不妊手術強制、初の国提訴へ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=4886589
さて、この法律1996年まであったと言う事ですが、正直な話、この記事見るまで私はこんな法律が社会福祉の名目で96年まであった事を知りませんでした。
ですが、ちょっと興味があったので、多少ながら調べてみました。
社会福祉を始め、法制度と言うのは現代の価値観だけで測ってはいけないものですからね。
この法律の目的は、
「この法律は、母體の生命健康を保護し、且つ、不良なる孫の出産を妨ぎ、以て文化國家建設に寄與することを目的とする」と言う制度のようです。（当時、本法案を提出した加藤シヅエ議員の議事録から引用）
要するに
・母体保護
・重度の障害児の出産を防ぐ
という目的ですね。
この法律を推進したのは、医者出身の議員達のようです。
国会議事録検索システムを利用して調べた人がいたようですので、そこをちょっと参考にさせていただきました。
議会重要発言��1947年12月1日、加藤シヅエの法案趣旨説明
http://blog.livedoor.jp/observer4rights/archives/766999.html
そして、この法案を出したのは日本社会党（旧社会党。現社民党、民進党、立憲民主党、希望の党）ですね。
……もしこれが自民党から提出されていたものだったらマズゴミは大騒ぎしてたと思うんですけど。
さて、これらを踏まえた上で私の考えを纏めてみます。
【現代の感覚で言えば許されなくても。当時はこういう制度が必要だったのだろう】
現代人の感覚で言えば、「あなたは重度の障害者だから、子供産んでも育てられないでしょ？奇形児生まれたらどうするの？だから不妊手術しますね」なんてのは言語道断だし、絶対に許されない。
ただ、戦後すぐの話で言えば、それもやむなしだったのでしょう。
社会福祉は税金を財源とするため、限界がありますから。
戦後直後の日本は女性の自己決定権が乏しく、例えレイプ被害であっても産まないといけないなんてこともあったでしょう。
まあこれが健常者の女性だったら中絶も出来たかもしれない。
しかし、重度の障害者だったら相手が誰かも分からないなんて事も考えられますよね。
当時の日本と比べてどっちがマシかは分かりませんが、例えばインドなどの低カーストの人や絶対貧困者なんかには、普通に『奇形児』が存在する。
中には、一つの身体に二つの頭、三つの腕、心臓は一つ、意識も二人分とか言う本気で意味不明な奇形児も（双頭児とかで検索すれば画像が出てくる。グロいので耐性無い人は注意）
他にも、当時は『産めよ増やせよ』の政策の名残もあり、ベビーブームなどもあり、本来産んで育てるに適さない環境でも産まねばならないという事があり、当時の女性達が苦しんでいたと言うのも背景にある模様（同じく加藤シヅエ議員の主張から）
これらの事を鑑みると、いかに冷血そうに見える制度でも、当時は母体を守るため、不幸な人を生み出さないために必要だったと言う事は推察がつく。
【ナチス・ドイツを引き合いに出しているけど、これはナチスだけでなく、欧米諸国では普通に行われていた】
ナチスだけじゃなかった！「欧米の優生学の記録写真」が公開、遺伝子抹消の過去が明るみに
https://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201707_post_13719.html?_p=2
アメリカ、イギリス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドあたりは普通にやっていた模様。
そもそも、戦後の法律なら、ナチス・ドイツの法律を参考に作るわけがないと思われる。
なので、ナチスが云々、や差別が云々と言うのは論点にそぐわない。
【法の不遡及の原則に照らし合わせて、原告の主張が通る可能性は低いと思われる】
法の不遡及と言う原則があります。
「当時は適法だったものを、後から違法になったから、当時に遡って処分しますと言う事は出来ない」と言う事です。
実はコレ、考えてみれば当たり前のことなんです。
例えば、明日から法律で煙草の所持も喫煙も禁止されたとしましょう。
で、「あなた（法律制定前に）煙草吸ってたでしょ？だから逮捕します」なんて出来たらおかしいですよね。
あるいは、戦前の日本は普通に徴兵制があったけど、徴兵制は日本国憲法（戦後の憲法）では違憲だから国家賠償だ！なんて言い出したら、キリがないですよね。
それこそ明治、江戸、戦国時代とどこまで遡るんだって話にｗ
まぁ若干話それましたが、原則としては当時は適法だった社会保障制度に基づき不妊治療を施された原告が訴えたとしても、原告の主張が通る可能性は低いのではないかと思われます。
勿論あくまで原則は原則なので、同じような境遇にある人が大勢集まって、国が『これは捨て置けない。救済措置が必要だ』と思うほどに大きな社会問題になれば話は変わってくるかもしれませんが、現状では難しいでしょう。
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