家族で公園にあるようなボートに乗っていた。
水面からの低い視線。みえる町並みから 大正時代のようだ。
湖畔は緩やかな緑地の斜面になっていて、見える限りはそんな深い湖ではないようだ。
やがて、急速に浸水してきて、ボートが沈んでしまう。
おい、これ 沈むぞ。
声を出したときには もう、舷が水没するところだった。
自分は泳ぎに心得がある。
あの緑地まで 簡単に泳ぎ着けるだろう。
姉貴は泳げたっけ・。
と 人のことを心配している場合じゃ無かった。
水を吸った袴 が想像以上に重く 私は 急速に5mほど沈んでしまった。
あ、やばい 本気出さないと死ぬヤツだ。
私は 皆底を蹴り 本気で 水面を目指して 泳いだ。
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水上に上がると 私は フランスに留学してホームステイしていた。
金髪のかわいい男の子と、女の子。
かっぷくのいいお母さん。
ホストファミリーが居た。
フランス語にはまったく縁がないので 英語を使おうとすると 叱られた。
この家では英語はいけないらしい。
そんなことより、ぬれた着物が気持ち悪い。
うちの家族は みんな無事にフランスに泳ぎ着いたのだろうか。
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あともう一つ 夢を見ていたはずなのに 思い出せない。
覚えているのは ボートが沈む感触が リアルだったこと。
船が船として機能しなくなり 足下へ沈んでいく感覚。
その瞬間こそ 頼るものがなくなり、本気出さなくてはいけないこと。
もう一つ見た夢は 悪夢だったはず。
素敵な美しい 悪夢だった
それは愛しい 感触が 一気に 憎悪にかわるような
午睡で見た楽園が 灰の大地になりかわるような。
そんな素敵な悪夢だったのに。
思い出せない。
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