…ふと我に返る。
机の前に座って、パソコンの画面をのぞき込むだけの毎日。
人によっては、何か絵をかいたり文を作成したり、音楽を生み出しているだろうか。
ウェブ上の情報を、もくもくとチェックする日々。
はたから見れば、座ってるだけの状態が毎日続く。成長も何も分からない。
長い人生で、何かを生み出す事って、どれぐらいの事だろう?
誰かが作ってくれたコンテンツを消化して、今日も明日も楽しめば良いじゃないか。
スマホを握りしめていれば、バッテリーと通信量の続く限り、延々と。
時間をつぶし続ければ、また夜が来て、布団に入り込む時間だ。
おはよう。よく眠れたかな?今日の新着は何だろう。
誰かが作り出している『騒がしさ』を画面越しに眺めて、時間が過ぎていく。
ずっとこうして生きていれば、楽なのだろうか。
流れるプールみたいに、誰かが何かを運んでくれるのを受け身で待っている。
遠い未来を考えたって、明日の事すら分からないのだから、考えても無駄だ。
いつか電源が落ちるみたいに、人生のシャットダウンまで通信し続けよう。
その人の価値なんて、インターネット履歴だけが残ってるに過ぎない。
死んでしまったら、誰かがしばらく履歴を探ってくれるだろうか。
きっと誰も自分になんか興味が無くなって、亡くなってる事にすら気付かない。
ときどき、チャットするように、つぶやきを残す。
まだ生きてるんだよ。知ってる?誰かに来訪して確認して欲しいのだろう。
もうずっと更新されないままの、あの人は、死んだも同然だ。
寝る時間なのに、眠くならない。耳鳴りが聞こえる。静かなのに音は消えない。
昔の事ばかり考えてしまう。どちらかと言えば悪い想い出がでてくる。
明日も机の前で、マウスに触れながら情報を見ているだけ。
もう何年、繰り返している?これから先も、何年繰り返されるだろう。
時々は外に出て、息継ぎをしているのだけれど。新しいものは見当たらない。
常に泳ぎ続けるマグロみたいに、新着の世界にしか生きられないのだ。
深く潜るか、浅く泳ぐか。仲間を探すようにネットを移動する。
たまに見つかる面白い場所が、休憩地点。しばらく留まって眺める。
ブックマークしてみたり、ツイートしてみたり。楽園を共有化しようとする。
きっと誰かが作ってくれる楽園。
自分の好きなもので埋め尽くされている楽園。
ハードディスク一杯になるまで、集めた楽園。
人の生きた証なんて、きっと履歴にしか残らない。理解されないものばかり。
誰とも繋がっているようで、誰とも繋がっていないパーソナリティ。
この面白さ、分かるかな?
いや、きっとコンテンツじゃなく、その人『個人』の言葉が聞きたくて
いつもの縄張りを周回して求め続ける。今日はどんなものを見つけたのさ。
夢の中のたゆたう感覚に近い、眠りと覚醒の繰り返し。
こんな事を誰も書いてくれない。言葉にならないイメージの連鎖反応。
日本語が繋がっているかすら怪しい、ぼんやりとした文面を
画面を見ながら視線だけはどこか遠くを見つめている。
こんな情報は、どこに行ったら見つかるだろうか。
他人のエッセイは、つまらない物ばかりという可能性もある。
もうそろそろ寝たほうが良いのだろう。きっと答えなんて堂々巡り。
成長の観測すらままならないまま、明日も画面の前で待っている。
誰かの作り出す、楽園を夢見て。おやすみなさい。。。
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