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2017年10月03日23:34

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9月の読書記録

「今月こそはせめて5千頁は読むようにしよう」と思っていたのだけれど、『総説キリスト教』に思いの外てこずった他、職場でも色々あったためか、結局何とか先月よりは読めたという程度に終わってしまった。ナイスも今ひとつだったし…今月こそは…

2017年9月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4730ページ
ナイス数:84ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
ストーリーテラーとしての魅力は感じるのだけれど、どこか息切れ感があるのが否めないというのが正直なところ。妻に去られた中年男。その男に都合よく現れる女性…それが村上だと言われれば、そうなのだけれど「いい加減にしろ!」と突っ込みたくなるのは僕だけか?後、主人公の一人称が基本的に「私」というのも、違和感を覚える。「私」と言える程の成熟度がこの主人公にあるとはどうしても思えないのだ…と何だかんだとくさしながらも、続編を楽しみにしている自分も否定できないが、やはり「もう少し何とか…」という思いが拭えないのである。
読了日:09月30日 著者:村上 春樹
https://bookmeter.com/books/11491802

■帝国大学―近代日本のエリート育成装置 (中公新書)
旧帝大…私大出身者にとっては、憧れと反発心と妬みコンプレックス等複雑な気持ちを抱かせる存在である(笑)。それはともかくとして、欧米諸国に追いつき追い越せというエートスが根底にあったと思われる帝大の歴史は、ある程度既知の事実はあったものの、エリート養成機関の是非について、改めて考えさせられることに。いわば一部特権階級の温床という側面もありつつ、そこから出た人間が様々な場面で日本に貢献したという事実を鑑みるとき、その意味を一概に否定できない。また、今日の学校制度について考える上でのヒントも与えてくれるはず。
読了日:09月29日 著者:天野 郁夫
https://bookmeter.com/books/11561431

■げんきな日本論 (講談社現代新書)
日本の歴史って、要するに緩さの歴史ではないか?ふとそんなことを思わされた。これまで教科書的な歴史として何となし受け入れてきた事実が、実はとても摩訶不思議なものであったという両者の指摘には目から鱗の連続。特に皇室がこれまで存続してきた謎を巡るやりとりは、既知なこともあったが、改めてその不可解さを認識した次第。ただ、天皇が持つ祭司的役割という側面からの考察が抜けていたのが残念だったけど。それから、中国を手本としながらも、そこから良くも悪くも逸脱してしまうという日本のあり方の特異性には、深く考えさせられた。
読了日:09月28日 著者:橋爪 大三郎,大澤 真幸
https://bookmeter.com/books/11182866

■思考術 (河出ブックス)
一読して、「これで思考術なるものが何がしかの進化を遂げるのか?」という疑問がわいたが、概ね興味深く読めたか。個人的には、本書に度々言及される著者の師である見田宗介の存在が改めて気になった。とりわけ見田が問題とする、資本主義の根幹をなす今日的な時間概念についてのくだりは、これからの社会のあり方を考えていくうえでもかなり示唆的では?という気にさせられた。またヴエーバーの節で言及されている予定説の解説は、正直よく理解できなかったものの、それゆえにある種の吸引力を覚えた。このあたりは、自分なりに消化していくか?
読了日:09月25日 著者:大澤 真幸
https://bookmeter.com/books/7780099

■自由のこれから (ベスト新書)
本来、肯定的な意味で使われることが多い「自由」という概念だが、いつのまにか「新自由主義」という言葉と共に、どこかネガティブなイメージを纏うようになってきた…改めてそんなことに気づかされた次第。著者が幾度となく繰り返す科学の発達、そしてそれに対応するべき分人主義という言葉に、若干食傷気味になったが、今後の世界を考えていくうえでかなり示唆的ではあった。とりわけ、SNSを代表とするネット世界が孕む危うさへの指摘は、今更ながらという感はあるものの、やはり看過できないもの。SNSやスマホと共に育った世代の未来は?
読了日:09月22日 著者:平野 啓一郎
https://bookmeter.com/books/11993779

■寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)
十数年前に『特性のない男』を読んでいた時の感覚を思い出した。ガラス細工のように透明で、冷ややかな感じと言えばいいのか?青春期の男子の生態を描いた作品には似つかわしい文体とは思えないのだけれど、逆にいえばそれこそがムージル。二人の不良と苛められっ子の間でタイトル通り混乱し、煩悶する主人公。男子寮にありがちな同性愛の描写は、その乾いた文体がゆえの逆説的な粘着性を感じさせるのがみそ。個人的にはバジーニが迎える顛末がちょっと不満。最後には何か一波乱起こして起こして欲しかったな…と無い物ねだりなことを思ってしまう。
読了日:09月22日 著者:ローベルト ムージル
https://bookmeter.com/books/469560

■傍らにあること: 老いと介護の倫理学 (筑摩選書)
サブタイトルに反して、老いと介護が話のメインではないけれど、概ね興味深く読めた。後、鷲田清一に似ているという印象を受けたが、同じ感想を述べている人がいるのがちょっと嬉しい。自分、生きる、老い、死…全ての人間にとって逃れることのできない問題であるのにもかかわらず、多くの人が正面から向き合うことができずにいるテーマ。それらに究極の答えはないのは、半ば自明なのだけれれど、でもある人達はそのことを問わずにはいられない。最終的に答えは見つからないけど、新たな視点から問題を捉えることができる。それでいいと思う。
読了日:09月21日 著者:池上 哲司
https://bookmeter.com/books/8041063

■考える力がつく本 ―本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門
佐藤優との共著『最強の〜』とかなりかぶるところはあるものの、概ね興味深く読めたか。ただ、本書で考える力がつくとはあまり思えないけど…それはともかくとして、本書で繰り返し述べられる読書礼賛を目にするたびに、まがりなりにも人より本を読んでいるのにもかかわらず、そのメリットを今一つ実感できない自分は何なのだろう?とつい考えてしまう(笑)。後、最終章の企業のトップへのインタビューは、彼らの意外な側面が垣間見えて興味深い。一見ビジネスとは関係無い本からも何かを学ぼうとする姿勢が、凡人との差につながるのかな…と。
読了日:09月18日 著者:池上 彰
https://bookmeter.com/books/11186101

■福沢諭吉の『学問のすゝめ』
福沢って多くの日本人にとって、意外と近くて遠い人なのではないか?ふとそんなことを思わされた。かくいう僕も「一万円札に載っている偉いんだろうけれど、何だかいけすかない人」という域を出ない。本書を読んで、その印象はそう大きくは変わらなかったが、意外な側面が見えてきたのも事実。とりわけ、明治政府に距離を置きながらも、自由民権運動に批判的という微妙な立場が興味深い。一見小狡く立ち回る人なのだが、その実かなりラディカルなのだ。啓蒙という言葉が最早死語になった今でこそ、福沢の思想が意味をもつのでは?という気になった。
読了日:09月18日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/11034888

■橋本治という立ち止まり方 on the street where you live
橋下治が偉いのは、決してそうではないのに、「自分はバカで何も知らない」という立場からものを語るところだな…と改めて思わされた。変に知識を振りかざして、相手の無知をあげつらって悦にいるようなタイプの知識人といわば対極にある。自分が何も知らないという立場に立つから、自然とその語り口は易しくなる。時折回りくどい言い方にもなり、分かりにくかったりもするのだけれど、最終的には不思議に腑に落ちたりする。右にも左にも偏らずに物事の本質をスバリとつく。こういう立場の人の言説はもっと真正面から取り上げられるべきだと思う。
読了日:09月17日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/5561499

■総説キリスト教―はじめての人のためのキリスト教ガイド
「初めての人のためのキリスト教入門書」とあるが、とても一般向けの入門書とは言えないのでは?というのが正直なところ。あまりに専門用語や抽象的な話が多すぎるし、あまり一般的ではない言葉への訳注など、訳者の配慮が足りない。また、巻末のブックガイドも、翻訳についての言及がなされていないのは、怠慢の極み。内容そのものは悪くないのだから、一般読者への橋渡しとしての訳者の配慮があまりに足りないのが残念でならない。一般向けというより、神学部1年目の学生むけではないか?できれば、もっと丁寧な新訳がでることを切望する。
読了日:09月15日 著者:アリスター E.マクグラス
https://bookmeter.com/books/596746

■鬱屈精神科医、お祓いを試みる
何となし想像していたものとかなり違っていたが、予想以上の面白さで殆ど一気に読了。著者独特のいじましさ、コンプレックス、妬み、僻みがあたかも自分のことのようにリアルに迫ってくる。それと同時に驚かされたのが、著者の記憶力。一応小説と銘打っているから、多少の脚色は施されているのだろうけれど、それでも遠い過去の思い出が、詳細かつ鮮やかに描かれているのは賞賛に価する。それから個人的にとりわけ痛切に映ったのは、著者の母親に対する屈折した思い。それを還暦過ぎても抱え、なおかつ一つの作品として昇華させた著者に一票?
読了日:09月13日 著者:春日 武彦
https://bookmeter.com/books/12105804

■だめだし日本語論 (atプラス叢書17)
これまで当たり前のものと思っていた日本語が、実は全然そうではなかったということに気づかされること請け合い。後、国語の教科書に掲載された古文が実は原文そのままではなかったということに面食らう人も少なくないに違いない。恐らく世界的に見ても、ややこしくて面倒臭い日本語。でもそういう言語だからこその魅力があるということが如実に伝わってくる。ただ、問題なのは、本書がいわゆる国文学プロパーによるものではないということ。全ての国文学者は本書を読んで猛省すべし。国語教育に携わる人必読必携であるということはいうまでもない。
読了日:09月12日 著者:橋本治,橋爪大三郎
https://bookmeter.com/books/11939874

■重力と恩寵 (岩波文庫)
長らく田辺保訳で親しんできたものを新訳にて再読。他の冨原訳はわりに好きなのだけれど、本書に関しては、どうもすっきり入っていけず。初めて田辺訳で読んだときの衝撃にはとうてい及ばなかったというのが正直なところ。もちろん、冨原訳に欠陥があるわけではないが。ただ、原著にはない習性が多々施されているということで、そこで印象が変わったというのもあるのかもしれない。その一方で、改めてヴェイユの思考の難解さ、崇高さと同時に時として散見される極端な思想に解消し難い違和感も覚えた。まずは、田辺訳並みに繰り返し読んでみるか。
読了日:09月11日 著者:シモーヌ・ヴェイユ
https://bookmeter.com/books/11602819


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