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2016年11月01日19:05

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【日本シリーズ考察】 〜黒田引退ブーストの功と罪〜

シリーズ終了して3日経過も、未だ余韻が抜けてません(笑)

以後も色んな記事等々巡ったりしてるわけですが、
ハム側でありつつも、少しだけカープ側へ視点を移してみたいなと。

といっても、レギュラーシーズンの試合を逐一観ておらず、
おまけに普段見てないセリーグのことなんで、戦力云々という側面では突っ込めないので、
違う視点でここは一つ。

件の黒田投手について。
といっても、これまた彼の力量云々とかの部分ではなく・・
ズバリ、「黒田ブーストがもたらした利益と不利益」について、です。

シリーズ開幕直前に迫り、突如として打ち出された引退表明。
カープファンをはじめ、多くの野球ファンや世間を驚かせ、関心を一気に惹き寄せた・・
という点で、シリーズの雰囲気はもちろん、カープ選手・ファンの士気を高め、
「黒田のために是が非でも日本一を!」というモチベーションの強力な材料であったことは
言うまでもないことと思います。

その一方で、その強力なモチベーションは本当に効果的に発揮されたのだろうか・・
ということを冷静に考察していくと、必ずしもそうではなかったのではないか、
という気がするのは、結果論として敗退したから言える部分と、そうではない部分がある、と。

分けて観る必要があるのは、「外的部分」と「内的部分」。

「外的部分」とは、上記のように盛り上がりとかムードとか、士気とか、
あるいはチケット争奪戦にまで至るような、実質的な戦い方や戦力面以外の部分。
これはほぼ・・いや、完全に利益・・メリットとして機能したであろうことは、
誰しもが感じたであろうし、特段の異論を挟む余地はないでしょう。

他方の「内的部分」。
これは現場選手、首脳陣らによる士気・結束力、そして目標という点では非常に明確で、
且つ世間やファン等による後押しも自然と加わるので、最大限利用出来る「価値」が
非常にあったと思います。

しかし、実際は巧く機能化しなかった・・価値を利用することに失敗した、と観ています。
端的にいうと、『黒田ブーストの重圧に、カープ自らが負けてしまった』、と。

●象徴的な二つの要素

一つは「登板日」。
チーム事情にあるローテーション・状態もあると思うので一概には言えないでしょうし、
結果論でもありましょうが、ハム側の視点として鑑みると第2戦、アウェイで彼に立たれた方が、
ボディブローは彼の力量以上に効いた気がしてならないのです。
当然そこには圧倒的な数のカープファンに拠るボルテージも加わってのこと。

第2戦で黒田に負けた方が、ハムとしてはその後ホームに帰っても
引きずる要素があったのではないか・・という気がどこかにあります。
あるいはどうにか勝てたとしても、ホームで野村が待ち受ける方がプレッシャーはあった・・。

個人的な感覚ですが、黒田は凄いけれど、スタミナ面等々を考えても、
野村よりもどこかで打ち崩せるチャンスはあったと思うし、札ドの雰囲気を借りれば
黒田であっても少ないチャンスはより優位に働くだろうと。
寧ろ、広島球場の雰囲気で少ないチャンスさえも覆われてしまう方が、
ハムにとっては痛手だったろうと思うのです。

結果論ではありますが、札ドで黒田は足を痙り降板した。
あそこで光明が指して来たのは間違いなくありましたね。
ましてや札ドでの雰囲気が後押しすると考えれば尚更。
あれが広島球場だったら、それでも尚光明にまでは至らなかった・・

もう一つは、同じく第3戦の8回、「中田翔による逆転タイムリー」。
レフト松山がライナーを後逸してしまった場面。
一般的に云われるのは、1点リードを守るべく守備固めを敷く・・
即ち「赤松」に交代させられなかったことが指摘されてますが・・。

確かにそれは妥当な所だと思います。
他方・・正確な所は掴みきれませんが、あの後逸は単なる判断ミスというより、
何か「硬直させた要因」が背景にあったように映ったのです。

とどのつまり『黒田に勝ちをつけさせねばならない』という重圧が、あのようなエラーを招いたと。
普通であれば「同点止まり」で抑えるシングルヒット処理がセオリーなはず。
しかし、「何が何でも黒田を勝ち投手に・・」が結果的にあのような無理な守備を
招いてしまったのではないか、と。

「黒田ブーストの気負いと重圧」。それが冷静な守備を阻害した・・。
短期決戦でのチームに拠る確実な1勝より、無意識の所で
「黒田の勝ち投手(または負け投手阻止)」の方を優先してしまった・・。

●引退表明における設定時期の失敗

黒田のようなチームの顔による引退、またはそれに類する事象をモチベに利用することは
過去にもありますし、それ自体を“有効活用”することも一つの立派な手法。
ただ、闇雲に利用したからと言って必ずしも成功するとは限らない。
そこには緻密な計算が無くてはならない・・。

ハム目線として思い出し、対比しました。
北海道へ移転後、06年に初優勝を果たした時・・。
あの新庄が引退を表明、そのラストイヤーに日本一を果たし、物語を完成させました。

しかし、その表明はシーズンも序盤。当時「何故こんな時期にわざわざ引退の表明を?」と
あれこれと物議を醸し出したほど、地元も世間も揺れました。
ですが、彼には(球団も)算段があったと云われています。

まだ当時は今ほど球団人気や動員力はついておらず、道半ばでもあった。
本来なら快進撃・・即ちリーグ優勝や日本一を果たした上でより一層人気度を上げていく・・
それが考えられる妥当なシナリオですが、それを果たすにはペナントシーズンの序盤から
機運を盛り上げ続けていかねばならないわけで、その点で早くからあえて仕掛けた。

重要な動員力も定着していないからこそ、早くに引退を活用しつつ、
後押しするべく観客の動員を上げていった・・

事実として、何としても“功労者”新庄を有終の美で花道を、のスローガンが徐々に形成され、
チームの士気も成績も上がっていき、移転後に拠る悲願の初優勝と、新庄に対する
最高の花道を飾ることに成功した。

その後の2013年。
稲葉と金子誠・現コーチという、これまた長きに渡るチームの顔が、
いっぺんに二人も引退することとなりました。新庄と比べるとさすがに時期はずっと後ですが、
それでもペナントシーズンの後半である9月の表明。

チームは優勝こそ届かなかったものの、CS出場権の3位を確保。
「二人の先輩と一試合でも長くやりたい」という選手側の“自発的な”目標が打ち出され、
ファンや地元がそれに引っ張られ、倣う格好になり、何としても下克上を・・になっていった。

あと一歩で日シリの道が閉ざされましたが、結果的にファイナル最終戦までもつれ込み、
「引退ブースト」はこの時も効果的に発揮されたことを、ファンや地元は誰しもが認める形に。

このように、ハムに依る二つの例と広島の黒田と比較して明確に異なるのは、

・表明の時期とモチベに変える(充分に煮詰まる)「準備の時間的な不足」。
・チーム内よりも世間やファンが先に(または同時に)ブーストを期待、
 結果として選手にプレッシャーを掛ける格好になってしまったこと(重圧となってしまった)。

という感じが強くありますね。

表明の時期は選手のあらゆる事情も考えられますから、
どんな場合でも早めに可能であるかは難しいものでもありましょう。
が、親しい身内は勿論、球団首脳には早々に打ち明けているであろうことを考えると、
球団の戦略として、したたかで緻密な戦略性を持ってしていれば、黒田の場合
少なくともCS前に打ち出すことは可能であった・・

CS前であれば、一層の盛り上がりとして継続化されたでしょうし、
それがそこそこ機能化し始めていれば、日シリでは更に追い風となることが出来た・・
即ち、最後の頂上決戦前に「予行演習」しておくことが可能だった。

とりわけカープは今年早い時期にリーグ優勝が決まっており、
ベストな時期に表明を打ち出し、有効活用出来る余地は充分あったわけですから、
「黒田ブーストを強固なものにする時間的余裕をフイにした・・」と思えてなりません。

その点で、黒田本人ではなく球団に依る多角的な戦略の失敗と、
それに伴い選手(またはベンチ首脳陣)における過剰な重圧が掛かる結果になった・・と。

結局、選手達以上にファンや世間が「黒田のためには絶対負けちゃ駄目だ」という
暗黙の重圧=「至上命令」が急激に掛かることになってしまった、と。

この度のシリーズは、監督采配の差にある「動と静」のような論評が多くありますし、
事実それは大いに言えると思います。
その一方で、実はその他の要素・・球団自体による多角的戦略・・
即ち球団に依る「早仕掛け」の部分にも、戦略的失敗があったと観ています。

もしも早くから黒田引退ブーストを掛けられ、世間にも広島の地域・ファンにも
空気が充分に蔓延仕切っていれば、ハム側はもっとやり難くかったであろうし、
空気に押し切られていた可能性も一定程度あった。

しかし結果的に、それが充分には至ってなかったことが、
付け入るスキを見出すことに成功し、跳ね返すことがハムには出来た・・
選手戦力やベンチワークの他にも、負ける要素があったように思えます。

ハムファン側の立場をあえて外れ客観視点に立つならば、
黒田の力がリーグ優勝に果たした部分は大きかったと思えるだけに、
ある種“勿体無い”格好になったなあと思う所ですね・・。


黒田「試合に負けた方が大きい」2度目先発なく引退
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=4267313
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