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2018年09月23日08:37

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《江藤さん(仮名)》《高校や大学の無料化とか》《正社員とアルバイトの賃金平均化》《起きる事の無い大規模戦争》《液晶パネルの利用価値…から繋がった人間社会の未来構想》《新開発『食べれるティッシュ』》

《江藤さん(仮名)》

かつて働いていた会社に江藤さんという方がいた。まあ、仮名だが。
俺よかだいぶ年上で礼儀正しく、一時期は短くない期間で中国に滞在したようで、向こうでの様々な生活環境や日本人との考えの違いなど、興味ある事を色々俺に教えて下さった方だ。

そんな彼が日本に戻って来た理由は彼自身がはっきりせず、一言には『とりあえず』。

『とりあえず』で海をまたぐその姿勢はなかなかのぶっ飛びぶりだが、帰って来た先に就いた職業が牧師というのもなかなかにぶっ飛んでいる。しかも自称『インチキ牧師』だ。

『もう少しお布施があれば、こうしてサラリーマンする必要はないんですけどね…』

と、苦笑いで液晶パネルを眺める彼に必要な、『月に必要なお布施の額』とは約20万…。想像するまでもなく、牧師業は難航を極めていたらしい。

『牧師』というのはなかなかに俺の興味をそそる職業なので、社会見学ではないが、そんな意味も含めて内心でも打ち明けに行こうかという話になった際に、彼は言った。

『辞めておいた方がいいですよ。結局雑談になっちゃうし、悩みに対する回答が適当そのものですよ。こうして会社で話している時の方が、よっぽど牧師らしい行動と話し方なんですから。それに、てぃーのさんは切り返しが鋭いから、きっと僕の方が悩み解消されちゃいますよ』

そう言って笑う。
カトリック教の教えなんて知らないが、本人いわく、『僕も実際のところ、深くは知らない』らしい。なかなかのインチキ振りだ。

とはいえ、彼は一言に知識人だった。過去から現在の流れを組んだ、予想上の未来を大まかに組み立て、構想する事を得意としていて、そこに俺が補強材のような感覚で更に予測を付け加える事で未来予想を立体化していく。
もちろん、当時としては現実味のない話なので笑い話の一種に過ぎなかったが、これがなかなかどうして…、今の世の中にきちんと現れているのだから面白いものだ。

そんな江藤さんとのかつて想像した『未来』の話。


《高校や大学の無料化・県立高と私立校の一本化》

少子化が危ぶまれ、そして見事に少子化の成立が実現している。搾取に他ならない税金の水増しはその場を生きる人々に危機感を与え、紙幣の循環が鈍くなるばかり。
紙幣の放出が無いので業者側の収入も滞り、それまでの利益を低下させてでも販売側は売り上げを達成させて火の車の状況下で毎日を乗り切る事で、どうにか給料を工面する日々。
まあ、現在の日本という事だ。

巡りの悪い資金面は学生にも飛び火し、ただでさえ少子化に付け加え、学校に行けなくなる人が増大する事が予想され、結果的にあちこちの学校が廃校の路線を歩まされるが、資源の無い日本においては今や発想の時代は過去となり、学歴による知識がかつての発想に発展を促さなければ未来は無い…というお話だ。

しかし、学校に行かなければ、段階的に成長する算段から成るアルゴリズムが崩壊してしまうため、国はどうにかして人を学歴に結び付けようとする。

…で、必然的に出る答えが『低額化』なのだが、多分、その頃には誰もが出費を掛けずに生きるリズムを作り上げているので、効果のほどは思わしくない。

最終的には『無料化』という事だ。

実際、ここ数年で都心部の大学だか高校が無料化されているようだ。
日本人はとにかく周囲の目を気にし、より知名度の高い知識を常識化したがる傾向にあるので、全国の無料化もさほど遠くない未来の話だと思うな。


《正社員とアルバイトの賃金平均化》

アジア系の考えは、そもそも利益に対してケチな考えがある。いかに私服を肥やすかに思考を傾け、一方でいかに安い賃金で効率化を図るかに時間を費やす。
その上で日本人は支配される事を好む傾向が強く、なるべく考えないで済む作業、なるべく動かないで得られる収入を考え、自らの知識を披露する場面を極力避ける傾向にある。
こうして出来上がるのが一方的に犠牲となる従業員と、一方的に楽をする従業員との差。
人間には無限の可能性が秘められる一方で、どの分野においても活動限界が浅く、時間に追われ易い。

幾つかの問題を一気に解消するためには機械化の導入。可能な限りのオートメーション化だ。

オートメーションは聞き映えが良いが、機械に頼る事になるため、人の限界を簡単に越える事が実現する一方で人手が必要とされなくなる。ボタンひとつで全作業が終了してしまうからだ。

そうなると今までの作業内容に準じた給料配分の見直しが必至となり、当然ながら給料などの面が冷遇される事になる。汗水たらしてぶっ倒れる思いをして働く過去と、ボタンを押すだけの業務内容の差が歴然だからだ。

そうなると従業員に存在した上司や部下の格差の意味が無くなり、言えば誰でも出来る作業となるため、正社員とアルバイトに備わった仕事の質の差もあやふやになる。何よりも責任の行き所が機械になるため、責任の行き先が技術者に絞られてしまい、現場責任者が必要なくなるわけだ。

一か所の現場には最高責任者となる重役が一人滞在すれば良く、その扱いも一般社員枠だろう。そして、その他は全てアルバイト。
実際に現在でも目にする構成で、その浸透も速そうだ。


《起きる事の無い大規模戦争》

独占心豊かな人類は、いつでも他人の領土、他人の知識、他人の富、他人の心を支配したがる。そして自分を有名にしたがる。世界の人々はそうやって歴史を築き上げて、無関心な人々はそんな人たちに食われ続けて来た。そんな無意味な気持ちを野心と呼び、人々の心の中ですくすくと成長するワケだが、その一方で世界規模の戦争は起きないだろうと彼は言っていた。

『?』な気持ちも答えを聞けばわかる話で、なんでも破壊力があり過ぎるとのこと。

ナルホド。一発一発の高破壊力の兵器を各国でぶっ放せば、勝利後の領土がめちゃめちゃだ。戦争一つで金が掛かるというのに、終戦後の復旧作業の方が時間と金を多く使用してしまい、何のための勝利かも分からなくなってしまう。
侵略成功後の第一歩が、侵略地域の人助け。そりゃおかしい。

なので、次に戦争が起るとすれば、それは『間違い』から。
間違ってボタンを…ぽち。
『あ……』
ミサイルど〜ん!!

『やりやがったなコノヤロウ!』
と、勘違いでこちらもミサイルぽちちっ!

で、収拾つかず。
さよなら人類。そして巻き添えの自然界。…と、こんな感じ。
多分、これこそが最終戦争。
間抜けだ。


《液晶パネルの利用価値…から繋がった人間社会の未来構想》

液晶パネルを扱っていた業種のためか、その未来化の話はけっこう出た。

あっさりと出た予想の一つは携帯電話。今現在のスマフォやアイフォンの事だ。
携帯電話の出現は同時に気軽に持つ事の出来るディスプレイの出現でもあった。
情報処理が目視できるのは非常に画期的である一方で、人間の記憶力を一瞬で奪い去る脅威の存在でもある。しかし、利便性は計り知れない。

そんなに便利なモノが、発売当時で12〜20万で手に入った事にも驚いたが、江藤さんとこんな話をした頃は携帯電話会社間での生き残り戦争真っ最中で、0円が当たり前だったのだから、シェアの奪い合いもえげつないものだった。日本人ならではの発想だ。まあ、この辺は今も変わっていないが。

ちなみにNTTはこの時を利用すれば過去と変わらぬ日本国内1強を維持できた筈なのだが、完全に他社に翻弄されていたようで、auやソフトバンクを好んでライバル化してしまった。…というのが、俺の感想でもある。金に目がくらむとロクな事が無い。

話を戻し、当時の携帯電話を起点とした、それまでの進化とこれからの進化。そんな話の流れ。それと、携帯電話が出現した影響で姿を失うモノたち。

○江藤さんとこんな話をする前に実現していた事。こちらは20歳当時の俺個人の想像。
携帯電話、一般化して出現!(当時12〜20万)激安!!

・類似品多数出現(実現・3桁の品種が並ぶ! アナログ・デジタル混在)
・ディスプレイのカラー化(実現・発売当初一色)
・メモリ増大(現在進行形にて実現・当時は電話番号300件、文字はカタカナ・数字が限界)
・ドット表現の向上(実現)
・携帯電話本体の大幅な値下げ(実現・一時期は無料が当たり前)
・ポケットベルの消滅(実現・一方的に呼び掛ける暗号発信機。現在のメール機能の初期型)
・固定電話の消滅・減少(一部で実現)
・電話ボックス・公衆電話の消滅(ほぼ実現)
・大幅な無線の減少(実現)
・カラーディスプレイを利用した、フォーマット細分化やその拡張。アプリケーションの多角化。(実現)


○江藤さんと話をした、彼との出逢いからこれまでの携帯電話の発展の予想。

・送信技術を利用した、今で言うメールのやり取り(実現)
・デジタルカメラ搭載(実現・写メと呼ばれるもの。ちなみに写メの原語は『写真添付のメール』の略)
・容量拡張技術に伴うムービーの搭載(実現)
・パソコンとのアクセス実現(実現)
・タッチセンサー式パネルの搭載(主にスマフォ・アイフォンで実現)
・ディスプレイの大型化(主にスマフォ・アイフォンで実現)
・企業企画ポイントカード消滅(企業アプリケーションで大幅実現)
・現金を使用しない口座引き落とし(実現)
・拡張機能による細分化した口座(チャージ機能にて実現)
・TVアクセス(デジタル地上波にて実現)
・パソコン一体型(ほぼ実現)
・逆探知機能を駆使した個人位置特定(GPSにて実現)
・電子機器とのリモート通信化(実現)
・リモート通信技術を利用した、扉や窓などの電子可動化(一部実現)
・デジタルマップを利用した地図の形成(グーグルアースにて飛躍的成長)
・既存の車載ナビゲーションシステムの消滅(実現していないが現実的に可能)


○江藤さんと別れた今、まだ実現していないが、これから実現しそうな発展。

・携帯電話類の損失から来る人生破滅。
・通信技術を利用した、全分野においてのキーレス化。
・身分証明デジタル化。(パスポートをはじめとする証明書類の消滅)
・安全思慮による、拡張GPSの人体埋め込みの安定化。
・病気等の各個人目視化。
・現金消滅。
・空調システム技術開発から成るディスプレイの立体化。
・触れる事が出来る2D(もはや3D?)
・人体そのもののデジタル化。
・媒体を必要としない映像の立体化。
・電話機器を利用しない遠隔対話の実現。(埋め込み式電話)
・電子業界の消滅。
・印刷業界の消滅。


などなど。
なんか、人が人でなくなりそうだが、冒涜を続けて喜ぶ人間の末路にはもってこいの未来だ。
とりわけ、運送業界と食品業界は大丈夫そうだ。
それにしても江藤さん…、神の使いでありながら、………うん。


《新開発『食べれるティッシュ』》

江藤さんはユニークな性格であって、真面目な訳ではない。そんなカトリック教のインチキ牧師(自称)だ。

そんな彼は妄想の中の製品開発に余念がない。
仕事の接点は部門違いのためなかなか無かった事が惜しまれたのだが、少ない従業員の小規模会社という事もあり、俺の人生の先輩であって、事実上、会社でも先輩の位置づけなのだが、役職的には俺の部下になっていた、よくわからない立ち位置でもあった。

そんな彼は、言われた事を着実に進める事を得意とするが、業務を終えたら自ら次の業務を捜す事を苦手とするようで、必ず俺の所に来て雑用を手伝ってくれていた。

一方で俺は、必要な業務さえ完遂させれば、あとは寝るなり呑むなり好きにしてくれ、という性格なので、時間があるから何かやれ…という事は言わない主義。

実際に眠りたいなら社長の目の届かないどこかに逃げて寝ていてくれれば、あとは俺が適当に理由を付けていたし、遊びに行きたいのなら見付からない遠くに行け…というのが俺の言い分。見付からないも見付かるも全て自己責任だが、とにかく俺は必要以上の仕事を押し付けるのが嫌だった。

そんな理由で、江藤さんが雑用をしたい(暇つぶし)というなら、それが彼なりのリラックスと理解し、そんな作業中には実に様々な雑談を交わしたものだ。

一時期、『世に存在しない画期的な新商品開発』に拘っていた彼だが、特に面白かったのが『食べれるティッシュ』の空想開発だ。

人間として

『必要とする・多分野で使用する・無駄がない・ゴミが出ない・誰でも分かる・低資金』

をコンセプトとしたあらゆる商品開発の思案に乗り出した結果こそが、その『食べれるティッシュ』という事だった。まったく、現金にして1億2000千万の取引電話の中で何を考えているんだか…。

『食べれるティッシュ』の開発は別段難しくない。むしろ簡単だろう。問題は販売に当たっての謳い文句という事で、俺の知恵を貸してくれと…。どんな頼り方だ?
…でも、発想が狂っているほど面白いので、惜しまず知恵を貸す。
妙な言い回しは失敗の可能性を膨らませるだけなので、余分な言葉は含まない。

ズバリ、

『どんなご利用方法の後でも食べる事が出来ます』

我ながら素晴らしいインパクトだ。あらゆる質問をこの言葉だけで跳ね返す事が可能だ。
しかし、注意書きも必要となる。

『ティッシュが吸収した物質はそのまま人体にも影響しますので、毒素を含む物質への利用の際は、その後に食べる事をお勧めしません』

『食べれる』の謳い文句に『食べるな』は矛盾するので、勧めない方向でやんわり回避。全ては自己責任だ。
『ティッシュが食べられる』。
それだけが唯一の特徴であり、従来のティッシュとの異なりなのだ。

『おお〜!』

と感動する江藤さん。ついでに姉妹品の案も提供する。

『どう? 姉妹品で『食べれるトイレットペーパー』は?』

汚ねぇっ!!
でもバカウケ。

どうにも止められなかった笑い声を聞かれて社長登場。
説教された。

そう、…全ては自己責任なのだ。


《あとがき》

雑談知識が幅広い人は面白い。江藤さんはそんな俺の中の象徴で、様々な部分で賢さが窺えるのが好ましい。
頑なに生きればそれなりの確約された人生があっただろうが、彼自身の性格が『安定』を拒否したのだろう。
振り返れば16年前。当時小学生だった2人の子供も立派な社会人となっている頃合いだ。
となると、本人は定年を迎えたか、間近に控えた年齢となる。
時間の流れは速いね。
オヤジギャグは未だ健在なのかな? …健在そうだ…。

そういえば、中国に滞在中の江藤さんが日本の凄さを感じた一つが『コンセント』との事とか。
部屋を掃除する時、掃除機を使う事になる訳だが、中国国内のコンセントプラグは『動き』にめっぽう弱いらしく、掃除機を移動する度にスポスポと線が抜けるのが当たり前だとか。俗に日本で言う『線を挿し込む』は、中国では『線を置き入れる』みたいな感じらしく、固定感がまるで無いらしい。そのため、前進移動は出来たものではなく、右だろうが左だろうが、移動する度にけっこうな割合で抜け落ちてしまうらしい。

『技術』

とは、一個体の内部だけの話ではなくて、外部からの連携を維持し続ける事で、

『目的をムラなく完成させられる事が技術なんだなって思った』

という、些細なところに関心の目を向けていた彼の声が今なお印象深い。

先進国と表現される日本国内の当たり前には、案外、諸外国の不思議が多く存在するのかも知れない。




あ〜、眠れなかった。
タイトルって100文字までだったのね。省略した。

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