を持っており、例えば遠くに見える孤立した樹木や、森の方角などがそれに当たる。
 ところが、ペナ・リノでも感じた事だが、建造物が所狭しと立ち並ぶこの一帯ではその全てが遮蔽物となってしまい、チータスが探そうとする目印が見付けられないのだ。
「ナルだって困ってるよね?」
「わたしはペナ・リノの暮らしで慣れちゃったから、別に…(もぐもぐ)」
 困った思いの同情をナルミに向けるが、泣いた事で腹でも空かしたのか食事に夢中になっているようで、この話への興味は薄いようだ。
「ちょっとしか住んでなかったのに、知ったような言い方しちゃって」
「…まあ、それだけ大きな問題じゃないって事じゃないかな。住んでいるうちにすぐに慣れる話だと思うよ?」
 チータスの不安を知る事は出来ないが、アキはそう言ってタバチに目線を送る。『続けて』という事だろう。
「そうですね! 目印は近くでもいいと思います! 例えば、わたしの家とか、このギルドとか…、さっきの武器屋とか!」
「…まあ、それが目印代わりって言えばそうかもね」
 店内と自宅を区切るらしい扉が開いたのはそんな時だった。
「…なんだ、もうまったりモードか。呼べって言ったたろうが」
 そんな言葉と共に入って来たのはボーセスだった。
「感動の再会は終わったか? アキ、俺にも何か飲み物を頼む」
「『頼む』じゃないでしょ。ボスの店でしょ、ここは」
「いいじゃないか、そろそろおまえもカウンター姿が似合って来たな。冒険ごっこが飽きたらここに就職する手もあるから、まあ、覚えていてくれ」
「はいはい、気が向けばね」
 2人のやり取りを見る限り、ボーセスのアキに寄せる信頼はタバチ同様に相当なものなのだろう事が伺えた。
 ボーセスはカウンター席のすぐ後ろのテーブルに着き、まだ手にしていた新聞を置くと続けた。
「…ところで、本題はもう終わったのか?」
 予想しない言葉に全員が黙る。そんな中…。
「え?『本題』って?」
 アキが辛うじて声を出した。
 この言葉に今度はボーセスが驚いた仕草を見せ、チータスとナルミを交互に見やる。
「おいおい、2人は何かアキに用があってここに来たんじゃないのか?」
「え? …あ、うん。てか、用って言う用は実は無いんだよね。あたしもナルも、ネメス城やネメス城下町が初めてだったから…」
 2人は…、というよりも、本来はチータスが1人で足を踏み入れる事になっていたネメス城下町には誰ひとりとして知り合いは存在しなかった。
 そこに、偶然と言えばそれまでの話ではあるが、まだベレーレルに居た頃にアキと出逢い、そのアキが残した手紙にこのギルドの事が書いてあり、知り合いが誰も居ないという不安な状況の打破にアキを探すに至ったのが事の流れである。
「…なんだ、それじゃ俺の勘違いだったのか。俺はてっきりここで落ち合う手筈だったとばかり…」
 拍子抜けした感じのボーセスは、そう言ってアキに渡されたコーヒーを口にした。
「でも、結果論になったけど、ネメスのあくびのお得意さん候補が2人増えたでしょ?」
 アキは得意そうに言い、テーブルに着く。
「まあ、そうだな。レア・ハンターにして自由戦士のアキ、獣使いに並んで運び屋タバチ、そんで今年の国の目玉、勇者志願の2人か。『勇者志願』の正体を今表向きにする事は賢くないが、そのうち立派なうちの看板娘になる事だろうよ」
 不敵な笑いをボーセスは浮かべるが、すかさずチータスとナルミが反論する。
「勝手に看板娘にしないでよ、おっさん!」
「わたしは勇者志願じゃありません!」
「わはは、そう言うな。知名度が上がるって事はそういう事だ。悪く思うな。…それよか、昨日の話はどっちに決まったんだ? 危険は伴うが自由を選ぶか、危険は無いだろうが窮屈を選ぶかって話だが―――」
 2人の反論をまるまる無視するボーセスは昨日の話の答えを求めるが、そこはわざわざ聞く話でもないと悟り、勝手に先を進める。
「―――まぁ、普通は自由だよな。本心から名誉を追い求めるヤツは大体セコイ。そういった奴は聞くまでもなく安全を最優先しながら何もしないヤツがほとんどだが、おまえさんたちは本質が違うみたいだからな」
 得意気に語るボーセスの口調にチータスとナルミは聞く事に専念する事にした。
「そこの壁を見ろ。紙が色々と貼ってあるだろう?」
 促されるままにカウンター隣の壁を見ると、そこには無数の紙が鋲止めされており、その一枚一枚に何かが描かれているようだ。
「何あれ?」
「聞いた事無いか?『クエスト依頼』ってヤツだ。見りゃわかるが依頼主はそれぞれで、内容もそれぞれだが、共通する事はそれぞれの依頼主が持ち抱える『悩み』を解消する事が目的の紹介文みたいなものだ。…まあ、ここからじゃ見えないだろう。前に立って実際に見てみるといい」
 これまた得意気に言い、ボーセスは言葉を繋げる。
「まぁ、今のおまえさんたちからすれば、『自由への道しるべ』みたいなもんだろう」


《あとがき》

指を極力使わないように意識して業務は乗り切ったが、個人的業務のスロットは自主的に休暇(有給だといいのにな)。
日記は書こうと思ったが、キーを押す度に熱いビートが…! という事でこれまた休業…。

それにしてもひたすらに痛かったなぁ…。

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