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2016年03月02日19:43

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『GEEKSTER―ギークスター―秋葉原署捜査一係 九重祐子』

大倉崇裕『GEEKSTER―ギークスター―秋葉原署捜査一係 九重祐子』

角川書店 1800円+税
http://www.amazon.co.jp/dp/4041034612/

2000年7月、電気街からオタクの街に急激に変容していく秋葉原。その業態の変化は新たなタイプの犯罪をも招き寄せていた。旧態依然とした警察には察知できない闇の中、悪人たちを狩る影が一つ、人呼んでジークスター。
警察機構の壁に拒まれオタクたちの相談相手という閑職に回された秋葉原署の九重祐子は相談者の一人が殺されたことがきっかけで秋葉原の闇に引き寄せられていく…

秋葉原をゴッサムに見立て二つ名持ちのヒーローとヴィランたちの物語を紡ぎだして見せる相変わらずの趣味爆発の一冊。ヒロインの立ち位置はさしずめ駆け出しの頃のゴードン本部長(ただしドラマ『ゴッサム』のゴードン刑事よりつらい立場)。
秋葉原署は実在しない架空の警察署(ってモデルは明らかだけど)、登場する秋葉原の店舗も架空のものばかり(ただし名前の元ネタはほぼ統一)。さりげなく過去の作品でおなじみの人物も登場(本当にさりげなくだけど)。


本作はヴィランの一人の正体をめぐる本格推理としての要素もあります。その最初の手掛かりが本文最初の頁から提示されているのは流石。

オタクを主人公にすることが多い大倉先生、この度はオタクに嫌悪感を抱く人物の視点から秋葉原を描くという新しい試みにとりくんでおられます。それが、“架空の街”秋葉原の闇にいっそうの深みを与えるのにつながっているわけで大倉先生の新境地を開く一冊といえるでしょう。



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