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2019年02月05日22:06

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アカデミー賞を拒否した俳優


今はアメリカの映画の祭典、アカデミー賞の季節でもあり、3月中旬頃にアカデミー賞の受賞式がありますね。

今の時期は「○○はオスカーに手が届いた!」などど、世界中のマスコミが大騒ぎしているが、過去、2回、アカデミー主演男優賞の受賞を拒否したという、凄まじい俳優がいる。1970年に「パットン大戦車軍団」での受賞を拒否したジョージ・C・スコットと、その翌々年に「ゴッドファーザー」での受賞を拒否したマーロン・ブランドである。スコットの方は、拒否したことが美談となり評価が上がったが、ブランドの方は、逆にシラケさせてしまったそうだ。

スコットが拒否した時は本人の代わりに代理人が会場に登場し、スコットのメッセージを伝えた。その内容は、
「スポーツではあるまいし、俳優の演技に順位をつけるのはおかしいと思う。私が演じたパットン将軍というのは第二次大戦の米軍の最高の英雄であり、その強烈なキャラクターが単に私にピッタリ合っていたのだと思う。3人の俳優がパットンを演じて、その中で私が最高だったというのなら賞を受賞したい。」
というものであった。よく道理にかなっていて、世界中が納得してスコットを称賛したそうである。

ところが、ブランドの時はブランドの代わりにインディアンの女性が登場し、
「ブランド氏はアメリカ映画の中でのインディアンの扱いが、あまりにも酷く不当であると思っている」
というメッセージを読み上げたという。

過去にブランドが主演男優賞を受賞したことがあったので会場にいた人たちは、
「過去にすでにオスカーを受賞してるから、別に欲しくなかったんだろう」
「『ゴッドファーザー』と何の関係があるのだ?」
「今、流行の反米運動(当時はベトナム戦争の最中だった)のパフォーマンスだろう。」
「アカデミー賞の授賞式に、政治問題を持ち込むのはちょっとね・・・」
などと思い、シラケた人が多かったそうだ。確かに西部劇中のインディアンの扱いは不当だったが、
「そう思うのならブランド本人が出てきて、みんなが納得するようによくよく説明するべきだった」
などと、日本の有名な映画評論家が後に雑誌に書いていた。

今のような映画産業斜陽の時代はファンサービス拒否なんてあり得ないだろうが、1980年代頃までは、サインを滅多にしない俳優はけっこういた。ジョージ・C・スコットもあまりファンの前に出ない俳優だったが、他にもポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードなどは滅多にファンの前に現れず、よほどコネのある人にしかサインはしなかった。 日本だと三船敏郎、鶴田浩二、高倉健などはあまりファンの前に出ないしサインもしない俳優だった。理由としては俳優のイメージが崩れることと、プライベート生活はそっとしてもらいたいという本人の希望があったようだ。

最近のアカデミー賞にはあまり興味がない。なんか、ものすごく評判になったとか大ヒットした映画が最近はないから。最後にハリウッド映画のアカデミー賞受賞映画で興味があったのは、「ハート・ロッカー」ぐらいかな。イラク戦争という、アメリカが直面している大きな危機をよく描いていると思ったから。

写真左は、「パットン大戦車軍団」でパットン将軍を演じる、ジョージ・C・スコット。写真右は、ベルギーのバストーニュの町で僕が撮影したパットン将軍のレリーフ。パットン第3軍はドイツ軍が「バルジの戦い」で1944年12月に猛反撃に出た時に、もの凄いスピードで逆襲をかけてドイツ軍5機甲軍に包囲されていたバストーニュを解放した。だから、バストーニュの町にはパットンのレリーフがある。

映画に描かれたパットン将軍は、信頼できる部下と同僚を[My dear son of a bitch]「親愛なるクソッタレ野郎」と呼び、
「オレは戦争がオレの命よりも好きだ!人間の成せる業の中で最も素晴らしいのは戦争だ!」
「オレに10万の軍隊をくれ!1ヶ月でアカのクソッタレども(ソ連のこと)をシベリアの奥地に追い返してやる!」
などと部下の前で平気で叫んでしまうような、獰猛で下品な将軍だった。だが、同時に米軍史上最高の戦略・戦術家でもあった。要するにパットンくらいに単純で乱暴な思考の性格でないと、軍隊の指揮官という辛い仕事は出来ないということなのだろう。



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