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2016年10月27日14:24

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川淵三郎が10年間分裂していたバスケット協会をどうやって統一できたか?

日本のバスケットは10年にわたり、リーグが分裂していて、国際バスケットボール連盟(FIBA)から、オリンピック予選を含む国際試合を禁止される制裁を課せられてしまう事態になりました。そこで、Jリーグをかつて立ち上げ、日本サッカー協会の会長をつとめた川淵三郎氏に、この難題が依頼されます。

かなり困難な状況のなか、川淵氏のリーダーシップで、リーグの統一を果たし、制裁を解除できました。そして、リオ五輪では、女子バスケット日本代表が大活躍して、強豪を倒し、メダルにもう1歩のところまで行きました。さらに、今年9月に、日本のバスケットのプロリーグである「B リーグ」が、開幕に漕ぎ着けることができました。

その経緯を中心にした川淵三郎の本が出たので、早速読んでみました。

バスケットボール 「独裁力 私欲のない独裁者、それがリーダーの条件だ」川淵三郎(幻冬舎新書)

これは、組織として機能していなかったバスケット協会の問題点を明確にしています。大企業の実業団主体の日本リーグ(JBA)と、赤字を抱えるプロリーグ(bjリーグ)の長年の対立、日本代表強化への低い関心、旧態依然とした競技団体と無責任な運営、ガバナンスの欠如、、、問題山積の中で、どうやって、短時間で!リーグを統一して、あらたな組織をスタートできたか、それがこの新書で語られています。

今回のバスケット協会の話を軸に、J リーグや日本サッカー協会での経験が加わって、リーダーシップ論となっています。さらに、かつて東京オリンピックに選手として出場したときに、招聘されたドイツ人コーチ、クラーマーさんから学んだことなども、語られていて、印象に残りました。

「理念なきクラブに存在意義はない!」として、最初にチームは理念を持つべきと主張しています。そして、「成功の鍵は地域密着にある」としています。

10年前にドイツワールドカップがあり、ちょうどデュッセルドルフに川淵氏たち日本サッカー協会幹部がいらして、お話を伺う機会がありました。その時、ドイツのブンデスリーガを手本にして、J リーグを立ち上げることにしたと語っていたのを思い出しました。それは、若いときにドイツに来て、各都市にサッカークラブがあって、それが街のシンボルとなり、誇りにもなっていて、とても驚いたことなど、自身の経験を語っていました。今回は、J リーグを手本に、B リーグを立ち上げたのだと理解できます。いずれも、地域密着をポリシーにしています。

この本の中で、いくつも気になったことがあります。J リーグの立ち上げに際して、川崎氏がヴェルディ川崎をめぐって、読売新聞の渡辺恒雄と紛糾したこと、確かに当時大きな話題になりました。クラブは企業のものではなく、地域に根差すべき存在とする川淵氏の主張と、球界の盟主である読売巨人軍との、根本的な考えの相違ということでしょうね

そして、ドイツワールドカップで、ジーコジャパンがグループリーグで敗退すると、川淵会長の責任論がマスコミから上がりました。帰国して間もなく、川淵会長の口から「次の監督はオシム、、、あら、言っちゃったexclamation」という失言?があり、一気にオシム監督に話題が集まりました。この本では、考えているうちに、ついウッカリ口をついて、オシムの名前が出てしまった、と言ってます。でも、まあ、あれは、間違いなく意図しての発言でしょうね(笑)

この新書はビジネス書、組織論・リーダーシップ論としても読むことが出来ます。なかなか刺激に満ちた本でした。





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