前回、海外古典SFを読んだので今度は国産古典ミステリーを読むことにするー
で乱歩の「黒蜥蜴」をチョイスー
んーポプラ社の「少年探偵」シリーズで読んだかな？
でもこの表紙は記憶にないなー
まあ、最近漫画アレンジ版の「江戸川乱歩異人館」で読んだから大体のあらすじは知ってるんですけどねー
あらすじとしては
帝都東京の暗黒街に人々を虜にする美貌の女、通称「ダークエンジェル（黒天使）」「黒蜥蜴」がいた。
だが妖艶な美貌と豪華な装飾品を身に纏う彼女の正体を知る者は誰もいなかった。
クリスマスイブのパーティー会場に現れた雨宮潤一はその前日についカーっとなって浮気をしていた恋人とその浮気相手の男を殺してしまい、逃亡中であった。
そこで「黒蜥蜴」に庇護を求めると「黒蜥蜴」は死体置き場から彼に似た死体を盗み出し、身代わりとして顔を潰してマンションから落として偽装するのだった。
そうして晴れて自由の身になった雨宮潤一は「黒蜥蜴」の部下となり、その命に従うこととなった。
そして最初の仕事は宝石商の娘、岩瀬早苗の誘拐。
事前に予告状を出した「黒蜥蜴」だったが岩瀬氏はそれに備えて、名探偵「明智小五郎」を雇い入れていた！
ここに「黒蜥蜴」対「明智小五郎」の知力をかけた戦いが始まる！
とこんな感じー
んーまあまあ面白いんだけど、思ったよりも盛り上がりに欠ける作品という印象。
実際かなり地味！
明智があんまりスゴくないし、「黒蜥蜴」もそんなにスゴくない。
トリックも今となってはかなり微妙だなー
江戸川乱歩特有の変装の万能っぷりがあいかわらずスゴい！
いやいや、いくら変装の名人でも自分の娘は見破れるだろ…
あと「黒蜥蜴」のやることがかなりエグい！
人を殺してその皮を剥いで蝋人形に被せるとかエグすぎる！
しかもそれが何体もあるとか…
スゴくサイコパスっぽい…
この人、何なの？
そう「黒蜥蜴」の背景が全然語られないんですよねー
登場時からすでに確立している感じで生い立ちや組織力、なんかがまるで説明されない。
上記の人間コレクションも美しいものマニアゆえみたいだけど、それでも説得力に欠けるなー
そのせいもあってイマイチ盛り上がらない気がしますね。
なんだろうなーこれ？
恰も今まで出てきたかのような扱いなんだけど…
それとわざわざ犯罪の片棒を被ってまで引き入れた雨宮潤一も最初の出番以降ほとんど意味のない存在になってるのもどうしたものか…
この人もなんだったんだろうなー
「江戸川乱歩異人館」だと最初の見せ場で逮捕されて、それ以降は出てこないからそれのほうがよかったような気もします。
改めて読むと「江戸川乱歩異人館」版は細部がちょっと違うだけで、意外と忠実なコミカライズだったんだなー
不自然な人間椅子のシーンもいい感じにアレンジされてるし上手いねー
75点ぐらいかなー
思ったほどハラハラドキドキしなかったかな。
まあよく纏まってはいますけどね。
あと文の間、間に乱歩特有の講壇みたいな作者視点のセリフが入るのが懐かしい。
あー、これこれ。
この合いの手（？）が子供心に臨場感を煽られたんだよねー
今となっては古臭い感じもするけど、古き良きと言えなくもないそんな手法。
乱歩入門にはちょうどいいかもー
江戸川乱歩 1983年5月（1934年） 角川文庫
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