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2015年06月13日10:48

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思い出の授業

久々に授業っぽいものを聞いてきた。
大人相手に、医者じゃない先生から教わる授業。
なんか新鮮。


看護学校の頃を思い出した。

どこも看護学校もそうなのか、グループワークして授業で発表、後日個人レポート提出って多かった。
例えば患者体験記を読んで、原稿用紙3枚にまとめて提出とか。
時には、となりのトトロを見てだったり、カッコウの巣の上で、ジョニーは戦争に行ったとか。。。暗いのもあったな。

人相手の職業訓練校なんだし、一人仕事ってより、連携してチームで働くってことの練習なんだから当然なんだが、初めは面倒だった。
回数多いので、だんだん要領も得る。相手のクラスメートだって同じだろう。落としどころみたいのを探って、不完全燃焼ならレポートで主張すればいい。

だんだん、私らグループワークのプロだなっと思っていた頃、とっても印象に残ってるグループワークがあった。
コミュニケーションの授業の一環で、合宿研修に参加した時の話。

初めのグループワークは、6人ぐらいのグループで、模造紙に手に絵具を付けて、手で描いて白い部分を無くす。
ただし、この模造紙が、2〜3畳くらいあるのよ。
体育館の中に、巨大模造紙が各班分敷かれていた。
大事なのは、しゃべらない。
言葉で相談して描いてはいけない。

6人で囲んでも余りある大きさに、互いに、顔を見合うしかなかったけど。
でも、誰かが、手を付けなければ、始まらない。

思えば,この頃から私は特攻隊長。とりあえず、手を付ける人だった。

手形は、その後どんどん塗り重ねられ、まったく見えなくなる。
上下がどっちかなんて誰もわからない。向こう側から見たら、こっちが上だろう。
勝手に自分側を下と決め、目の前を自分の担当と思い、お花なんて書いていても、容赦ない青い手形がつけられたり。それを利用するも良し、無視するも良し。
とにかく黙って。ひたすら、巨大模造紙を埋める作業。

6分割された絵になった班もあれば、なんだかわからないが一体感のある絵(模様?)になった班もあった。誰かが描いたものを利用して、付け足したり、人の手が入ることで、まったく違うものに変わっていったり。
しゃべらないけど、一応コミュニケーションの授業だから。言葉は消えてしまうけど、色は残る。この作業で出来上がった絵は、可視化された会話のようなものだと思う。


前置きが長い。
話は変わって、書きたかったのは、この後のグループワーク。





次のお題は、「地球滅亡が近づいています。ここに10人乗りの宇宙船があります。誰を乗せますか?」
こっちは相談できる。

まぁ、パイロットは必要だろう。
新しい星の土地に詳しい人って、誰? 地質学者?
子孫繁栄を考えたら、男女必要でしょ、とか。
まったくもって、SFちっくなどうでもいい話ですよ。

大事なのは、全員一致の意見にすること。
そして、少数意見を潰さない。
多数決のような方法で、まとめてグループの意見にするのではなく、
納得できるまで話し合いで決める。

突飛なお題過ぎて、何でもいいんじゃないかと。
自称グループワークのプロとしては、チャッチャッと協力して片づけたいところ。
5人は、あーでもないこーでもないと、誰にするか候補を出していた。

そこに、Aちゃん。「いらないと思う」と。

候補を出してくれれば、どっちがいいかとか、比べられるが、
「いらない」って何?
それじゃみんな、死んじゃうよ。
協力しようよ、やる気あんのか?

Aちゃん、「死んじゃっていいじゃん」
そこに、講師が来て「潰されんなよー、大事にして!」と、Aちゃんを勇気づける。
Aちゃんは、潰れるようなキャラでもないが、
何で誰も乗せなくていいのかが、伝わってこない。
段々、イライラしてくる。

「じゃあ、いいよ。誰か乗せたら。」と、向こうも切れ気味。
そうじゃないでしょ。全員一致のお題だから。
1対5の、あと一歩で出来ない、苦しいに睨み合いの状況。
こんなどうでもいい話だっていうのに!

Aちゃん「何で、人間だけ助からなきゃいけないのさ」

言葉が、自分の中に落ちてくる瞬間ってあるものだ
さっきまで、真っ向対立の位置にいて、時間までにまとめようと焦っていたのに。
どうやって、あと一人のAちゃんを説得すればいいのか、考えてたのに。

地球がなくなって、動物も植物も、10人以外の人間も、みんな滅んでいくなら、みんなで死んじゃっても良いじゃん。何で生き残ろうとするんだと。
根本的にひっくり返されてる感じ。
未知なる星で、新たに人類繁栄を目指すとか。どうでもいいな。

そうゆう事か。それを、Aちゃんは言ってるのか?
いや、Aちゃんはそう言ったんじゃないのかもしれないけど。

Aちゃんの言葉によって、波紋のように広がるイメージ。
私は、地球滅亡の日に、全人類でパーティーするのも良いと思いはじめる。
選抜した10人は、ホントに人類の希望なのか?
過酷な旅の犠牲者かもしれない。
そもそも、ほかの星ってなんだ? 
このまま、ここで、楽しく最後の日を迎える、そうゆう考え方があってもいいのかも。
お題は、10人まで乗れるってことだったけど。
必ず乗せろとも言われていない。
0人でも、ありだろう。

「私も、Aちゃんの意見に賛成です。」

この後、2対4になって、Aちゃんと共に説得に回ったはずだが、
どういった結末にしたのか、あまり覚えていない。
あの状況から、Aちゃんの意見で自分がそっち側につくなんて。
その体験が強烈で。

まったく、ホントにこの内容で載せちゃうのって思うくらい、超空想の世界。
今書いてても、よくこのお題でマジ切れ寸前になれたのか、
笑っちゃうんだけど。

Aちゃんがいなければ、他のグループ同様、10人選抜しようとして無難な答えでまとめてた。
計算式の正解みたいな、決まった答えを出すならともかく、
こんな自由発想のお題だっていうのに、優先すべきは何なのか。
同じような意見じゃつまらない。
多数決の使い方を考えさせられた。

人の発想は自分とは違う。
話を進めるために、切り捨てられてしまう少数意見。
若しくは、理解不能と、受け入れられないで終わる。
半ば、暴走気味ではあるが、誰も乗せない案も、私は好きだ。
これは、自分だけでは、出ない発想だった。

人の意見が、まったく違う見方を教えてくれる。
そんな典型の思い出の授業だった。


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