■内田樹「日本人がみんな知っていて、知らないふりをしていること」
(dot. - 12月10日 11:31)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=4335231
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思想家・武道家の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、哲学的視点からアプローチします。
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朴槿恵韓国大統領をめぐる政局の混乱の中で、慰安婦問題についての昨年末の日韓合意の履行が難しくなったという報道を読んだ。これまではオバマ政権が合意を後押ししてきたが、来年1月に発足するトランプ政権は東アジアへの関与を弱めると予測されている。日韓の関係改善のためにアメリカがこれまで果たしてきた役割が弱まれば日韓関係は再び悪化するのではないかという観測が書かれていた。「ああ、そう」とそのまま読み流されそうな記事だったが、私はひっかかった。
昨年末に電撃的に慰安婦問題についての日韓合意が成立したときに、メディアは日韓の外交当局の地道な努力の成果だと書いた。嘘をつけ、と私は思った。日韓の外交当局者がアメリカに呼び出されて「いい加減にしろ。こっちは中東で忙しいんだ。くだらない争いの調停役をさせるんじゃない!」と一喝されて、縮み上がって合意形成に及んだと思っていたからである。アメリカの「鶴の一声」で一件落着しただけで、日韓両政府間には「アメリカ抜き」で自主的にこの問題を解決できるほどの相互理解も信頼感もない。私はそう思ったし、記者たちもそう考えていたはずである。でも、彼らはそうは書かなかった。そう書くと日韓はその重要な外交政策について自力で決定することができない国だということを自ら告白することになるからだ。
日本がアメリカの属国であることを日本人はみんな知っている。知っているが、知らないふりをしているだけである。その現実を現実として直視したら、ではその現実とどう立ち向かうか、どうやって属国の地位を脱して国家主権を奪還するかについて本気で考えなければならなくなるからだ。残念ながら、そんなスケールの問題について考えることのできる人間は今の日本の指導層の中にはいない。だから、そんな問題は存在しない、日本は主権国家だという「ファンタジー」の中で夢見ることを人々は選んだ。日本が属国であるのはたかだか彼我の物理的実力の差の結果に過ぎない。国民的努力を結集すればいつか主権は奪還可能だと私は思う。けれども、属国であるという現実を直視しない限り、主権国家になる日は永遠に来ない。(内田樹)
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嫌いじゃないけど、たいしたこともない。その程度か、という感じしかしない。
この人の主張の通り、日本がアメリカの属国であるのか?
当のアメリカ政府だってそんなの認めないだろう。え、あんたらいっぱしの独立国でしょう?独立国として振る舞う事をアメリカから咎めたことは一切ないはずだ。
そう答えるはずだ。
日本政府だって、独立国であって、個々の判断については最終的に日本国として決断したものである。そう答えるに決まっている。
属国というファンタジーの中で生きることほど容易いことはない。このたった一本の補助線を引くことで、それまで見えてこなかったものが見えてくるような気がしてくるからだ。
あらゆる問題が、それで解決するような気がしてくるからだ。それが50年も生きてきた人の今の思考なのだから、ちょっと辛い気がする。暗澹とはこういう気分だ。
当然だが、日本は世界の覇者ではない。この星の独裁者でもなければ、秦の始皇帝のような統一者でもない。
この星に存在する One of Them の国家として存在している。もちろん100年後に消滅していても僕は驚かない。まぁ、たぶん驚けないが。
それは単に人間の世界だけの話でさえない。この星に生きるすべての生命体の中での One of Them に過ぎないのである。
だから、何かをするにしても、自由勝手気ままというわけにいかないのは自明である。お隣さんともお話をして、こうしようと思うが、どう思うか。何か注意すべきところがあった言ってくれ。
いま、ここと係争中であるが、何か手助けしてくれないだろうか。
当然だが、付き合う各国は、日本に対しても、ああしてくれ、こうしてくれと交渉を吹っかけてくるのは当然である。
中には、交渉なんざめんどいとばかりに、ああしろ、こうしろと言ってくる国もあるだろう。
それを聞くから属国というのなら、これほど単純で役に立たない境地もないものだろう。
もし、それを属国と呼ぶなら、ではどういう状態を欲しているのか、聞いてみるのがいい。だれもお願いをしてこない国か?
簡単である国民の半分を殺して、経済的没落すれば、だれも声などかけてこなくなる。人権問題に敏感なNGOが食料支援をしてくれるようになるだろう。
政治的な争いについては、先の大戦もあって、日本は下手な部類であろう。タフな交渉をする外交官はいるが、元来が弱い立場にあるのも間違いない。
まるでアメリカの言う事を聞くだけ聞いているという意見はよく聞くが、日本の外交官だって、そこで終わっているわけではない。貿易がトレードである以上、交渉事も10下がれば、他で10得る交渉をしているのである。
どこを譲って、どこを得るかというのは、複合的で総合的な判断の積み重ねで成立する。なんでもかんでも自由など子供でさえ許されるわけもない。
輸入に頼って国家を運営するというのは、ある点では、脅されまくりなのである。ゆえに、この(下さらない)意見を達成するためには、輸入に頼らない国造り以外はありえないはずであるが、さて、食料はまだなんとかなるとしても、資源がいかんともし難い。
ゆえに交渉事に長けるしかないはずだが、この市民にして、この国家である。相手との関係を属国などと無意味なところで満足できる人に、どのようなネゴシエーションができるというのだろうか。
国家主権とは何か、という定義さえない。バカの頭の中にあるのは、ぜいせいが勝手気ままというイメージであって、それを突き詰めれば、実現するには、世界征服以外の手段がないのは自明ではないか。
国家主権とは最終的には、自国の行動は自国の責任で行う以外のものではない。その決断が地政学的に屈辱であったとしても、それを自ら決断したなら独立といえる。
この人には死んでもわからないことだろうが、仮にこの国が傀儡政権だとしても、国家主権は保たれているのである。実質的にそうではないとしても、公的にはそういうものなのである。
そんなのは許せないというのなら、どうやって傀儡政権から脱するのかを考えてみればいいのである。
アフリカや中東には、いくつものアメリカの傀儡政権は誕生した。そういうのは現地の人も百も承知であったが、それでも状況を劇的に変えるために、手を組んだ、ともいえることである。
ゆえに変えれなかったのなら、それはアメリカのせいではない。その国のせいである。それが誤ったら、旅客機がビルに突っ込む目にあったわけだ。
いずれにしろ、この人の理想論というのは、仮面ライダーのショッカーであるとか、マジンガーZのドクターヘルとか、古いところから始まって、その程度の認識でしか、世界を語れていないのである。
くだらないこの人のファンタジーの中にある、「みんな」には僕を含めないで欲しい。その程度で語られるのはお互いに迷惑であろう?
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