徳島市内にある事務所のメンバーには、中毒のうわさがある人間が二人いる。
まず、うちの支店長。
「カフェイン中毒」ってくらい、コーヒー飲み倒してる。
事務所にはダイオーズのコーヒーメーカーが置いてあり、
結構美味いので毎朝淹れて飲んでいる。
俺もコーヒー好きだが、それでも1日1杯程度だ。
月ごとに何杯淹れたかを機械で集計して、表示しているので、
何気なくカウンターを見てみると…
「153杯」
……!?
今月、まだ9日しか経ってないぞ?
1日平均17杯もコーヒー飲んでんのか?
俺が1、同僚が1もしくは2、先輩が1、事務の子1人が2、もう1人の子は飲まん、
来客時に出すとしても2か3…
って事は…残りの9ないし10杯は…
そういや、支店長のデスクの傍ら、いつもコーヒーあるし、
暇があればメーカーの近くにいるもんな…
しかし、1日10杯は飲みすぎだろ(苦笑)
カフェイン摂りすぎると、胃が荒れたり肌荒れたりするし、
睡眠障害とか合併症も多いんだが…
ま、肌荒れはどうでもいいか。
ある朝、俺がいつものようにコーヒー飲んでると、支店長が、
「お、コーヒーはブラックか?」
「です。砂糖やミルク入れません。」と俺。
「うん、コーヒーの飲み方わかってるな…」
…そうですか。
コーヒーをブラック無糖で飲むの、実は日本だけなんですがね。
コーヒーの本場じゃ、ブラックは非常識らしいですよ。
あまり言わないほうがいいかと…
そしてもう1人。徳島営業所の先輩。
何中毒だっていうと、「激辛中毒」
判明したのは、仕事上がって車で帰る際、もう遅いんで飯食って帰ろうと
2人でココイチに寄った時だ。
俺はチキンカレーを、先輩はチキンカツカレーを頼む。
俺も辛いのが好きなのでルーを3辛で注文したのだが…
「それとってもらっていい?」と先輩、辛さ調整用の激辛スパイスの缶を指さす。
先輩も3辛だったよな…
「さてと…」先輩、激辛スパイスを1振り、2振り、3振り4振り5振り…
ソースのまわしかけの如く大量に振りかけたじゃねえか!!
「ちょ、ちょっ…」目を見開く俺。辛すぎだろ…
「ん?まだこれくらいちゃうよ。」そう言って先輩、スパイスだらけのルーを混ぜる。
混ざったところで、さらに激辛スパイスをかけ始める。
もう完全に見ている俺の目は「マジかこいつ…」状態。
どう考えても辛い通り越してんだろ…
チキンカツカレー3辛+激辛スパイス回しかけ2周半を平然と食う先輩。
本気で無礼だが、頭のネジぶっ飛んでんじゃねえかって、思った。
いや、どう考えても辛いだろうよ。
怖いもの見たさで、少しもらって食ってみたら…
「…◎$♪×△¥●&?#$!!!!」
辛味なんて言うもんじゃない。普通に口の内外が針でぶっ刺されたような激痛。
最初こそカレーの味するけど、その味覚が麻痺するくらい痛い。
頭抱えて咳込み、氷を含んで耐える俺。
(とんでもなく辛い物食った時、水飲むよりこっちの方が楽になる)
当人曰く、この2周半かけるのが限界らしい。
これ以上かけると、辛すぎてカレーの味がしなくなるそうだ。
…なんちゅう恐ろしい実験をやってんだあんたは(苦笑)
何でも、姫路の名物からから鍋の店、赤からが徳島に何軒かあるので、
支店長と一緒に行った時に、先輩は何も知らない支店長の前で辛さ最強で注文して、
(1辛でも結構な辛さ。3辛以上は辛さ得意でもきつくなってくる。最強は10辛)
支店長に殺す気かとキレられた思い出があるらしい。
先輩の嫁もその辛いものに興味をもって食い、悲鳴を上げる事が1度や2度では無いそうな…
ひどい目にあって、やっと落ち着いたが…
我を忘れて咳込んだせいで、ワイシャツに…シミ…ッ…!!!!
俺…へこむ…ッ!!
失意のどん底の俺とは対照的に、とんでもないカレーを平然と食う先輩。
食い終えて車に乗ると、「なんか唇が痛いな…」とポツリ。
痛いだろうなぁ…あんな辛いの食った後じゃ…てか、その程度で済んでるのが凄いというか…
あ、3辛のチキンカレーは普通に美味かったよ。
「こんど、からから鍋食おうぜ。もちろん10辛な。」と笑顔で言う先輩。
その笑顔に邪気はないんだが…
この先輩と飯食ったら、とんでもなく辛い物ばっかり食うはめになるんじゃ…
考えただけで、冷や汗が止まらなかった。
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