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2013年06月26日06:29

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『嘆きのピエタ』

 韓国映画趣味『嘆きのピエタ』(原題:ピエタ)。名匠キムギドク監督の最新作。2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。

   http://www.u-picc.com/pieta/


 1人もしくは夫婦でやってるような零細町工場が建ち並ぶソウルの清渓川(チョンゲチョン)地区。そこで主人公のイガンドは、利子が元本の10倍という極悪非道な闇金の取り立て人をしていた。返せない債務者は、作業事故やビルからの転落事故を装い障害者にし、予め加入させておいた保険から返させるという冷酷さ。

 ある日、そんなガンドのところに「幼い頃、お前を捨てた母親だ」と名乗る中年の女チョミンスが現れた。最初はまったく信じていなかったが、ミンスの献身的な愛に、本当に母親だと段々受け入れていくガンド。母の安全のため、恨みを買う取り立て人稼業から足を洗うことまで考え始める。

 そんなとき、ミンスが姿を消し、自分を恨んでいる元債務者に拉致されたと思い必死に探し回るガンド。最後に明かされる真実を知ったとき、彼は意外な行動に出る...


→ お話にはまったくリアリティが無い。いくらなんでも短期融資で利子が元本の10倍は高すぎだし、障害者になる者があんなに多ければ保険会社の調査が入るデショ。また、あんなに荒んでいたガンドが、簡単に母の愛に籠絡されるのもアリエナイ。

 ただ、絵や演技・演出は素晴らしい。実際に見ると薄汚れた町(工業地帯なのだからアタリマエ)清渓川を、あそこまで魅力的に描けるとは。典型的な二枚目も、若い美女も出て来ないのに、登場人物は魅力的だし。

 徴兵前の若い頃、あの町や障害者施設で働き。徴兵後、画家と、夜間の神学校で牧師を目指したという監督らしい作品(ピエタ、とは、十字架から下ろされたイエスを抱く母マリアの図のこと)。ラストも、題名同様キリスト教的なイメージ(実際にあんなことしたら、相手に深刻な迷惑がかかると思うけど苦笑)。

 つまり、本作は。画家と牧師を目指した監督の、映画版「ピエタ」。そのまんま。



 ちなみに、町工場らしく金属がぶつかる音が多く、今の私の体調では結構辛かった(金属同士がぶつかるような硬い音がすると頭痛が激しくなる)。そういう音がしそうな時は、予め耳をふさぐ(それで痛みは多少和らぐ。ふさいでも必要な音は聞こえるし)んだけど、見終わった後はやっぱり耳と頭が痛かった。






 以下、ネタバレメモ。

 ネタバレ ネタバレ ネタバレ ネタバレ ネタバレ

 ネタバレメモ。

 ミンスを埋めようと穴を掘り、ミンスの本当の息子・サングの遺体を見つけた後のガンドの行動が、ノンクリの私には理解不能。サングのセーターを自分が着るって。。。キモクないの?母の愛が欲しかった、ということ?ミンスの意図を知って、偽りの愛(自らの愛にガンドを溺れさせることで、ガンドに自殺に追い込まれた息子サングの仇を討とう、という)だったと分かったハズなのに。

 欧州では受けたらしいから、あれってキリスト教的感覚なのかしらん。
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