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2016年12月22日21:17

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任天堂の倒し方(失敗編)

 年末最後の大きな買い物。本当は給料日まで待つつもりだったけど、サンタを待ちきれなかったクリスマスボーイ、それがぼく。というわけで一大決心してとうとう買ってしまいましたよ、「ゲーム・コム」! ソフトもろもろ込みで約3万円、山田孝之がTVでPS4買え買えと言っているこのご時世に、僕は過去に生きるんだっ!

●本体中古 Game.com(ゲーム・コム) 18800円
●新品ソフト ファイターズメガミックス  1980円
●新品ソフト モータルコンバット トリロジー 2980円
●新品ソフト ウィリアム:アーケードクラシックス 2980円
●新品ソフト バイオハザード2 2580円

【What is ゲームコム?】

・てっとり早く知りたい方はこちら
「AVGNが『TIGER社』のゲームを遊ぶ(EP113)」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21795602

 Tiger社とは昔国内でもさんざんぱら見た「ゲームウォッチでもない、版権モノを片っ端からLSIゲーム化」したおもちゃ会社らしく、とにかく山のようにあらゆる人気ゲームやアニメにドラマといったものをLSIゲームにして販売していた。

 んで、そんなTiger社が開発したのが自社初のカートリッジ式携帯ゲーム機「ゲーム・コム」である。時は1997年、日本だとゲームボーイがポケモンでどうにか息を吹き返し、テリーのワンダーランドとかメダロットとかで細々と盛り上がってた頃ですね。

 で、動画の後半で登場する「R-zone」(バーチャルボーイのパクリ)を見るに、どうもTiger社は当時でも市場をほぼ独占(リンクスやゲームギアはもう負けてたし、他に携帯ハード無かったかと)してたであろう任天堂ハードを打倒すべく、ゲームコムはその第1の刺客となったわけだが、アメリカのとあるサイトで「最も売れなかったゲームハードワースト5」にランクインしたように、全くもって売れなかったらしい。

 と、ここまでは誰もありがたがらない悲運のハードだが、僕が一気に関心を寄せられたのはそのラインナップだ。実は穴屋を知った当初からハードカテゴリーはあったのだが、そこに並ぶのは「ファイターズメガミックス」やら「バイオハザード2」やら「ソニックジャム」といった妙なビッグタイトルたち。「なぜここに日本人が」ならぬ「なぜこんな見ず知らずのハードに人気和ゲー」が、しかも全部新品で割とリーズナブルな値段で揃っている。なぜだ!? 海外のレトロゲームなんて格好のぼったくり商材じゃないか!

 と、軽くe-bayとか見てみたら出るわ出るわゲームコムのたたき売りゲームたち。しかも「ゲームコム版バイオ2(新品)5本セット」だの「ゲームコム版バイオ2(新品)10本セット」だの、まるで一山いくらのじゃがいもレベルで放出されるバイオ2。そんなに売れなかったの!?

 そんなこんなでよくわかんない神秘のベールに包まれたゲームコム、とうとう中古本体が入荷したとき、これはもう運命だと思い、その正体に迫るべく大枚をはたいた次第であった。


【ゲームコムの実力】

 本体は意外とスマートなつくりで、ゲームギアほどでかくもないしゲームギアほど重くもない(でもでかくて重いゲームギアも好き)。タッチペン搭載で4ボタン、また十字キーが斜めに入れ込めたりしてキーレスポンスは悪くない。ちなみに単三4本で動くが、電池フタがアーム付きで紛失の心配がないのは、ゲームボーイより遥かにユーザーライク。

 また(なぜか)カートリッジスロットが2つあり、拡張性はさておき常時2つのゲームを携行し、選択してプレイできる。「本体起動中でもカートリッジの抜き差しができる」という点においては、最近の3DSやVitaでようやく標準搭載された機能なので、地味に先進性がある。ちなみにカートリッジはコンパクトながらもちゃんと背表紙ラベルがあるので、なんのソフトが挿入されてるかチェックできるなどベリーベリー親切。

 また、ソフトを入れずとも標準で5つのソフトが入っており、「電卓」「カレンダー」「電話帳」「ハイスコア」「ソリティア」と、まるでネオジオポケットを思わせるようなゴージャスさ。ちなみにハイスコアは文字通りプレイしたゲームのハイスコアが記録されるもので、バイオ2なんかはクリアタイムが記録できるなど割とガチ仕様。

 そして一番驚いたのは、全ソフト共通で使える「メニュー」「サウンド」「ポーズ」ボタンが右下に用意されていること。ポーズやサウンドは文字通り一時停止やミュート機能なのだが、メニューはどんなソフトでも一発でタイトル画面→ホーム画面に戻るという、これまた3DSやVitaでおなじみの機能である。ハードに依存しない簡易リセットやソフト間の移動、これも冗談抜きで高性能。

 あとさすがに環境が残ってないが、別売りのモデムで室内限定のインターネット機能もあったとか。といってもテキストベースで大したものは見れなかっただろうけど、国内のコンシューマーのネット機能って99年のドリキャスが出るまであまり一般的じゃなかっただろうから、地味にすごい。

 と、触れてみて意外というか、結構現行のハードに使われているような革新的な機能が多く、割とマジでゲームボーイに勝負を仕掛けていったんだなあと感慨深くなるが、肝心のゲームというと……。


【これがゲームコムのソフトだ!】


●ライツアウト(本体付属ソフト)

 本体内蔵とかではなく、普通に本体に付属してくるソフト。画面にある黒や白のパネルをタッチすると、周囲4マスのパネルの色が反転するので、全てそろえるというソリティア系ゲーム。スーパーマリオRPGの沈没船でスイッチでやってたアレ。シンプルで面白いんだが、わざわざソフトにしなくても本体内蔵ゲームにできたのでは? という気も。


●ファイターズメガミックス

 原作はバーチャVSバイパーズだったセガオールスター3D格闘ゲームだが、当然3Dは無理なので2Dに。キャラ制限は仕方ないにせよ、メガドラのバーチャ2やゲームギアのバーチャミニよりも大変なことになってる。CGキャラの再現(アーマー破壊もあるよ!)とか視点がぐるぐる変わる背景のリングとか、努力の方向が完全にビジュアル全フリで、あとは大変不便な2D格ゲーをやらされます。「PPP」とか原作の直感的な攻撃はいずこへ……。


●モータルコンバットトリロジー

 みんな大好きモーコン。これは3作目をベースにしたキャラ増加のいわゆるオールスター系格ゲーだが、何を血迷ったかスコーピオン、サブゼロ、リューカン不在。そのくせレインやナイトウルフなどはちゃっかり在籍。これはKOFにたとえると「京・庵・テリーいませんが慎吾とチンゲンサイはいます」レベルの謎の人選であり、普通であれば「アースクェイクでかくて大変、いなくても文句言う人いないだろうからリストラ」という風に、技術やユーザー人気と相談しながら参戦キャラを決めますが、そのくせモタロー(ボス、デカキャラ)はきっちり入れてあるあたりますます謎です。無理せず初代モーコンや2の移植でよかったんじゃ……。

 ゲームは漏れなく操作性が悪く、動きは意外にスピーディーだが技が出ない。さらにBGMがないという有様で個人的にはGB版1以下。ついでに言えば他の無茶移植ゲーと違ってただただ劣化移植なので、マニア的にもそんなにコレクション価値が……。

 ちなみに穴屋さんからご親切に技表のコピーが同封されてて、格ゲーなんだから技表ぐらい……と思ってマニュアル見たら、キャラ紹介簡単な短文だけでコマンドないのな(洋ゲーあるある:ページ数多い割には肝心の説明がスカスカ)。フィニッシュヒム!


●ウィリアムアーケードクラシックス

 アタリ初期の人気アーケードタイトルをまとめたもの。「ロボトロン」「シニスター」「ジャウスト」「ディフェンダー1・2」の系5本で、他のゲームと比べて古典的タイトルなので割とまっとうに移植できてる方。ロボトロンなんか4ボタンで上下左右の直感的な撃ち分けができるのは高評価だが、なんで間違い探しみたいなディフェンダー2まで用意したのかは謎。あとメニュー画面は架空ゲーセンでそれぞれの筐体から選択するオシャレビジュアル。


●バイオハザード2

 ゲームコムの醍醐味、無茶移植の極み。そしてオークションでゴロゴロ新品が見つかることからも生産数が多く、おそらく「市場で最も大コケしたバイオ」と思われる一品。バイオ通でもこれを知っていれば自慢できるが多分気持ち悪がられるぞ。

 ゲームは割と頑張っていて、3Dから2Dになったものの、ラインで手前と奥行きを作り、上下左右の方向でゾンビと対峙する「のびハザ」みたいなゲームシステムに。もっとも、リモコン操作や「銃を構えてから発砲」という初期バイオの操作性まできっちり再現してるせいで、慣れないとすぐ死ぬ。リモコン操作なんて原作がカメラアングル固定のいろんな視点でやるから、苦肉の策で導入した操作なのに……。

 そしてゲームスタートすると同時にゾンビの真横から始まる衝撃の展開。この時さっさと銃を構えて撃ち殺すか、距離を離さないとすぐに捕まって噛まれるのだが、ふりほどきのやり方がマニュアルに書いてない上レバガチャでも反応なしなので、実質オワタ式なのがなんともはや(一回だけふりほどけたが、タイミング良くボタン?)。ゲーム開始後3秒で死亡! これぞスペランカー風バイオ!

 と、いちゃもん付けてはみたが、一応操作は覚えればちゃんと進めるので、少なくとも何がしたいかさっぱりなファイターズメガミックスや、中途半端な移植になったモーコンに比べたら遥かに遊べるデキで、キャラもでかいしゾンビも唸り声上げるしSEも原作に忠実だしと、ちゃんとバイオっぽさを残しつつ、独特のゲームとしてきちんと成立させているところは偉いと思いました。バイオ外伝みたいな謎のコマンドバトルもないし。本体買うならとりあえずバイオだけでも買おう。


【総評】

 いわゆる電子手帳と携帯ゲーム機のどっちつかずみたいな性能で、やればわかりますがグラやプログラムがとにかくいっぱいいっぱい。肝心のゲームが大体ゲームボーイ以下のクオリティだったので、そら売れんわと思いました(パズルとか落ち着いてやるゲームは普通にできるので、ウィザードリィとかRPG用意すればよかったのに)。

 でもバイオは(ハードの性能を考えれば)よく出来ているので、そこだけは褒めてあげてください。

 そして良い子のみなさんはPS4買ってガレッガ遊びましょう。
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