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2019年02月06日03:03

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三つ巴にもならない『映画芸術』の没落

■キネ旬ベスト・テンで柄本佑&安藤サクラ、夫婦で受賞 『万引き家族』が日本映画1位
(シネマトゥデイ - 2019年02月04日 19:22)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=14&from=diary&id=5484682

■2018年最もトホホな映画とベスト映画発表!話題の邦画が名誉の2冠 - 映画秘宝
(シネマトゥデイ - 2019年01月21日 12:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=14&from=diary&id=5464769

■映画芸術のベストテン1位に「きみの鳥はうたえる」、ワースト1位は同率で2作品
(映画ナタリー - 2019年1月30日 21:02)
https://natalie.mu/eiga/news/318044

 昨年の映画の主要賞が概ね出揃ってきたところだが、今回、個人的なベストテンを書くのは控えておこうと思う。
 いちいち数えちゃいないが、恐らく昨年は観た封切り映画は200本に届いていない。体調を大幅に崩したことが原因だが、理由はどうあれ、観られた映画はせいぜい150本程度なのだ。公開された映画の本数が1200本ほどだそうだから、1/6も観ていないことになる。これではさすがにベストやらワーストやらを選ぶ気になれはしない。
 けれども、だいたいどこの映画雑誌のライター達も、プロを名乗っている割には、300本、400本と観ている人間はほんの一握りなんだよね。私と大して変わらないどころか、50本程度しか観ていなくて映画通みたいな顔をしている連中が大半だから、何だかなあ、なのである。最初から偏りがはっきりしているベストテンの結果なんかに一喜一憂したところで意味ないよ、というのが毎年の基本的な感想。
 一応、『キネマ旬報』『映画秘宝』『映画芸術』が日本の三大映画雑誌ということになっているけれども、どこも中身がスカスカなことこの上ない。ベストテンの結果はどれもこれもみんなたいして映画を観てないし観ていてもどういう視点で映画を評価すればいいか、見当もついていない連中ばかりだってことがバレバレだ。昨年も長編アニメーション映画は豊作の年だったと言ってよいが、まず観てないからね、この国のプロモドキはみんな。

 中でも、昨年から「アニメーションをベストテンの対象から外す」と宣言した『映画芸術』誌の偏向ぶりは「事件」と言ってもよいくらいにどうしようもなくなっている。
 『キネ旬』が一位に選出した『万引き家族』、『映画秘宝』が一位に推した『カメラを止めるな!』が、『映画芸術』ではワーストの一位と三位である。どんな映画にも賛否はあるものだから、『映画芸術』が他誌との差別化をある程度図るのは分からなくもないが、これはいくら何でも露骨すぎる。事前に委員同士の連絡があったのか、何らかの忖度が働いたのか、そんなの勝手な憶測だとシンパはいきり立つだろうが、まず間違いのないところだろう。まだ本誌を入手してないので、選評は未読だが、毎年、批評にも何にもなっていない感想以下の駄文を書くやつしかいないので、カネを払って読むのもツラいのである。
 まあ、荒井晴彦が主幹になって以来、『映画芸術』が地に落ちたことはギョーカイ内では周知の事実であるから、今さらながらの結果だよね、とは言えるが。これじゃあ、今年も、映画芸術一派の巣窟に成り果てている湯布院映画祭には、行ったって仕方がないという判断しか下せないのである。

 是枝裕和監督は、私もそんなにたいしてヒイキにしたくなる演出家ではないが、『万引き家族』をワーストと扱き下ろさなければならないほどの駄作だとは思わない。巷では未だに「美しい国、日本を『万引き』という行為で貶めた」と激昂しているネトウヨが散見しているが、パヨクの巣窟たる『映画芸術』界隈にはそうした意見は多くはないだろう。毎回崩壊した家族を描きながら、反作用的に「あるべき形の家族」を暗示するやり口の「あざとさ」が、いっぱしの批評家を気取っている『映画芸術』誌の連中の神経を逆なでしているのではないかと推測している。
 確かに是枝映画にはそういう面は多々あって、家族の問題を突き付けているように見えながら、実は後に何も残らない作品ばかりなのだ。感動ポルノと同じで、観劇後に泣く人は多いけれど、それで気分がスッキリして終わり。無意識のうちに「ウチはあんな(いろいろな意味で家族が崩壊している)でなくてよかったね」とホッとして帰路につくのである。
 「それ(家庭崩壊)が、自分のうちにも起こりうる」という深い洞察、表現の切込みがない。端的に言って「浅い」のである。
 しかし、その「浅さ」ゆえにワーストと言えるかどうかというと、「そこまでじゃない」というのが妥当な判断であろうと思う。毎年の各委員の選評が本当に頓珍漢なものばかりなので、フラットに作品を観る眼自体を彼らが失っていると判断するしかないのだ。

 『カメラを止めるな!』についても、一発屋で終わるんじゃないかという不安はあるが、この作品一作をワーストに推すほどに貶す理由が分からない。早急に本を手に入れなきゃならんかと思いつつ、先述した通りの「バカのバカ丸出しの駄文なんぞ読みたくないという」理由で、躊躇しているのである。
 誰かが、『映画芸術』の今年のトホホぶりを簡潔にまとめてレポートしてくれないかと思うのだが、もう殆ど映画関係者から相手にされなくなっている連中だから、どこのニュースでもブログでもろくに取り上げられていないんだよね。ホントにもう、あと何年発行を続けられるものやら。バカを隔離しておくには格好の媒体なので、雑誌自体はなくならずに続いていてほしいのだけれど。
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