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2018年07月05日11:54

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大家さんと僕

7月5日(木)曇り
我が実家は、住宅街にある。
6m道路を挟み左右10軒ほど並んでおり、そのほとんどが高齢者だ。
今年79歳になった母だが、上には上がおり、90代80代の方達がゴロゴロ元気に暮らしておられる。
もともと根が世話焼きさんの母は、頼り頼られ、楽しく暮らしている。
毎日遊びに来る一人暮らしのおばちゃん(85才)には夕飯のおかずをおすそ分けし、
シングルマザーで一人娘を育て上げ、今なお働くワタクシと同世代のKさんには、夕ご飯食べにおいでと誘い、
引きこもりで、誰とも喋らなかった近所の男の子に根気よく話しかけて仲良くなり、今ではその子が母のことを気遣ってくれるほどだ。
アル中気味で、近所の鼻摘まみっぽいおぢちゃんとも分け隔てなく付き合っては、家庭菜園のきゅうりの出来栄えを競争しあっている。

そんな母が、そろそろ自信がなくなったと運転免許証を返納し車も処分した。
スーパーは近くにあるし、バス停も近い。
しかし、かかりつけの病院が、歩くには少し遠い。
タクシーを呼べばいいのだが、少し歩けばタクシー屋さんがあるので行ってみたら、みんな出払っていた。
どうしようかなあと思いつつ一旦帰宅したら、ちょうどT君のママがいた。
例の引きこもりだった子のママだ。
事情を話すと、車を出すよと言ってくれ、さらには診察が終わって会計を済まして帰る時まで一緒にいて、また連れて帰ってくれたと言う。
ありがたい話だと思いつつ、ワタクシは思わず「ちゃんとタクシーを呼びなよ!人に迷惑かけないで!」と声を荒げて母を責めてしまった。
そして、わたしゃ絶対ここには住めないわと心の中で思う。
こんな濃い人間関係の中で暮らすなんて、息が詰まる。

ずいぶん前に図書館に予約してた矢部太郎著『大家さんと僕』の順番がやっと回ってきた。
早速読む。
すんごい面白い。
先日、「手塚治虫賞受賞のコメント」を読んで、じんわりしたばかりだ。
テレビで見るお笑いコンビ、カラテカの痩せた方、矢部氏・・・
 今、ここまで書きながら少し調べてから書こうと検索して驚いた。
 矢部氏の体重39キロって!!!
 さらには、痩せてない方の入江氏は48キロ。
 お二人とも身長は158センチでワタクシよりだいぶ高いのに、体重はお二人ともワタクシより少ない。
と、軽く衝撃を受けつつ、話を『大家さんと僕』に戻しましょう。
上品な大家さん(87歳)と矢部氏の、面白くて、時々少し切ない話の数々。
切ないというのは、大家さんの年齢的な事に寄るものと、矢部氏の本業の話に寄るものとがあり、笑っていいのかしんみりしていいのか読むワタクシを悩ます。
初め、大家さんからのお茶のお誘いやら、洗濯物を取り入れてくれたりとかの距離感に戸惑う矢部氏。
でも、じわじわと仲良くなっていく。
世間から隔絶されている年寄りが多い中、この大家さんはおっとりと、でも確実に矢部氏をとりこにしていく。
庭の草取り要員として連れてきたチャラ男野口君(このキャラがまた素晴らしい)が「大家さん大家さん!」と可愛く懐く様も微笑ましく、
矢部氏が「僕の大家さんなのに」と軽く嫉妬するあたり、じんわりする。
そしてまた矢部氏も、大家さんから頼られる存在になっていく。
大家さんのお部屋でお茶を飲み、伊勢丹でお食事し、お散歩し、強風で飛ばされそうな時には手をつなぎ(39キロの矢部氏ではあまり役に立たなかったようだが)
二人で旅行(それも鹿児島!!!)も行った。
二人ともなんと魅力的な人間なのであろうか。
年齢差も、金銭的な差も、性差も関係ないつながり。

夫の定年まであと二年となり、そろそろ鹿児島に帰った時のことを真剣に考えなければならない時期になった。
家探しを始めたのが、ワタクシの第一条件が、隣近所との距離感。
ムツゴロウさん的な暮らしをしたいということもあり(犬猫やら羊かヤギ等を飼いたい)
近所迷惑にならないところという思いもあるが、もっといえばご近所付き合いの煩わしさから逃れたいという気持ちの方が大きいのだ。
じゃあ山の中に住め!と言われると、それは少し怖いし、もし夫が先に亡くなって一人暮らしになったら心細いから
少し離れたところに人の気配は欲しいという勝手な思いがある。
結局のところ、自分が困った時には人に頼りたいということだ。
勝手すぎる。
世捨て人になる覚悟がないんだったらもう少しだけ「おつきあい」ということを大事にしなきゃいけないなあとか、
面白いことを欲する気持ちがあるなら、もう少しだけ「人」と喋ったりして距離感を縮める努力も必要だよなあとか考える隠遁生活五日目の朝。
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