家賃滞納で追い出しに賠償命令
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保証会社の取った行動は「自力救済」にあたる。
自力救済は民法上で規定した条文は存在しない。
しかし通説・判例は原則禁止の姿勢をとっている。
当該事件も自力救済禁止の典型例である。
そもそも自力救済が原則禁止される根拠として、以下の例が挙げられる。
例えば、自転車が盗まれて犯人と自転車の所在が分かっているとき、この自転車を奪い返す行為は自力救済にあたり罰せられる。
こうした自力救済を容認すると、力が正義ということになり、実力行使を請け負う私的機関がはびこって社会秩序の維持が難しくなるためである。
近代化にともない、権利のあるなしの判断や執行は裁判所によってなされるべきとされ、私人の介入を排した。
つまり、例え権利や利益が侵害されているという事実があっても、法律に従い適正な手続きを経ずに勝手に自身の権利や利益を回復させることは許されないということである。
故に、この保証会社は当初家賃滞納に対する求償権を有していて、それ自体は大義名分があるが、自力救済を行った時点でそれは「窃盗や器物損壊罪に処せられるべき行為」であるから、その瞬間に大義名分を失い、ただの犯罪行為に成り下がる。
つまり、ミイラ取りがミイラになったということである。
しかし、だからといって家賃滞納者が肯定されるわけではない。
家賃滞納については借主に責任があるのは間違いない。
問題は、その責任をどう取らせるかなのだ。
当該事件においてはその方法が適切ではなかったということだ。
すなわち、家賃滞納の問題と自力救済の問題は密接に関わっているものの、明らかな別問題ということである。
故に、例え自身が被害者でも必要以上または適正な手続きを経たうえでの行為(適法行為)でなければ、加害者になるということであるから、法令順守は必要だし、その為の法律である。
以上のことから、「そもそも滞納者が悪い」というコメントは的を射ているが、「家賃を滞納したら何をされても(自力救済が)許される」という趣旨のコメントは失当だ。
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