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2015年07月01日18:49

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6月の読書記録

今になって5月の読書記録をアップしていなかったのに気付いた(苦笑)。

それはともかくとして、先月も旅行に行ったり、勤務以外にも職場に行かねばならなかったりして何かと忙しく、思うように本が読めなかった。なんだか新書で冊数とページ数を稼いだ感が…後ナイスが思ったより少なかった…

2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4301ページ
ナイス数:65ナイス
http://bookmeter.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■日本戦後史論
本書で言及される日本の実像には暗澹たる思いを抱かずにはいられない。本当はちょっと考えてみればわかる日米同盟の危うさ、安倍内閣のヤバさ、マスコミが抱える停滞と病理…でも、多くの日本人はそのことにある程度気付きながらも、まるで何事もないかのように日々の生活に奔走している…そしてその背景には、安倍晋三を始め多くの日本人がカタストロフ志向を抱えていることがあるのではないか?という指摘には、なまじ説得力があるため、背筋が凍る思いがした。とりあえず本書を読んだ人達がこの重い現状を直視することから始めねばならない。
読了日:6月29日 著者:内田樹,白井聡
http://bookmeter.com/cmt/48415079

■定本 夜戦と永遠 下---フーコー・ラカン・ルジャンドル (河出文庫)
非常に難解でその十分の一も理解できたかどうか怪しいが、その独特の文体に惹かれ、半ば闇雲に読み進めていた。何せ本書で主に取り上げられているフーコーの著作をあまり読んだことがないので、著者の言説の妥当性を判断できないのだが、とりあえず一つの読みの試みとして、非常に魅力的で示唆に富んだものではないか?という気はする。また、フーコーの権力論はその師であるアルチュセールからの影響大なわけで、そういう意味でも興味深かったか。それから、直接には言及していないが、著者はレヴィナスを意識しているのでは?となぜか思わされた。
読了日:6月28日 著者:佐々木中
http://bookmeter.com/cmt/48374884

■新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)
対談本とはいえ、その内容はかなり濃厚。なので、一読しただけではその全容は把握し難い。かねてから佐藤氏が言及しているとおり、現在は新たな帝国主義時代に突入しており、予断を許さない状態にあるということはとりあえず理解できたか。とにかく高校生レベルの世界史と地理の知識、それに日頃新聞の海外ニュースを読む習慣が欠落している自分の不甲斐なさを改めて痛感(苦笑)。個人的にとりわけ興味深く読めたのはイスラム国についての章か?イスラム国が抱える分かりにくさとややこしさを改めて再認識した次第。この時代を俯瞰するのに有効。
読了日:6月25日 著者:池上彰,佐藤優
http://bookmeter.com/cmt/48301655

■希望の資本論 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか
他のレビューにもあるが、本書はピケティ・ブームが背景にある。ところが、これまで抱いていたイメージと裏腹に、ピケティはマルクス経済学に疎かったという事実に少なからず驚かされた。その事実を裏付けるように、巻末に掲載されたピケティと佐藤との対談はどこかちぐはく感が否めなかった。それはともかくとして、本書を読むと、改めて「『資本論』を読まないとな…」という気にさせられる。後、度々言及される日本に蔓延する反知性主義の実態には唖然とする。このような状況の中であえて本書のタイトルに入れた「希望」という言葉の意味は重い。
読了日:6月24日 著者:池上彰,佐藤優
http://bookmeter.com/cmt/48287099

■伝える力2 (PHPビジネス新書)
ベストセラーの続編というのは、総じてただの二番煎じに堕しがちだが、本書はその轍を踏まずに済んでいるのではないか?かつて子供相手にニュースを教えるという著者だけあって、とことんまで噛み砕いた内容を、読者に寄り添うようにして語るそのスタンスには好感が持てる。後、考えさせられたのが、歴史教科書が面白くない理由について述べたくだり。歴史に限らず、教科書は基本的に面白くない。その背景には教科書が生徒ではなく、先生や教育委員会の意向が働いているという著者の指摘には、何とも言えず暗澹たる気持ちにさせられた。
読了日:6月21日 著者:池上彰
http://bookmeter.com/cmt/48203536

■文学の淵を渡る
戦後日本文学に多大な影響を与えたこの二人が残した対談が一冊の本となったというだけでも価値がある。確かにこの二人にしては、どこか緩い印象を覚えるのは否めない。それでもこの二人ならではの切り口が会話の随所に展開されるのも確か。三十五の日本の短編をこの二人が論評するという趣旨の対談などは、とりわけファンにはたまらないはずである。また、双方とも海外文学に強い影響を受けながらも、実際に大学でドイツ文学を教え翻訳も出している古井と、ただ読んできただけの大江との海外文学に対するスタンスの違いが垣間見られるのが興味深い。
読了日:6月20日 著者:大江健三郎,古井由吉
http://bookmeter.com/cmt/48167071

■定本 夜戦と永遠 上---フーコー・ラカン・ルジャンドル (河出文庫)
決して簡単な内容でないのにもかかわらず、なぜか妙に引き込まれるものを感じて読み進めていた。何せまず最初に扱われるのが、あの難解極まるということで知られるラカンである。そのラカンの理論を独特の語り口で分析(?)していくのだが、その半分も理解できたかどうか…それでも、改めてラカンのゼミナールを読み返したくなったのは確か。次に取り上げられるルジャンドルは本書で初めてその存在を知った。ラカン派に属しながら、それだけに止まらない独自の業績の残した経歴にはかなり興味を覚える。急ぎ足で読んでので、いずれ読み返したい。
読了日:6月18日 著者:佐々木中
http://bookmeter.com/cmt/48132740

■伝える力 (PHPビジネス新書)
既に読んだ他の著作とかなり重複する部分はあったが、概ね興味深く読めた。とりわけ、冒頭に述べられる「自分が知っていると思っていることを人に説明するときに生じる困難さ」については、少なからず考えさせられるものがある。その内容はごく当たり前といえば、当たり前のことなのだけれど、逆にそのあたり前ということが実は非常に難しいということでもあるのだろう。また、「なるべく接続詞を使わない」という教えは文章を書く際つい接続詞に頼りがちになる者として正直耳に痛い。後、ここでの感想を著者が読んでどう思うかが気になる(笑)。
読了日:6月18日 著者:池上彰
http://bookmeter.com/cmt/48125871

■フランス現代思想史 - 構造主義からデリダ以後へ (中公新書)
かつてちょっととんがった若者がそのタームを口にしてはいきがっていたフランス現代思想。かくいう僕もそういうタームを口にするのに憧れて、ドゥルーズやフーコーの著作を背伸びして手に取ったうちの一人である。結局あの風潮は一体何だったのか?と本書を読んでつい色々と考えてしまう。何より、日本で構造主義が持て囃されていた頃、当のフランス本国ではすでに下火になっていたという指摘が、時代的な制約が背景にあると頭で理解できても、何とも言えず複雑な気持になる。おりしも大学から文学部をなくそうとする動きがある昨今だからなおさら…
読了日:6月13日 著者:岡本裕一朗
http://bookmeter.com/cmt/47992901

■教養としての宗教入門 - 基礎から学べる信仰と文化 (中公新書)
本書を読んでいると、何かにつけ無宗教だと言われがちな日本人が、実は捉えようによってはかなり宗教に基づいた生活を営んでいるということがよくわかる。個人的には村上春樹に宗教性があるという指摘が、僕自身密かに同じ印象を抱いていたので、非常に興味深かった。書いてあることのかなりの部分はすでに知っていたことだが、その知識を整理するのにかなり役立ったか。後、よくも悪くもくだけた言い回しや表現がめにつくが、そこは個人の好みによるか。とりあえず世界宗教をてっとり早く俯瞰したいという人にはうってつけ。概ね良書と言える。
読了日:6月11日 著者:中村圭志
http://bookmeter.com/cmt/47962051

■言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書)
サブタイトルにもあるように哲学者が生徒役…しかも、一方の教師役の言語学者がかつてはその哲学者の著作に強い影響を受けたという背景があるため、生徒役がかなり言いたい放題(それは哲学者による前書きにも述べられているが)。だからこそ、話が色々と飛びながらも、トピックはかなり深い所まで突き進んでいるのが本書の醍醐味。個人的には英文科時代に何となし抱いていた生成文法に対する違和感の根拠が何だったのか?ということがかなり明確になったのが大きかった。とにかく普段何気なく使っている言語の不思議さ面白さが味わえる一冊。
読了日:6月10日 著者:野矢茂樹,西村義樹
http://bookmeter.com/cmt/47929159

■教会と国家〈2〉反ナチズム/教会闘争時代 (バルト・セレクション)
日本が戦争ができる国へと歩もうとしている昨今だからこそ読まれるべき本だと思う。理解の程は奇しいし、その主張の全てに同意できるわけではもちろんないが(とりわけイスラム国への偏見が露骨に現れている箇所などは時代的な制約があるにせよ、眉をひそめざるをえない)、それでもバルトが当時のナチズムの動きにどれだけ脅威を抱き、それと真摯に対峙していたかは如実に感じられる。決して理解しやすい内容ではないが、その殆どが講演や書簡なので、比較的読みやすいかと思う。ただ、誤植が多いのが気になったが。でも繰り返し読まれるべき一冊。
読了日:6月8日 著者:カールバルト
http://bookmeter.com/cmt/47896941

■なにもかも小林秀雄に教わった (文春新書)
著者の読書遍歴を綴ったもの。著者自身も述べているが、そのタイトルにも関わらず、小林秀雄への言及はそれ程多くない。ただ、同じく小林を崇拝していたという吉本隆明のことが想起され、小林がある世代のインテリに多大な影響を与えたということが伺える。また、戦後のどさくさで闇屋で家族を支えたなど、すでに他の著書で読んだエピソードも少なくないが、それらのエピソードから伺える著者のバイタリティには痛快なものがある。個人的にはドストエフスキーについての章がとりわけ興味深く読めたか。教養がまだ尊ばれた時代の貴重な記録。
読了日:6月3日 著者:木田元
http://bookmeter.com/cmt/47759841

■父として考える (生活人新書)
本書が出て五年の間に、子育てを含め色々な意味で状況が劣悪になっているということに唖然とさせられる。声高に多様性が歌われる一方で、お受験など単一的な価値観に多くの親が捉われているという現実には暗澹たる思いがする。そしてそれ以上に気になるのが、親の言いなりになって必死に勉強して東大に入った学生が、決して幸せそうではないという事実。そういうひ弱なエリートが社会の中枢を担っているという社会の構図は最早深刻というレベルを超えている。その中で小さいながらも相互扶助的な関係を構築していくしか、再生の道はないのか?
読了日:6月1日 著者:東浩紀,宮台真司
http://bookmeter.com/cmt/47720098


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