2015-2016 カープの補強について(投手編)

そろそろ2次キャンプも終わり本格的なオープン戦に突入するカープ。
例年、このチームはこの時期に補強を行うという事はほとんどあり得ないのでスカッドは固まったと見て良いでしょう。
ところで昨年の今頃は黒田博樹の復帰による「バカ騒ぎ」の渦中にありましたが、今年は逆に評価はたいして高くないようです。
ではそれは何故なのか？
補強という観点からそれを考えてみたいと思います。
まずは投手から。

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・OUT→
△篠田純平
　前田健太
△河内貴哉
△岩見優輝
　武内久士
△マイク・ザガースキー
　池ノ内亮介
　デュアンテ・ヒース
　
・IN←
　岡田明丈
　横山弘樹
△高橋樹也
△仲尾次オスカル
　辻空
　ジェイ・ジャクソン
△久本祐一
　ブレイディン・ヘーゲンス

※△は左投げ投手
※育成選手は含めない
※辻、久本は育成から支配下登録

あれだけ弱かったチームに久しぶりのAクラスをもたらした前田健太という大黒柱が抜ける…

まず、投手陣の補強を考えるうえでこの前提は相当な重たさを持っていると言って良いでしょう。
何しろあれだけ長い期間に渡って200イニング近い投球回数をこなし12勝前後という安定した数字を残してきた投手ですから。
新戦力を眺めるとそれを埋めるような存在は皆無…とまあ、これは仕方ないでしょう。
あれだけの投手の穴をすぐに埋められるぐらいの補強が出来るチームなら四半世紀以上も優勝しないなんてありえないで訳ですし…。
そんな中、新人の中で即戦力と言えそうなのは岡田明丈と横山弘樹のドラフト1、2位コンビに仲尾次オスカルといったところでしょうか？
そのうち純粋に先発と言えるのは横山ぐらい。
その横山も実力的にはいきなり大活躍出来る程のものかは甚だ疑問がつくという何とも寂しいものです。

また、篠田純平と河内貴哉といったかつてのドラフト1位たちが相次いで引退した事で元々質の低かった左腕はさらに量すら減ってしまいました。
しかしながら、そこでも補強といえば前述のオスカルに高橋樹也に補強と呼ぶべきかどうかすら怪しい久本祐一の復帰のみ。
これに至ってはもはや、やる気があるのかというレベルですね。
そもそも現状の左腕を見ても期待が持てそうな活躍を昨年見せたのはせいぜい飯田哲也と戸田隆矢ぐらいですし…。

そうなると頼みの綱は助っ人投手という事になるでしょうが…残念ながらこのチームは非常に打線が貧弱なチームです。
従って、投手に外国人枠を3人も入れる事はできませんから、すでにクリス・ジョンソンがいる以上は残り1枠と考えて良いでしょう。
今季は、リリーバー候補として入団したジェイ・ジャクソンと先発候補として入団したブレイディン・ヘーゲンスという二人が加入しました。
このチームの補強を考えるうえで一番の武器ともいえる在米スカウト、エリック・シュールストロムの慧眼に適った投手達ですし近年、このチームは助っ人には出費を惜しまないようになっていますからいずれも活躍をおおいに期待して良いかと思えます。
しかし、上記のような事情がある以上はどちらとも一軍で起用するという事は不可能です。
それも、クリス・ジョンソンの出来次第というネガティブな理由でしか出場機会は得られそうもないでしょう。
従って、どちらかは昨年のマイク・ザガースキー同様に「使いたくても使えない」という状態のまま帰国する可能性がかなり高いと思います。
そう考えると、ここも純粋に補強と言えるかどうか甚だ疑問です。

さて、ここまで簡単に補強という観点で投手陣を見てみましたが…。
残念ながら前田健太という大きな星がいなくなった事で空いた先発の穴は埋められそうもない印象です。
また、その穴の空いた先発陣をカバー出来るリリーフ陣の構築というのもここまで見ると難しいように思えます。
勿論、選手の出入りだけでチームの良し悪しが決まるわけではなく、既存の選手のステップアップも含めて補強となるわけですが…。
少なくともこの面子で既存の投手達にプレッシャーをかけられる程の物とは到底思えません。
大体、このチームの先発陣は前田健太、ジョンソン、黒田博樹、福井優也があれだけ活躍しても結局5番手以降は最後まで埋まらなかったのですし、リリーフを見ても昨年結果を残したのは中崎翔太のみですから尚更です。
そもそも、昨年あれだけ消耗した大瀬良大地に過剰ともいえる期待がかかっていた時点で補強がたいした事がないという証左でしょう。
昨年のストロングポイントだった投手陣(主に先発陣)の大幅な減退…。
その現実を認めざる得ないというのが現時点での結論です。
少なくともFAで高橋聡文を獲得した阪神や、大場翔太を金銭で獲得したドラゴンズのような動きは必要だったかように思います。