20日・21日の土日、相方の里帰りにつきあって関西に。元祖怪獣酒場でケムール人の挑戦を受けてきました(飲み物でケムール人の冠メニューってなんだろ、と思ったら可燃性の液体だったw)
その道中で読みふけった一冊。
宮崎惇『21世紀失楽園 (ミステリ珍本全集10)』
http://www.amazon.co.jp/dp/4864031568/
『ミスターサルトビ』で知られるジュブナイル作家にして『聖マッスル』を代表作とする劇画原作者、そして『宇宙塵』から星新一とほぼ同時期に商業誌デビューした日本SF先駆者の自費出版2冊と単行本未収録短編を収録。
星新一の洒脱で切れ味のよい展開に対して宮崎はSF的設定の中にも理詰めに収まることなく奇妙な余韻を残す味わいで対照的な作風。
自費出版は詩情あふれる宇宙SF作品集『21世紀失楽園』と時代SF作品集『金毛九尾秘譚』、編者・日下三蔵さんによると自費出版3冊合冊の計画が3冊目は専門的な評論集ということで単行本未収録短編に差し換えたとのこと。
本書収録の時代SFには、地球の女性に寄生したガス状珪素生物を主人公とする一篇があって、あるいは
手塚治虫先生のコミカライズ『サンダーマスク』の下敷きかも知れない。
単行本未収録短編には秘境時代小説の珍品「日本ロストワールド」シリーズ全2作の他、同人誌で発表した作品を商業誌向けに改稿したもの(それでも新たなアイデアが導入され原形とは違った作品になっているのはさすが)など資料的にも面白いものがあって有難い。
これを機に現在は稀覯本化しつつある宮崎の作品の再評価が行われれば喜ばしい次第。
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