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2014年01月13日19:31

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安心して徘徊してもらう為には、安心して徘徊できるようサポートする責任が必要になる

鉄道事故死 想像つかない経緯
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2720868

僕が実家暮らしだった頃の話だから、もう20年近く前の話だ。

近所に住んでいる80過ぎのお爺さんが、クルマに轢かれて亡くなった。
こう書くと、横断歩道を渡っていて、スピードを出して走ってきたクルマに撥ねられたとか、或いは、お爺さんが信号機のない道路を安全確認せずに渡ろうとして、クルマに撥ねられたというふうなイメージが真っ先に浮かぶかもしれない。

だが、そうではない。
お爺さんは、文字通りクルマに轢かれたのだ。

どういうことかと言うと、真夜中3時頃、そのお爺さんは、道路の真ん中で寝転んでいた。
そこに、クルマがやってきた。
夜中の3時。しかも、街灯もない田舎の一本道。
ドライバーがアッと気付いて、ブレーキを踏んだがもう遅い。
お爺さんは、クルマに轢かれて、即死だったらしい。

このお爺さんには、以前から認知症があり、徘徊癖があった。
普段は、家族の方が交代で、このお爺さんを見ていた。
お爺さんが徘徊しようとすると、家族の方が交代で傍に付き、''何処に行くの''、''お祖父ちゃん、家に帰ろう''と、絶えず、徘徊するお爺さんに付いて回って、危ない場所に行かないように、道路に飛び出さないように、見て回っていらっしゃった。

僕も一度、その光景を見たことがあるが、その時は、そのお爺さんのお孫さんが、付いていらっしゃった。
お爺さんも、自分が自由に徘徊したいのに、横から口を出されたり、付いて回られたり、時には袖を掴まれたりして、動きを止められるのがストレスなんだろう。
そのお孫さんに向かって、「煩い、いちいちジャマをするな。お前は、家に帰っていろ。」などと、自分の孫に向かって、それはもう口汚く罵っておられた。
それでも、そのお孫さんは、ガマンしてお爺さんから離れることなく、一生懸命に徘徊を止めようと付いていらっしゃった。

お爺さんが轢かれた日。
どうやらお爺さんは、家族の皆が寝静まったのを見計らって、夜中徘徊に出たようだった。
家族の人が気付いた時には、もうお爺さんはいなかった。
家族の方は、警察に捜索願いを出し、手分けしてお爺さんを捜した。

だが、その時には手遅れだった。
お爺さんは、家から4キロ近く離れた田舎道で、クルマに轢かれて、既に亡くなっていた。

この一連の出来事で、1番不幸だったのは誰だろう。
徘徊に誰にも気付かれず、クルマに轢かれて亡くなったお爺さんだろうか。
それとも、懸命の介護にもかかわらず、お爺さんを亡くした、家族の方だろうか。
いや、もちろんお爺さんも家族の方も不幸だが違う。

1番不幸なのは、その時間、たまたまそこを通りかかったクルマのドライバーだ。
夜中3時の暗い田舎道。
その道の真ん中にお爺さんが寝ているなんて、誰が思うだろうか。
これをドライバーの前方不注意とするのは、ドライバーの過失とするのは、あまりに可哀想すぎる。

いや、こんなことを書いたら不謹慎かもしれないが、家族の方の普段の苦労を考えた時。
もちろん、お爺さんが亡くなって、悲しい思いをされたかもしれない。
だが、ココロの片隅では、ホッとする気持ちもあったんじゃないだろうか。
これで、あの辛い介護から解放される、と。

気になるのは、安心して徘徊できる町つくり、という、その言葉。
この言葉は、あまりに綺麗事過ぎて、現実的でない。
家族の負担の軽減を考えて、老人ホームに預ける人が多いこの世の中。
しかも、預かる方の老人ホームの施設長の言葉として、あまりに無責任過ぎるんじゃないだろうか。

ただでさえ、近所付き合いが稀薄になっていて、干渉されるのを皆避けている。
なのに、違う町から老人ホームに入居してきた見知らぬ老人が徘徊していたとして、誰が声を掛けるであろう。

認知症の老人が安心して徘徊できるようにするには、その老人の家族、若しくは老人ホームのスタッフの誰かがその老人が徘徊する時に、常に傍に付いて、その老人の徘徊をサポートするしかない。
しかし、今の介護の現場で、果たしてそこまでサポートできるだけのスタッフや設備が整っているのだろうか。

そのサポートがないのに、入居者の人権や療養上の配慮、閉鎖的な環境を避けるという理由で玄関を開放することが、果たして適切な配慮なんだろうか。
徘徊する人にいくらGPSを付けようが、その時々、その場の安全を配慮できなければ、そんな装置は意味を為さない。
つまり、玄関を開放するなら、徘徊する人に対して、少なくとも老人ホームのスタッフは開放する責任上、徘徊時には必ず傍に付くようにする必要がある。

それができないのに、玄関を開放し自由に出入り出来るようにするのは、あまりに無責任で、それによって起こる事故を地域のサポートに求めるのは、責任転嫁というものじゃないだろうか。


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