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2016年11月02日20:51

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ゴールデン・ゲーマー論

おれはゴールデン・ゲーマーである。
世に、ヘヴィーゲーマーだのハードコアゲーマーだの、品性に欠ける名称のゲーマーは数多くあれど、これほど美しい響きをもったゲーマーも存在しないだろう。
ヘヴィーもハードコアも自分が凄腕であることを誇示したいがゆえに冠したのであろうが、悲しいかな、ヘヴィーゲーマーという名前からうける印象は「寝食を忘れて四六時中ゲームに没頭してるゴミ人間」というイメージしか人に沸かせないし、ハードコアゲーマーに至っては、ハードコアなゲイバー野郎と勘違いされかねない危うさを孕んでいる。そもそもヘヴィーとかハードという言葉自体、ボクシング的な汗臭さや暑苦しさをにじませてるのが華麗さに乏しくて好きになれない。

その点、「ゴールデンゲーマー」の持つ響きの美しさは格別。
ワイングラスを傾けつつ、重厚なクラシックを聴きながら明治文学を嗜むようなおれのごとき格調高き人間には特に相応しい呼称であろう。黄金遊戯。黄金体験。黄金週間。黄金聖闘士・・・。
まぁゲーマーという呼称自体が本来蔑称みたいなもので、公然と名乗るようなものでもないが、
自分の中の子供の部分が未だゲームに深い思い入れを抱いている点において、人知れず心にそっと留めおくという意味での認識である。隠れゴールデンゲーマーともいう。
シークレット・ゴールデンゲーマーと名乗るのが正確で、そして一番かっこいいかもしれない。

ゴールデン・ゲーマーってなんだよ?っていう問いには、過去に優れた格言があるので、それを引用することにする。「Don't Think. Feel !」 つまり、考えるな、感じるんだ。
それでも理解できない想像力に乏しい無知蒙昧な諸兄に説明すると、ゴールデン・ゲーマーとはゴールデンなゲームを嗜好するゲーマーのことである。
ゴールデンゲームとは、ゴールドゲーム、文字通り黄金のゲームを意味する。こういう説明を並べなければならないこと自体が業腹で苛立たしいうえに、深い哀しみすらおぼえる。
もはやゲーマーを僭称する連中には感傷的な浪漫や美意識が微塵も存在しないといった絶望的な孤独にも似たような置き去りにされた幼子の不安に苛まれるような心持ちを抱かされる。

ゴールドゲームは、ゲームの黄金時代を築いた一群のゲームを差す。
ざっくりいえば、90年代半ばから末期にかけての2Dゲー、SFCならクロノトリガー、FF6、タクティクスオウガなどなど、CP2ならD&D、エリプレといった具合である。
2Dであることが肝要で、同時代のPS・SSのローポリゲー等はゴールドゲームとは呼ばない。
リッジレボリューションやらバーチャ2は確かに名作ではあるし、数字としては黄金時代を築いた時代のゲームかもしらんが、黄金時代のゴールドゲームとは言い難い。なぜなら、あれらは3D黎明期のゲーム、言ってみれば「ポリゴンのファミコン時代」みたいなゲームであるから。
SFCにしろ、CP2にしろ、2Dとして究極的に練りこまれて完成された、いわば終着点のゲーム。
黄金時代にあって、かつ黄金の輝きを放つゲーム。それがゴールドゲーム。わかったか。

そこに『今でも』、強く深い思い入れをもったゲーマーを、ゴールデン・ゲーマーと呼ぶ。
おれは常々、ああいった究極のゲームに対して軽々しく「レゲー」だの「オールドゲー」だのと呼んでる心得違いの小僧どもを苦々しく思ってたし、昔のゲームとはいえ、決して時代に風化したりしない高い完成度をもったゲーム群をレゲーよばわりするのは絶対に違うと思っていた。
オールドゲーム、ではない。ゴールドゲームなのだ。

なんでこんなことを書くかというと、今月号のニンドリ(※ファミマガミニがついてるから買った)で、平林久和さんが「ゲーム解剖学」の中で、ファミコンなどのゲームを「レトロゲーム」とは呼びたくなかったと書かれていたのを読んだから。あっ、おれといっしょだって思った。
「レトロには風変わりな行動というネガティブな意味も含まれる」という、ようするにヘビーゲーマーは社会人不適合者の蔑称という一面を持つみたいなごく一般的な感想を述べられていた。
機能的ではないのに、不具合を知りつつあえて懐古趣味を満たすために古い家電を使うような、特殊な嗜好といった意味合いをレトロゲームの名前は持つと。確かにそれでは、シンプルイズベストを地でいくファミコンゲーの真髄とはズレが生じることになる。ファミコンを古めかしいレトロ、懐古趣味の名前で片付けられてはたまらないという話である。

おれはゴールデン・ゲーマーである。
だからゴールドゲームにはうるさい男だが、いくらオールドゲームの名前が嫌いでも、PS、SSがそうでないように、黎明期のファミコンをゴールドゲームと捉えるわけにはいかなかった。
(※この場合メタルスレイダーも冒険島4もゴールドゲームには含まない。ゴールドゲームと呼ぶには、ハードスペックが低いため。ある程度の戦闘力がないと超サイヤ人になれないのと同じ)

そこに、今回の「ニンテンドークラシックミニ」である。
オールドでもレトロでもなく、クラシック。まさに、我が意を得たり!と膝を打つ思いであった。
クラシックは「古い」に加えて「古典的」の意味を持つ。時代によって衰えない普遍的な価値がある。過去を讃えてその価値を後世に伝えるのがクラシック。懐古趣味とは大きく意味が異なる。
任天堂の言葉選びは本当に絶妙だった。位置付けといい、格調高さといい、そしてファミコンゲームをあらわすのに全く違和感を覚えない点といい、クラシックゲームの名称こそ相応しい。
ファミコンをこよなく愛する紳士諸兄は「レゲーマー」などというクレーマーの親戚みたいな品性劣悪な古めかしい呼称はやめにして、クラシックゲーマーと名乗られるのが宜しかろう。

おれはゴールデン・ゲーマーである。そして、これからはクラシック・ゲーマーでもある。


                         

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