だび祖父の場合
戦後間もない頃、裕福な家なんてほとんどなかっただろう。
ある日、だび祖父は散歩に出かけた。
(散歩なら金もかからんし…)
途中の市場で、ぼた餅を売っていた。
ぼた餅が大好きなだび祖父は、どうしてもぼた餅が食べたかったが、散歩の途中なので、お金を持っていない。
そもそも、その頃のだび家の台所事情では、ぼた餅買う余裕などあるはずもない。
しかし、散歩から帰ってきただび祖父の手には、ぼた餅があったんだと。
まぁ、手にはぼた餅があったものの、足には履いていったはずのズボンがなかったんだけどね…。
ズボンとぼた餅の物々交換…。
だび祖母談
だび父の場合
今だから、こうやって、日記にもできるが、だび父は、何年か家に帰って来ない期間が、数回あった。
(まぁ、一応、仕事はしていたらしいが、軽い【失踪】だ…。)
んで、帰って来た時も、誰も騒ぐこともない。
「元気しとったとね?」ぐらいの声はかけてたみたいだけど。
(「男はつらいよ」見ても何の違和感もなかったもんな…)
ある年のお盆、だび父がひょっこりと帰って来た。
お盆なので、親族も集まっていた。
第一声→「【おはぎ】あるか?」
(もちろん、【第一声】なので、「ただいま」も言わずにだ…。)
この時ばかりは、ちょっとだけ怒られていたのを子供ながらに覚えている。
そんな、レジェンド達の【ぼた餅好き遺伝子】を引き継いでいるが、「ぼた餅をおかずにごはんを食べて、職場の人を凍りつかせる」ぐらいしか経験がない俺は未熟者…。
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