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2018年12月28日23:47

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゚Д゚) <Padmaavat (パドマーヴァティの伝説)

2018年「世界で最も美しい顔100人」ランキング発表 日本勢トップは小松菜奈!
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=25&from=diary&id=5438451

 推薦枠があったり、ネット投票だったりと、まあ色々言われてるランキングですが、ベスト100の中のインド映画関係者をあげてみると…

94位 ナルギス・ファクリー
61位 ディーピカ・パドゥコーン
47位 プリヤンカ・チョープラ
27位 プージャー・ヘーグデー
10位 バニーター・サンドゥー

 ナルギス、ディーピカ、プリヤンカは毎度ながらだんだん順位が落ちてますな。あ、アーリア・バットがランク外になったのくわ! もっとインド人女優がワールドワイドに活躍してもいいじゃない! ディーピカはまだまだやりまっせー!期待しててー!!!(イケメン100人の方…?まあ、めんどいのでチェックはまかせた!!




Padmaavat (パドマーヴァティの伝説) 2018年 163分
主演 ディーピカ・パドゥコーン & シャーヒド・カプール & ランヴィール・シン
監督/製作/脚本/音楽 サンジャイ・リーラー・バンサーリー
"人の一生を三語で表すなら、なんとする?"
“直感、愛情、…そして犠牲"

https://www.youtube.com/watch?v=X_5_BLt76c0

 時に、13世紀のアフガニスタン。
 ハルジー朝(*1)を創始せんとデリー侵攻を計画する将軍ジャラールッディーン・ハルジー(*2)の娘メヘルー(*3)と結婚する将軍の甥アラーウッディーン・ハルジー(*4)は、己の欲するもの全てを手に入れようとするその強欲さで、周囲に恐れられていた。

 同じ頃、遥か海を越えたシンガル(現スリランカ)の女王パドマーヴァティを見初めたグヒラ朝メーワール王国(ラジャスターン地方にあった王国)の王ラタン・シン(カナ表記では、一般にラタン・シングとも。別名ラトナシンハ)は、シンガル滞在中に女王との仲を縮めて愛を誓い合い共にメーワールの首都チットール(現チットールガル)に凱旋していた。
 だが、その幸せな結婚は王宮司祭ラーガヴ・チェータンの追放によって崩れ始める。デリー・スルターンとなったジャラールッディーンを殺してスルターンの座についたアラーウッディーンは、逃亡してきたチェータン司祭から聞いた絶世の美女パドマーヴァティに興味を抱き、彼女を手に入れんとメーワール王国への進軍を開始していたのだ…。


*1 1290年〜1320年の間、北インド一帯(一時はデカン高原を通じて南インドの一部地域まで)を支配したトルコ系イスラーム王朝。デリー・スルターン朝(13〜16世紀初めまで、デリーを中心に北インドを支配圏に入れていたイスラーム王朝群の総称)の2番目の王朝。
*2 ハルジー朝初代スルターン(=君主)。生年不詳〜1296没。劇中では発音的に"キルジー"と聞こえる。
 史実では、奴隷王朝時代に軍人として活躍してスルターンの護衛隊長を務めた後、宮廷内の粛正をおこなう貴族たちの自身への暗殺計画を察知して反撃。第10代スルターンのカイクバードを処刑させ、その息子である奴隷王朝最後のスルターン カユーマルス(当時3才)を捕らえ、70歳を越える身で奴隷王朝に代わるハルジー朝を創始。初代スルターンとなった。
*3 カナ表記ではマーフルーとも。別名メヘルーニサ。後のマリカ・イ・ジャハーン(=世界の女王の意。母親も同じ名前で呼ばれた)。ハルジー朝創始以前にアラーウッディーンと結婚するも、スルターンの娘というプライドの高さでアラーウッディーンとの間に亀裂が入り、その夫婦仲はそのまま埋まらず、父ジャラールッディーンを殺してスルターンに就いた夫を、生涯許さなかったと言う。
*4 カナ表記では、アラー・ウッディーン・ハルジーまたはアラー・ウッディーン・ムハンマド・シャーとも。ハルジー朝3代目(数え方によって2代目)スルターン。1266もしくは1267生〜1316没。
 史実では、父親シハブッディーン・マスードの死後、伯父にあたるジャラールッディーン・ハルジーの元で育ち彼の娘と結婚するも夫婦仲は悪く、ジャラールッディーンとも関係悪化してしまう。ハルジー朝創設以降、寛容政策をとるジャラールッディーンに反発して、武力侵攻によってデカン高原の各ヒンドゥー勢力を支配下におき、その資金力や兵力をもってジャラールッディーンを暗殺。デリーの貴族たちを懐柔して、ジャラールッディーンの妃マリカ・イ・ジャハーンが2代目スルターンに擁立したルクヌッディーンを廃してデリーに入場。母子を幽閉させた後にスルターンとなる。
 即位後すぐに始まるモンゴル軍の5度にわたる侵攻を退け、インド各地への遠征による勢力拡大と言う軍事的成功をもって、自らを「シカンダル・サーニー(第2のアレクサンドロス大王)」と称したと言う。


挿入歌 Ghoomar (ゴーマルの舞踊)

https://www.youtube.com/watch?v=6cKErCWrb44
*ゴーマルとは、ラジャスターン地方に住むビール族に伝わる女性用伝統舞踊。
 ただし、劇中のダンスはその伝統舞踊を踏襲していない亜流であると多方面から批判されたそうな。
 このミュージカルシーンは撮影に4日を要したそうだけど、この曲が発表されるや、24時間以内に1000万回以上の再生回数を記録し、T-シリーズ歴代最高再生回数となったと言う。



わーい(嬉しい顔) 1540年にスーフィー詩人マリク・ムハンマド・ジャーヤスィーによって書かれたと言う、アワディー語(北インド ウッタル・プラデーシュ州アワド〜ネパールに広がるテライ平原地域で使用される言語。インド・アーリア語群中の東部中央語群の1つ)の詩を映画化した(と言うことになっている)、歴史大作ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏で使用される言語)映画。
 主要登場人物のうち、アラーウッディーンとラタン・シンは実在の人物ではあるけれど、パドマーヴァティは歴史学的裏付けのない架空の人物とされる。

 本作は、その製作が発表されるや舞台となるラジャスターン地方で「ラジャスターンを冒涜する映画である」との噂が流れ始め、数々の妨害行為や暴動、暴力事件、関係者たちへの殺害予告が多発する事態に発展し公開延期を余儀なくされた映画でもある。…が、公開されてみれば多方面から「内容的に全く問題ない」と受け入れられ大ヒットを飛ばす事に(映画冒頭にも、フィクションであることがわざわざクレジットされている)。一連の騒動と、政治家たちの対応、検閲委員会の煮え切らない態度などから、インドにおける"表現の自由"とはなんなのかが様々に議論される大きな騒ぎとなっていた。
 元々は、パドマーヴァティ伝説そのものの映画化企画だったそうだけども、各地での抗議活動と破壊行為の連続によって、「Padmaavati」のタイトルから「Padmaavat」に変更され、スーフィー詩の映画化作品であることが強調される形となったそう。

 公開延期でありながら(だからこそ?)インドと同日公開で、ドイツ、スペイン、フランス、インドネシア、オランダ、ポルトガル、スウェーデン、米国で、その翌日にはオースリア、スイス他でも公開。オーストラリアでは、公開初日の興行収入が「ダンガル(Dangal)」「バーフバリ 王の凱旋(Baahubali: The Conclusion)」を越える史上最高額を達成。一方、劇中のイスラーム教徒の扱いの悪さから、マレーシアでは内務省の指示で公開禁止措置が取られているそう。
 日本では、2018年にSPACEBOX主催の自主上映(英語字幕版)が行われている。

 まさに絢爛豪華。過去のバンサーリー監督作を踏襲する美学と、それらを昇華した映像密度に彩られたインドの映画文化と伝統をこれでもかとアピールする映像美は、とにかく必見。
 壮大な王宮文化の豪華さ、ラジャスターンの黄土色の暖色世界とシンガルの緑濃い仏教岩窟の幻想さ、ハルジー朝の黒と濃緑世界の荘厳さ、それぞれに色彩を画面ごとに一定方向へまとめ上げる色彩計画とその象徴性、衣裳宝飾品の惜しげもない豪華さ…それらを、布越しや砂煙越し、光輝越し、炎越しに透かせて見せる画面構成が、ラストに向かって様々な意味性を包み込んでいく映像体験は、これまでのバンサーリー監督作からまた1段階も2段階も進化しているような感じですわ。
 なんとなく、その抑制された色彩の洪水や、あえて時代考証を無視したかのような様式美(衣裳、舞踏スタイル、勧善懲悪な人物像…など)の追求などなどが、晩年の黒沢明監督作の時代劇映画を彷彿とさせるのは、穿ち過ぎ…かなあ(赤いターバンのメーワール軍と黒いターバンのハルジー軍がぶつかるところなんて「乱」みたいじゃん! 誰か、黒沢時代劇との比較とかやってホシィー!)。

 まあ、劇中のハルジー朝の描き方…特に悪役であるアラーウッディーンの描写が、かなり蛮夷的に描かれているのは、そりゃあ気に入らんって人が出てきてもおかしくないよなあ…とは思いますけども。
 実際には奴隷王朝時代からそれなりに宮廷文化を吸収していたハルジー族は、アラーウッディーンの強権政策があったにしろ、「テュルク系のインド支配」から「インドのイスラーム化(イスラームのインド化?)」へと舵を切った重要な分岐点を作った部族となったってことでは、インド史の中ではそれなりに注目されていい時代なのかもねえ…と、背景を調べていて思うにわかですわよ。
 同じくデリー・スルターン時代を描いた、80年代のウルドゥー語(ジャンムー・カシミール州の公用語。主にイスラーム教徒の間で使用される言語)映画「Razia Sultan(女帝ラズィーヤ・スルターン)」の描く奴隷王朝の様子もあわせて楽しみたいものですネ!(この調子で、各王朝ごとに絢爛豪華な時代劇映画が1つずつ作られていかないカナ!)

 劇中の三角関係は、バンサーリー監督の過去作「銃弾の饗宴 ラームとリーラー(Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela)」「Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)」のような悲恋劇を中核に持っていながら、交錯する三者三様の情念と画面を彩る様式美から、重厚であっても重苦しくはなく、オペラ的な絢爛さもただただ美しく、ラタンとパドマーヴァティの愛の強さ、アラーウッディーンの孤独とその裏返しとしての果てしない強欲さが、物語的対立構造として徹頭徹尾効果を発揮していく完成度。話が進めば進むほど、ラタンとパドマーヴァティの愛の完成と、その中に入っていけないが故に孤独の只中から抜け出せなくなるアラーウッディーンの業の深さが際立っていく。その周囲の人々を動かす情念の渦が、メーワール王国の(一時的な)最期という壮絶な事件を彩っていくことになる荘厳さが、全く嫌味に見えないんだから凄まじい映画ですよ…。
 ラストを飾る男同士の決闘の泥臭さ、メーワールの女官たちを前に三又槍を背負って演説するパドマーヴァティの凄味、その女官たちが敵を前にした時に見せる女性としての・ラージプートとしての誇り。それらが彩る映像的イメージの重複の美しさ・儚さ・力強さは、なにをおいても必見!!!


挿入歌 Ek Dil Ek Jaan (心は1つ、人生も1つ [貴方のためにそれを捧げよう])

https://www.youtube.com/watch?v=c64I9HNpiOY

挿入歌 Khalibali ([愛の王冠を戴いてより] 我が心は飛び立ってしまった)

https://www.youtube.com/watch?v=v7K4vGYL9zI

プロモ映像 Nainowale Ne (美しい目を持つあなた)

https://www.youtube.com/watch?v=xE9FBL7jUGA

挿入歌 Holi (色の祭は来たれり)

https://www.youtube.com/watch?v=PSr5RMQ1Fmw



受賞歴
2017 Gaana User’s Choice Icons 女性歌手賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Ghoomar)
2018 HELLO! Hall of Fame Awards 批評家選出主演男優賞(シャーヒド)・エンターテイナー・オブ・ジ・イヤー男優賞(ランヴィール)・エンターテイナー・オブ・ジ・イヤー女優賞(ディーピカ)
2018 Dadasaheb Phalke Excellence Award 主演男優賞(ランヴィール)・記念碑的主演男優賞(シャーヒド)
2018 Star Screen Awards 主演男優賞(ランヴィール)


・ヒンディー映画史上最大ヒットである「ダンガル きっとつよくなる (Dangal)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1965979452&owner_id=3570727

・インド映画史上最大ヒットとなった、超絶歴史ファンタジー大作「バーフバリ 王の凱旋 (Baahubali 2: The Conclusion)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964392442&owner_id=3570727

・ハルジー朝の1つ前の王朝である奴隷王朝を舞台に、イスラーム史上初の女帝の生涯を描く「Razia Sultan (女帝ラズィーヤ・スルターン)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1961897712&owner_id=3570727

・バンサーリー監督版ロミオとジュリエット「銃弾戯曲 ラームとリーラ(Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1936781913&owner_id=3570727

・バンサーリー監督による歴史大作「バージーラーオとマスターニー (Bajirao Mastani)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1961774385&owner_id=3570727




・Padmaavat を一言で斬る!
「『ホビット』3部作のリチャード・アーミティッジ演じるトーリンのスタイルを外見的モデルにしたと言う、ランヴィール演じるアラーウッディーンのぶっ飛んだ演技力を刮目せよ!」
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