mixiユーザー(id:5457438)

2015年04月02日14:28

202 view

クジ丸の恩返し  後編

昨日の続きです。続きは来年じゃなかったの?
って声が聞こえそうですが、昨日の日記は、本文は作り話で、エイプリルフールのウソは、最後の一行でした。悪しからずね。


  =クジ丸の恩返し=  後編

その時です 原子力発電所が ドッカーンと大爆発しました

背中の人たちはビックリして、つないでいた手が離れてしまい、みんな海に落ちてしまいました

でもソラ君は 潮吹き穴にしがみついています

クジ丸は大きく息を吸い 浜に向かって思いっきり潮を吹きました

ソラ君は空中高く舞い上がり 砂浜に着地し 助かりました



爆発した原子力発電所の煙は 空高く 舞いあがりました

そして 見たこともないものが 降ってきました

それは とっても小さな黄色いツブツブで 人間には見えない物質でした

排水口からも 同じ物質が いっぱい海に流れ出てきました

それは この世で一番恐ろしい物質 放射能でした


ソラ君はクジ丸に向かって叫びました
 
ボクは、お父ちゃんもお母ちゃんも兄ちゃんも妹も みんな流されちゃったし 放射能をあびたら死んじゃうので 爺ちゃんのいる会津へ行くことにしたよ 

クジ丸も放射能をよけて 南半球へ逃げろ〜 必ず逃げろ〜


そうだったのか それなら 人間がピンチの今こそ ボクの大きな口と体が 役にたつぞ

クジ丸は 放射能を 飲み込むことに決めました

これでやっと人間に 恩返しが出来る

排水口だけでなく 空から降って来る放射能も ひたすら飲み込みました



会津は山の中です
 
ソラ君は浜が恋しくなり 夏休みに古い自転車にまたがり 何十キロもの道をこぎつづけ 浜に行きました

浜の放射線量が奇跡的に下がったので 爺ちゃんから行っても良いよと言われたのでした

海岸に出ると 鯨の潮吹きが見えました クジ丸です

ソラ君はその時初めて クジ丸がここにとどまって 放射能を飲み続けていることを知りました

放射線量が下がったのは クジ丸が飲み込んだからだったのです


クジ丸は元気がありません

喉が痛くて 大きな声が出せません

クジ丸は喉頭がんに侵されていたのです

でも 絞り出すような小さな声で言いました


ソラ君ごめんなさい ボクを助けてくれた浜の人たちを 助けることが出来なくて ごめんなさい

と小さな目から涙を流しながら ソラ君に謝りました

ボクはもう これ以上放射能を食べられなくなっちゃったよ ごめんなさい ごめんなさい

と言いながら 日本海溝の 深い海に沈んでいきました

海底に横たわったクジ丸の体は分解し 放射能が流れ出て 再び海は汚染されてしまいました

ただ一つの救いは そのことをクジ丸が知らないことでした


                                              おわり
5 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する